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研究者日記 Day20

ヴァーサ号について その0

ヴァーサ号、それは、世界一有名な発掘された沈没船。

ヴァーサ号については、語るべきことが多すぎるので、数回に分けて書いていこうかと思っています。まあ、今、書いている本で、ヴァーサ号について書いているので、その内容をちょっぴり公開。

と言っても、いろんなところでヴァーサ号について書かれているので、まあ、裏話・私にしかできない話を中心に。



というわけで、ヴァーサ号について書くネタとなると、いくつかある…

①沈没の理由~船体の詳細調査からわかったこと
②保存処理の苦労話
③引き揚げ・博物館の裏話など
④水中遺跡最高の成功例であるが見習ってはいけない
⑤ヴァーサ号は水中遺跡調査にもたらしたものーその意義

どれから書いていこうかな…今日は、イントロダクションということで、これかれ気が向いたときに、上の5つについて書く。

まあ⑤が実は一番書きたいところだったりする。
世界一成功した引き揚げ・保存・調査・展示事例であり、そのすべてにおいて輝かしい業績を残している。世界の水中遺跡研究のあこがれ、そして、ある意味水中遺跡を代表し、もっとも沈没船遺跡らしい遺跡。

ではあるが、一方で…

水中遺跡の中の例外の例外の例外。そして、水中遺跡をヴァーサ号のように引き揚げ・保存・調査・展示してはいけない例である。水中遺跡の大成功事例の象徴であるが、最も水中遺跡らしくなく、また、その事例も真似してはいけない…。

     真逆のことを言っているように思うかもしれない。

ヴァーサ号の歴史、引き揚げ、保存処理、そして、博物館… どれをとっても面白い。

17世紀、スウェーデンが国力・軍事力を見せつけるために国家予算をつぎ込んで作った前代未聞の超巨大軍艦・きらびやかな装飾とすらりと並んだ大砲。で、お披露目の日に1300m進んで沈没。そのキャリアを終わる。

     まあ、絶対王政の無駄金使った大失敗例。

1960年代に発見。船体の9割以上が残っていた。引き揚げて自ら浮かぶことができた。その後の保存処理。博物館の器を作ってから、オープンしたのが1990年代。その間、ずっと保存処理ー数十年間、ポリエチレングリコールという薬品のシャワーを浴び続けた船。

公開後、様々な問題が起こる…これについては後ほど。何せ、千葉県浦安の某お城がいくつかすっぽり収まる空間の上から下まで温度湿度を一定(±2度、±2%)に保っていないと、船体が崩壊するというバクダンを抱えながら展示されている。


日本でもたくさん紹介されていますし、ヴァーサ号博物館が公開している動画も参考になる。ぜひ、いろいろと自分で探してみて欲しい。




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