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夜にピアスを開ける


とうとう。
以前から実行するのならこの日だと決めていた夜が来た。
開けるのは耳の軟骨部。
少し前からピアシングがしたくて堪らなかった。
思い立ったがなんとやら、の性格の私。
いつそういう衝動に駆られるのがわかっていたから、
ピアシングの道具の予備は持っていない。
でも、この日に開ける、と心を決めた日、
ピアシングのためのニードルと、
ピアス穴を完成させるためのピアスを購入した。

夜になって、鏡に向き合う。
印めがけてニードルを刺す。
人によっては色々な音が聞こえるらしい。
肉を割く音。
骨を針の先が貫通する音。
感触を感じる人もいるらしい。
私はそういう感覚が鈍いのか、
音が聞こえたことも感触を感じたこともない。
ただひたすら痛い。
痛いけれど後戻りは出来ない。
刺してしまったら向こうに突き抜けるまで進むだけ。
一気にさして貫通させる、という人もいるけれど、
私の場合は休み休みやらないとあまりの痛さに吐いてしまいそうだと、いつも思う。
軟骨と言えど、骨に穴を開けるのはとても不思議で、
途中までは全く進まない。
そのまま力を込めてニードルを差し続けると、
ある位置を過ぎるとスカッと通って行く。
こちらもほっと息をつける瞬間。
今回、あまり血は出なかった。
(一番最初の軟骨はかなり出血したので)
私の場合、腫れもしないけれど、
開けた後もただただひたすら痛い。

でも、なんというか、せいせいした。
もやもやとしていたものが吹っ切れたような気がした。
いわゆる、耳たぶへピアシングした時と
軟骨部にピアシングする時の気持ちが違うのは私だけだろうか。
鏡を睨みつけながらニードルを進めるところに
意思が宿るからだろうか。

明日から寝返りも打てない日がしばらく続く。
一年は着替えもシャンプーも気が抜けない。
そこまでしてなぜ、という気持ちもわかる。
でも、それが私。




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