見出し画像

[イベントレポート] Shippio/10X: 事業成長と顧客課題、二兎を追うプロダクト開発の取り組み

こんにちは、プロダクトマネジメントチームの立石(@honbono1124)です。
9月11日に国際物流領域のDXを推進する株式会社Shippio、リテール(小売)領域のDXを推進する株式会社10Xによる合同イベント「事業成長と顧客課題~二兎を追うプロダクト開発の取り組み」を開催しました。
プロダクトマネージャーとして必ず直面すると言ってもいいテーマではありましたが、各社の実際に取り組みを交えて語られることで、とても面白いイベントになりました。
今回はその内容について実際の登壇資料を交えながらレポートします。


LT①: 株式会社Shippio_事業成長と課題解決を両立させるマルチレイヤーの顧客課題理解

1人目の登壇者は株式会社Shippioのプロダクトマネージャーである立石です。

登壇者情報

Shippioでは事業成長をしていく中で現場課題の解決と事業成長の両立に関して以下の課題に直面していると紹介しました。

  • 課題1: 日々大量のフィードバックをエンドユーザーから受けるものの、それらの改善が事業成長(売りにつながるプロダクト開発)になることが少ない

  • 課題2: エンドユーザーではなく、顧客の決裁者要望のみを優先する構造になると現場に使われないプロダクトになるリスクがある

上記を回避するために、「事業成長のための開発をしつつも現場を置き去りにしない取り組みが必要」だと問題提起しました。

事業成長と現場課題の解決を両立する難しさ

その解決策として、「現場の課題」や「売りにつながる決裁者の課題」の関係を構造化し、1つの顧客課題として扱うアプローチを提案しています。
現場の課題と決裁者の課題のトレードオフではなく、1つの大きな顧客課題の解決に対してROIの高い/ボトルネックになっているユーザ課題を見極めることが重要と捉えることで、事業成長と現場課題の解決の二兎を追った開発ができるのではないか、と説明しました。

ユーザ課題間の関係性を把握するアプローチ

上記のアプローチをもとに、ShippioではPdMがより現場課題~決済レイヤーの課題を網羅的に把握する必要があると考え、注力顧客に対して専属のカスタマーサクセスメンバーとPdMメンバーをアサインし二人三脚で顧客課題をに向き合う体制を開始したと話しました。

ユーザ課題を深く理解するためのCSとの取り組み

あくまでもShippioの現状に最適化した取り組みであることを強調しつつも、複数のユーザーの課題に向き合う必要のあるスタートアップにとっては、現場課題~経営課題の関係を構造化し、ボトルネック/重要度の高いユーザ課題にフォーカスして解消することが有効であることを最後に改めてお話させて頂きました。

まとめ

動画はこちらから👇 該当箇所から再生します。

https://youtu.be/g2B-d5gpJxY?si=xEjBYBfZMrqyMF_6&t=515

LT②: 株式会社10X_事業推進と現場課題解決の両立を目指すプロダクト開発

2人目の登壇者は、株式会社10Xの宮前宏一さんです。

登壇者情報

10X社では、顧客のネットスーパー上での売上に連動して利用料が発生するビジネスモデルのため、事業の成長と顧客の売上向上がアラインしている特徴があります。
そのため、顧客の売上向上に寄与する新機能が優先されてしまい、実際に店舗を運営する顧客のスタッフの体験を向上させる開発が優先されない構造になっている点を指摘されていました。

現場ユーザの課題

宮前さんはユーザー単位での改善インパクトが小さくとも、削減幅の総量としてのインパクトは十分に大きく、最終的には顧客の重要指標であるGMVに寄与できることを例に上げ、現場課題であっても事業成長につながる改善ができることを紹介しました。

現場課題解決による事業インパクトのイメージ

このような現場課題を見逃さない/確実に解決するために、定量分析に固執せず定性意見も優先順位付けの際に考慮することや、ドメインエキスパートと協業することで優先順位やソリューションの確度を高めることを取り決めていると説明いただきました。

現場課題の解決のために決めていること

最後に、ロードマップに乗るような大玉の開発と日々の小さな改善アイテムをバランスよく実装し顧客の事業成長を最大化することが大切と改めて強調し、ロードマップ作成段階で開発アイテムをあえて詰め込まずに余白を作り、開発着手可能な日々の改善アイテムをリソースの空いたタイミングで解消する取り組みを紹介してライトニングトークを締めていただきました。

ロードマップアイテムと日々の現場課題解決のバランス
現場課題の解決をバランスよく組み合わせるための取り組み

動画はこちらから。該当箇所から再生します。
https://youtu.be/g2B-d5gpJxY?si=HtrZSF747luvzGPv&t=1547

パネルディスカッション

パネルディスカッションおよびQAセッションで挙がった質問と回答をご紹介します。回答は要約のため、より詳しい内容が知りたい場合は動画をご覧ください。

Q. 決裁者・マネージャーの課題解決と、現場の課題解決に関するプライオリティ付けはどうやっていますか?

株式会社Shippio 立石:
基本的には事業成長につながる(=売りにつながる)課題の解決がロードマップとしては優先されます。
なので、決裁者・マネージャーの課題だから優先されるのではなくそこはフラットに判断しており、現場課題~決裁者・マネージャー課題を幅広く把握した上で、最もレバレッジの効くユーザー課題を解消することを意識しています。
株式会社10X 宮前さん:
10X側も決裁者・マネージャーからFBされる課題は基本的には現場ユーザの課題を抽象化したものなので、課題が現場と決裁者・マネージャーの間で分断されていることはなく、むしろアラインしていると感じています。
一方でロードマップには乗ってこないような現場課題も一定あり、定量的な指標は決まっていないものの、業務の大通り(=メインのユースケースとなる)の課題を優先的に解決することでなるべくインパクトが出る開発をすることを意識しています。

Q. プロダクトづくりの体制: 現場の声の拾い方・ドメインエキスパートとの協業はどうしているか?

株式会社Shippio 立石:
LTでもお話させて頂いたように、PdMがより現場課題~経営課題を幅広く理解する必要があると感じており、カスタマーサクセスとPdMがより密に連携し顧客に対して同じ解像度で課題を理解する取り組みを始めています。

その1つとして、注力顧客に対して専属のカスタマーサクセスメンバーとPdMメンバーをアサインし二人三脚で顧客課題をに向き合う体制を開始しましたが、加えて組織体制上の変更も加えており、現在CPOの配下にカスタマーサクセス本部とプロダクト本部を置いています。

Shippioの社内体制(CS/プロダクト領域)

この体制にすることでプロダクト本部とカスタマーサクセス本部が負う事業KPIに関して整合性が取れている状態になり、LTでも紹介したような二人三脚での取り組みをフットワーク軽く始めることができたりと、顧客のサクセスに対して常に目線が揃っている状態ができつつあると感じています。

株式会社10X 宮前さん:
10Xの対面となる顧客は基本的にネットスーパー事業部というネットスーパーの運営を統括する部署になります。そのため現場スタッフが所属する各店舗との間にネットスーパー事業部が噛んでいる構造になることが多いです。

もちろん事業部から得られるインプットもあるのですが、より現場の実作業やオペレーションを観察することで得られるアイデア・インサイトがプロダクト開発では重要だと考えていて、直接店舗(現場)のオペレーションを観察・ヒアリングできるようにしています。
特にリテールオペレーションズチームは頻度高くスタッフの現場観察を実施していて、彼らが得た共通のオペレーション課題や顧客ごとの差分をログとして蓄積し開発組織で共有することで現場の声を拾うようにしています。

10Xのネットスーパーの運営体制

パネルディスカッションの動画はこちらから。

改めて事業成長と顧客課題の両立は永遠の課題であり、その解決策も業界/組織/フェーズによって様々あると感じました。Shippioとしても引き続き二兎を追うためにあるべきプロダクト開発の姿を考え続けていきます。

👇プロダクトマネージャー募集情報


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?