
『心が踊る個人目標』 設定と支援の実践的アプローチ
こんにちは!
昨日の miisanさん に続き、Engineering Manager Advent Calendar 2023 の 20 日目はログラスの塩谷 @shioyang がお送りします!
みなさんの会社では目標設定をしていますか?
会社のミッションを達成するために、短期で目指す方向性を明確にして、重要な事柄に焦点を合わせる目標設定をされていると思います。
自身も目標設定をしているいちメンバーとして、チームメンバーの目標設定を支援する EM として、目標設定に関わっている方が多いのではないでしょうか。
しかし、個人目標を立てるいちメンバーとしても、また支援する EM としても、目標設定はむずかしい点が多くあるのではないでしょうか。
わたしは前職で EM として 10 名以上のエンジニアが目標設定をする支援をしていましたが、毎度悩みながら試行錯誤していました。現在はいちメンバーとして製品開発をしておりますが、自身の個人目標を立てる際も同様のむずかしさを感じています。
毎回試行錯誤をする中で、自分なりの「むずかしさの仮説」と「整理する方法」ができてきました。
個人目標の設定方法のひとつとして参考に、そして EM の方々が支援する際のヒントになると嬉しく思います。
目標設定のむずかしさ
個人目標を設定するうえでのむずかしさは「個人と組織の目標を接続すること」だと仮説を持っています。
1. 個人としてやること・やりたいこと・期待されていること
2. 所属する会社・部署・チームなど組織の目標
短期の視点で二つをうまく重ねることが「むずかしい」のではないでしょうか。
例えば、1 を起点にして考えていくと作業の TODO が目標になってしまったり、逆に 2 を起点にすると個人で何をしたらよいかわからない目標になってしまったり。他にも、1 がどう 2 に貢献しているのか実感が湧かないなどもありがちなことです。

EM 視点でみると「むずかしさ」から他にも下記の課題があります。
どうやって組織の目標やチーム目標に合った個人目標を設定してもらうか?
本人が熱い気持ちになり日々掲げるに足る目標にするには?
本人の成長を促し、ちょうどよいストレッチ目標にするには?
進捗をトラックするために数値化するには?
本人に方法の自由度を残した目標にするには?
個人と組織の目標を接続する
このむずかしさの要因として立てた仮説「個人と組織の目標を接続する」を整理するために、自分は二つのことをしています。
1. 抽象度合いを変えたつながりを整理すること
2. 抽象度を調節して接続を見出すこと
次の状況を例にして説明していきます。
本人の想いを率直に書き出したところ「特定言語のスキルを身に付けたい」といった目標が出てきたとします。
一方、今期のチーム目標は「新機能のMVPを成功させる」ことで、トラック指標として「新機能のユーザー数を100名にする」ことを挙げています。

1. 抽象度合いを変えたつながりを整理する
まず、最初に出てきた「特定言語のスキルを身に付けたい」に対して、WHY?を重ねることで、抽象度の高い内容を引き出していきます。

同じようにチーム目標も抽象度合いを変えたつながりを整理します。
通常、組織の目標は抽象度が比較的高いので、WHAT?や HOW?を使って抽象度を下げて具体化していきます。

2. 抽象度合いを調節して接続を見出す
次に、1 を繰り返して抽象度合いを調節しながら、個人とチームを接続していきます。
今回の例では「開発スピードを上げたい」と「スコープを絞って早期リリースする」がうまく接続できました。
実際には個人側とチーム側で異なる選択肢を増やして木構造になっていきます。そのうえで抽象度合いを調整して、両側の接続を探していきます。

目標設定を支援する
「個人と組織の目標を接続する」やり方においては、EM の支援は下記のタイミングになります。相手の状況に合わせて、これらを組み合わせて支援していくとよいのではないでしょうか。
1. 個人の目標から WHY?WHAT?HOW?を投げ掛けて、抽象度合いが異なるつながりを引き出す支援
2. チーム目標をブレークダウンして抽象度合いが異なるつながりを引き出す支援(または、自ら整理をして認識を共有する)
3. 個人とチームの抽象度合いを調節して、接続箇所を見つける支援
4. 本人に合った抽象度合いを目標にすることで、ストレッチ度合いの調整や自由度の調整をする
5. 抽象度合いを行き来しながら、適切なトラッキング数値を定義する支援
先ほどの例を用いると、次のようにマッピングできます。

『心が踊る個人目標』
目標設定はむずかしい面もありますが、「個人としてやること・やりたいこと・期待されていること」がうまく「所属する会社・部署・チームなど組織の目標」に接続されていると、組織の方向性に合った個人目標の設定がしやすくなります。
そうして設定された個人目標は内発的な動機に接続されています。加えて組織の方向性とも合った動きになるため、協力をお願いしたり助言をもらったりしやすくなります。
まさに『心が踊る』目標となり、意欲的な行動と大きな成果が生み出されていくことでしょう。
今回自分が目標設定で試しているアプローチを説明しながら、各タイミングで EM が支援できることを書いてみました。設定と支援のひとつの方法として参考になればと思います。
みなさんがされている方法や、試してみてうまくいった/いかなかったお話なども教えてください!
心が踊る日々を送りましょう!
明日は yokishavaさんです。おたのしみに!