そばにいてくれる人がいる今

見た目からは想像もできないくらい、「繊細さん」な私。
原因はどうあれ、人から大声で罵倒された後はかなり尾を引く。

無理やりにでも気持ちを浮上させて水面に顔を出していなければ、
あっという間に沼の底に引き込まれていくように落ち込む。

仕事をしているうちはまだいい。
相手の対応があまりにも子供じみているので、
バカバカしいとしらけつつも、いろいろな仕事をしていれば気が紛れる。

つらいのは、夜、寝るまでのわずかな時間である。

お風呂あがり、母が寝た後の居間で、
ひとり、寝るまでの準備をしていると、
脳が眠りにつく準備をするのか、
一日の出来事や感情が目の裏辺りを通過していく。
フラッシュバックのように乱暴に襲い掛かってきたりはしないけれど、
じわじわと私の心を蝕む。

電話での口論事件があった日もそんな時間を過ごしていると、
大切な彼から
「今日は疲れたから早く寝る」
旨の連絡があった。
お互いにくたくたに疲れ切っていなければ、
短い時間でも電話で声を聞くようにしている。
そうでなければ、顔を合わせずに何日も過ごせてしまう環境で働く私たちは
コミュニケーションを取るすき間が無いからだ。
私も疲れ、気分も上がらないので
「私も気持ちが落ちているからもう寝てしまう」
旨の返事をする。
私がそういう返事をすることが珍しいからか、電話がかかって来た。
いつもの様に私の話を聞いてくれた後、
多少は私の肩を持ちつつも、
仕事なんだからもう少し割り切らないと。
言い方は悪いけれど、変な人だとちょっと離れて見て見たらどうかな。
と諭したうえで、
同じ土俵に上がってるから悩んじゃうんじゃないのかな。
あの人はさ、自分だけが正しくて一生懸命で、
それなのにみんな自分の邪魔をすると思ってる人だよ。
わかってる人の方が多いと思うよ
とぽつりぽつりと、小さい子供に言って聞かせるかのように話す。
それで完全にさざめく心が収まるわけではないけれど、
私には味方がいてくれる、という安心感で肩の力が抜ける。

はてさて、私を内線電話で罵倒した彼女、
軌道修正してくれるような誰かがいたりするのだろうか。

ほんの少し前までの私にはいなかった。
そんな時、同じ思いや気持ちがない交ぜになった形のない何かが
自分の中をめぐりにめぐって、
煮詰まり過ぎてジャムのようになっていた。
（ただ、私はそこで誰かのせいにすることだけはなかったけれど）
それでも、今は、そんな風に私が思い詰めてしまっている軌道を
優しい掌でゆっくりと背中を撫でてくれるように
広げたりまっすぐにしてくれる人がいてくれる。
私の固く小さく縮まっていた気持ちが
少しほどけていくのを感じることもある。
自分で実感できているからこそ、あの人もそうであったらいいと思う。
ただの「哀れな人」で片付けられてしまわないように。

自分以外の誰かに優しいひとになりたいと思うし、
優しくない人に出会った時に毅然とした態度を取れるひとでありたい。
私に足りないのは圧倒的に後者なんだよなア。
ともすれば、ナメられてしまいがちな自分。
ちょっとだけ、そこが嫌い。