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ネクラのヤキモチ

巳年の生まれのせいなのか、
私はものすごく執念深くて嫉妬深い。
一度されたイヤなことは忘れたくても忘れられない性質たちのため、
もうそれこそ、
うらみ骨髄(に徹す)」
を地で行く人間である。
元義理の長姉を筆頭に、
死んでも、さらには生まれ変わっても赦さない人間がいるほどだ。
されたことは事細かにその時の天気や服装までも忘れられないのは
脳の欠陥としか思えない。
一応、言っておくが、
自分のしたことや言ったことも忘れない。
だから、「言った言わない」論争は、
相手が言っていないこと、反対に相手が言ったこと、それに対して私が返したことを克明に覚えてい過ぎるため、私にとっては不毛な戦いであり、ただの消耗でしかない。

根が根暗な人間であるからして、嫉妬深さも超一級なのだ。

若い頃は、お付き合いしている相手が
女性が接客するお店に行くのも我慢がならず、
行くな、とは言えないが、行った後に超絶不機嫌になっていたものだ。
それが原因で「仕方ないだろ!」と言われても許す事ができなくて、大喧嘩に発展したこともある。
今なら仕事のお付き合いで、も理解できる。
何度も言うが、私も若かったのだ。
後に結婚した相手は、アルバイトでテニスレッスンのコーチをしていた。
出会いもそのテニススクールのコーチと生徒であったわけだが、
習い事にありがちで、圧倒的に女性の割合が多いスクールで、
女性の生徒さんに懇切丁寧に指導している姿を見ていると、
もやもやして平静な気持ちではいられないし、集中できないしで、テニスなんてちっとも上達しないし、テニスもセンスもなかったし、何だかいろいろなことがイヤになって通うのをやめてしまった。

どうしてそこまでイヤなのかを考えたことがある。

それは。

私といるよりも断然楽しそうに見えるから。

大人たるもの、その場限りの人に不機嫌に接したら
ダメ人間
の冠を頂戴することは重々わかっている。
だから、機嫌よく愛想良く楽しそうにふるまうのが大人だということも
よく知っているしわかっているし理解している。
自分だってそうだ。

でも、嫉妬深い人間にとって、最も傷付くのがこの瞬間なのだ。

私といると、だるいとか眠いとか疲れたとか言ってるくせに、
はきはきと楽しそうなのは何なのだ。
そのはじける笑顔はどこから来てるのか。
見ないように聞こえないように、そ知らぬ顔をしていながら、
身体の中には煮えたぎったマグマが循環している。

だから、誰かと親密な関係になるのは嫌なんだよなア。
それを原因に責めたくなる気持ちをぐっと飲んで堪える辛さ。
ネクラな人間が普通の生活を何気なく営むって、実はかなり消耗する。

何でこんな記事を書いたのかって?
なぜなら、今朝見てしまったから!
契約社員の方とにこやかに出勤する彼の姿を。
3階の部屋に聞こえるくらい朗らかに話して笑っていたのを。
私はそれをハニワ顔で眺めていたのでした、とさ。





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