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シリーズBのスタートアップが老舗企業をM&Aしてから1年間の軌跡

こんにちは!Shippio VP of Corporateの井上です。
2021年7月に正式に入社してから2年以上が経過して、やっとのことでnoteを書き出しています。

最初に簡単に自己紹介をさせていただきます。
キャリアは、投資銀行でM&Aやファイナンス等→グリーでM&A、ベンチャー投資、PMI、アライアンス、事業・予算管理、新規事業責任者→ウェルスナビで資金調達、IPO準備→メドレーで全社予算、M&A、PMI、新規事業・セールス立ち上げなど比較的幅広く事業サイド・管理サイドを歩んできました。

その中で縁あってShippioに入社して、コーポレート部門の責任者をやりつつ、2022年夏にシリーズBの16.5億円調達と同時並行で弊社初となるM&Aを実施しました。
(もちろんシリーズBの資金使途にはM&A資金も含めています)

M&Aの経緯、国際物流のプラットフォームを目指して

Shippioは「理想の物流体験を社会に実装する」をミッションに掲げ、国際物流におけるプラットフォーマーを目指しています。現在、貨物の輸出入を担う物流サービスであるデジタルフォワーディング、貿易業務SaaSであるAny Cargoを軸として事業を展開しています。

参考:デジタルフォワーディングとは

その中で、デジタルフォワーディングにおいて切っても切り離せないのが通関事業です。貨物の輸出入のプロセスにおいて通関は必須(旅行したときに税関の書類を出すのと一緒)で、今までは外部パートナーへ委託していましたが、お客様にシームレスなサービス体験を提供するため、内製化できないかを検討してきました。Shippioとしては、数年前からVCの方々ともコミュニケーションを重ね、事業をゼロから立ち上げるか、M&Aを選択肢とするかを考えおり、ちょうどマッチしたのが今回の協和海運でした。

参考:通関とは

また通関業務の内製化に加え、次なる事業展開となる通関業務のデジタル化の実証拠点を作ることも今回のM&Aの大きな目的でした。Shippioは、国際物流に関連する領域・プレイヤーを巻き込みながらプラットフォームの構築を地道に進めています。

どんな会社をM&Aしたのか?

改めて、どんな会社をM&Aしたかというと、通関業を営む業歴60年超の協和海運という20名程度の会社です。当時は後継者が不在で、黒字ながらも業績は低迷していて財務体質もよくない状態。古き良き老舗企業でITやデジタル化とは無縁の世界の方々でした。事務所も有線ネットのみ、全てオンプレ、紙ベースでの業務といった昔ながらの中小企業で平均年齢40代後半、社内の8割くらいが人生の諸先輩方といった感じです。

協和海運の事務所

M&Aの意思決定から、PMIって何をしていたのか?

前述の通り、数年前からVCの方々とM&Aを選択肢として検討していたので、本件は非常にスムーズにすぐに動くことができました。タイムラインでいうと、初めてお会いしてからクロージング(DDや契約交渉を含めて)まで3-4ヶ月でした。

ただM&Aの成功のためには、クロージング後のPMIが本当に重要です。
グループになったからといって、何もしなければ意味がありません。両社にとって何が成功なのかをちゃんと見据え、そのためのプランが必要です(それも短期だけでなく中長期も)。そしてプランをしっかりと実行していくことです。

ここまでは教科書的な話ですが、具体的に何をしていたかを少しリアルな部分をお話しします。

プランを作る上で、DDだけでは現場の業務や働いている方々の全てを把握できていないため、まず最初に全社員と1on1を実施しました。働いている方々がどういう方で、何を期待し、何を課題感と感じているか(感じていないかも含め)を理解し、取り組むべき優先順位を決めていきました。

一つ一つ徐々にプランを進めました。前提として、忘れてはならないのは「互いのメンバー同士の関係構築」です。協和海運のメンバーにShippioのオフィスにきてもらい、Shippioを知ってどんな人がいるのかを理解してもらう場を設けたり、両社で懇親会も開催し、顔のわかる身近な存在、「仲間」になってもらいました。

忘れてはならないのは、「インフラの整備」です。いろんな社内の情報インフラ(可視化)、業務システムのオンプレからクラウド化、有線LANからWifi、Shippioのメンバーの席確保などなど、地道に進めてました。

急いで「カルチャーを融合しよう」としたら負け

今までいろいろなM&Aをやってきましたが、急いで「カルチャーを融合しよう」として自分たちの会社でのやり方を押し付けようとするとPMIはうまくいかないと思っています。前述した通り、具体的に必要なプロセスを整理しながら徐々に進め、それぞれの会社の良い点・改善点を少しずつ引き出しつつ、人間関係を作りながら地道にやっていくことが重要です。

協和海運とShippio 合同忘年会の様子

1年が過ぎて、感じていること

1年が過ぎましたが、両社にとって今回のM&Aは成功だったと自信を持って言えます。通関の内製化も計画以上に進み、メンバー同士の関係も深まり、両社にとって順調な滑り出しの1年でした(課題はまだまだありますが笑)。

改めて、この国際物流領域は本当に面白いです。
老舗とスタートアップが一緒になって事業を進めることができる領域で、やりたいことが次から次へと出てきます。加えて、今後もM&Aを成長ドライバーとしての選択肢と考えることができる拡がりも面白さの一つです。

国際物流は、日常生活ではその存在を意識することはあまりありませんが、島国日本においてあらゆる産業や生活につながっているインフラです。私たちが日常で使っているものの多くは海を渡って運ばれてきています。経済の血液と言われる金融などと同様で、国際物流も経済の血液であり、絶対になくならないものです。

ただ、紙・FAXや電話などのアナログな部分が山積みになっていて、直近言われている2024年問題、高齢化による労働人口の減少等をデジタルで解決していく動きが一層加速していくと思っています。

参考:2024年問題とは

Shippioのビジョンを実現するためには、海外展開も必要だと考えています。日本だけでなく海外を含めたより大きなマーケットで事業展開をしていくために、目の前の課題を一つ一つ解決しながら会社を成長させていきます!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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