5G時代で変革する世の中

5Gでどのように世の中が変わっていくか、ここ半年情報収集していましたが、ドコモオープンハウスに参加して、かなり5G時代のビジネスチャンスや可能性が見えてきました。この記事はその内容をアップしていますのでよろしければお読みください。

まず簡単に5Gの基礎技術を説明すると

■5Gの基礎技術
・通信速度 5G 毎秒20ギガビット  4G 毎秒20ギガビット  →4Gの20倍の速度なる。2時間の映画が3秒でダウンロード、高精細な映像通信が可能になる。
・伝送遅延  5G 1ミリ秒  4G 10ミリ秒 
 タイムラグを意識することなく対応できる。伝送遅延がなくなるので、自動車の自動運転(危なくなくなる)や遠隔作業の実現が可能に。
・多数接続  5G 100万台 4G 10万台 が1k㎡あたり同時接続が可能。あらゆるものと同時にインターネット接続が可能になる。つまり、全ての電子機器と繋がることができるスマートシティが実現できる。

・基地局 2021年 10,000局  2024 26,344局
導入当初5Gの使えないエリアは4Gと接続してカバー。この範囲が年々変わっていき5G単独のネットワークになっていく。基地局は4Gの基地局にアンテナをつけていくので、基地局が多いドコモには有利。基地局拡大によるユーザ利便性向上は2023年以降と予測。


基地局を作るのには時間とコストがかかるため、当面は限られた場所での利用が進む。つまりBtoCではなくBtoBの利用が中心になっていくだろう。特にローカル5G(5Gが使える場所は、キャリアに依拠しなくても自分たちで設置することが可能。トヨタのスマートシティ構想)は施設や工場などに設置されていくため、キャッシュが潤沢な企業や大型自治体利用が中心になると予測。2020年は5G商用化元年。BtoCに一般化していくには2023~24年頃からと予測。


ビジネスに与えるインパクト

医療(遠隔操作、バーチャル参加) 工場や機械の遠隔作業、自動車の自動運転などが一般的にイメージがつきやすいが、エンターテイメント、教育などにも画期的なサービスが展開される。

画像3

まず、エンターテイメントは
ライブ:バーチャルライブ参加(人気アーティストやフェースへのバーチャル参加)。サザンやミスチル、ジャニーズなどのライブ空間に手軽に参加でき臨場感のあるライブ体験が可能。最初はコンテンツとして提供されるが、同時接続も可能になってくる。ライブ体験がまったく変わってくる。

*5Gと繋がることで、ARやVRではなく、「physical(肉体)」×「virtual(仮想)」が融合し特別な「Spatial(空間)」が提供される。

つまり、有名アーティストやイベントのキラーコンテンツを販売したり、バーチャルライブに参加することが可能になり、そこに課金システムが生まれるため、エンターテイメント業界はバーチャル空間による新たな収益構築が可能になる。

空間移動型ヴァーチャルリアリティ・システム ABALのサービスが一番イメージしやすい。



ドコモオープンハウス出展社紹


ゲーム:リアルとバーチャルが融合したエンターテイメントの実現。家の中で敵が出てきて戦えるとかスポーツもバーチャル上で試合できる。サバイバルゲームをしている時の敵がバーチャルに出て来て戦うことができる。また触感センサーによる体験もできるのでより臨場感が高くなる。ドコモが提携したMagic Leap社の技術はかなりその技術にたけているので面白そう。

Magic leap社の取組がHPに記載されているので、その映像を見ればどんなことができるかわかるはずです。こうした技術が商用化されていきます。

ちなみにMagic leap社はNASAにも採用されており、その技術は注目されています。


旅行:世界各国の観光地にMR旅行ができるようになる。コンテンツのクオリティが高ければ360度体験による新たな旅行体験の実現する。観光地でもいけない場所にいける体験が可能。リアル旅行体験はその場所に必要なデータがあらゆる場所から入手可能になる。より利便性の高い旅行体験の実現。

観戦系:ライブやスポーツ観戦が様々な確度からの視聴が可能。好きな選手の動きだけを追うことも可能。またカメラの小型が進めば、選手そのもののリアルな動き体験も可能になる。極論ですが、メッシの動きを、その試合で体験することもできるようになる。

画像1

また、eスポーツなどの産業拡大も当然起こりうる。アメリカにおけるオリンピック視聴平均年齢が約48歳という数字が衝撃的だったが、見る・するスポーツが変わっていくことは間違いないだろう。


2020年もスケボーやサーフィンなどの若者向けのスポーツが取り入れらている。あと20年たったら、オリンピック競技種目がどのように変わっていくか興味深い。

教育:遠隔教育の実現。有名講師への遠隔授業などの実現が可能。勉強だけでなく、スポーツなど様々な分野の教育がバーチャル空間で実現可能に。最初は録画した360度コンテンツでカリキュラムが受けられたり、リアルタイム講義などが実現可能に。

画像2

クレッセント4D Viewsのサービス


各領域のプロフェッショナルはマネタイズ機会が確実に増加。人気講師のコンテンツを体験しながら学べることは非常にすごい(これは体験してみるとよくわかるので、イベントなどで是非体験してほしい)また、地域の人たちはエリアに関係なく人気のカリキュラムを手軽に受けることができるようになる。

防犯 バーチャル警備の実現。人の配置が要らない。ロボットの配置や顔認証連動による危険人物の割り出し、AIによる動きのアルゴリズムから不審人物の抽出なども可能。

セコムの取組


防災 ドローン活用やロボット活用ににより、人が行けない場所まで作業が可能に。  

などなど、まだまだいろんな産業に影響がありそうだが、上記が実現されることによって、企業においては新しい体験価値の提供に加え、業務質、作業精度向上、人不足解消など様々なメリットが創出される。ここにAIが加わればよりマルチな展開が可能になっていく。

5Gによる産業構造変革

産業だけでなく、仕事の行い方も変っていく。

クリエイティブ:クリエイターがバーチャル上の3Dグラフィックを活用した制作が可能に。世界中の有名なクリエイターと共同で作業が可能。デザインの世界が大きく変わる可能性がある。遠隔作業、より高品質な制作などが実現していく。

会議 バーチャル空間に遠隔会議の実現。バーチャルな空間で同じ場所にいるのと変わらない、打合せが可能になる。

これらの実現により、生産の質が変ったり、業務の効率化も実現することができる。リモートワークによる地方×都市の隔たりがよりなくなったり、自宅業務も可能になる。介護や子供のいる家庭などのリモートワークがより行いやすくなる。(後述、コロナの影響で、5Gでなくとも2020年に既に現実化。つまり予定は早まる可能性があるということです)

その半面、業務の効率化、人から機械(ロボット)への置き換えによる人員削減は確実に起こりうる。また、会議のダイエット化により出張機会の減少も確実に起こりうる。そうなった場合、これもほんの一例に過ぎないが、交通、ホテルなどのへの産業インパクトは大きいかもしれない。

これらのインパクトが出始めるのが2025年前後で2030年には確実に置き換わっている時代になると思われる。

マイケル・A・オズボーン准教授が発表した内容がほぼ現実化してくることを実感せざる得ない。


5Gは 「physical」×「virtual」が融合し「Spatial(空間)」の垣根がなくなり「Location-based Experiennce」の革新が起こる。

「その場所での体験価値」と「バーチャル空間での体験価値」の2軸でどんどん進化していく時代になる。またそこに、AIが加わることで産業構造が大きく変ってしまう時代になるだろう。

企業は、今からこの時代の変化(DX、5G、IOT)を組み入れ、自分たちがGAFAのようなプラットフォームになっていくことを目指していくべきだろう。デジタルトランスフォーメーションの4領域「Customer EX」「Process innovation」「New Business」「Date driven」で例えると、「Process innovation」は今回紹介した内容のようにどんどん変化していく。そしてビッグデータ、IoT、5Gなどを活用した「New Business」を構築した企業がNo.1として生き残れる可能性が高い。広告・マーケティング業界で働く自分としては、「Customer EX」をどう変革していくかが楽しみ(この話はまた別な機会で)




あと、ここにもう一つ加えるとしたら、人生100年時代一生働くことのできる時代になるが、スキルセット陳腐化のスピードも早くなる。成功体験の継続が担保できない40・50代も大変だが、若い人たちは更に大変だ。終身雇用の崩壊がおきたり、継続的な新たなスキルセット習得が必要な時代になるからだ。そのために自分を磨き続け常に成長していく「co-presence」の時代となるだろう。そのため、今後、働き方の多様性「パラレルワーク」が必要なってくると思う(この話もまた別な機会で)。

参考:5G各キャリアの取組


後述

変わりゆくメディア接触

普及状況と料金体系にもよるが、メディア接触に与える影響はかなり大きい。そもそもメディア接触という定義自体も変わる可能性があるのではないか。常時接続・大容量が当たり前になってくると、時間と場所に応じたメディア接触・情報取得行為が一般化するため、テレビメディアに接触するという定義ではなくテレビデバイスに接触して情報を取得するという概念に変わっていく。テレビでは地上波ではなくインターネットしか見ない。逆もしかりで、地上波をテレビで見る必要もなくなってくる(放送網自体の概念なども変わってくる)。となると、若年層を中心に更にTVを中心としたマスメディア接触時間が減少していき、インターネット接続メディア接触時間というような概念が必要になってくるのではないか。「モバイル>テレビ>PC・タブレット」「モバイル>PC・タブレット>テレビ」。こうなってくると、全て繋がっている前提で、単独メディアフリークエンシーモデルではなく、重複メディアフリークエンシーモデルが一般化し、重複メディア接触効果測定が1IDで管理できるようになっていくはずである。そうなれば、最適なメディア(デバイス)接触と購買行動が紐づけられ、インターネット広告自体の価値が、コンバージョン、ブランドリフトに加えリアル購買までトレースできるようになり、ブランド広告主・消費財広告主に取っての有効メディアが可視化されていくのではないだろうか。

メディア接触状況参考



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?