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ウニを飼いたくて 〜水槽立ち上げ編〜

はじめに

みなさんは「キャベツウニ」をご存知でしょうか。
一部の地域で海の海藻を食べ尽くして「磯焼け」を起こすウニは、飢えにより可食部が少なく食用には適さないため、本来なら駆除対象となります。そんなウニに廃棄野菜を与えて育て、食用として流通できるようにする取り組みがあります。
その取り組みを紹介した動画の中で、キャベツを食べるウニが話題になりました。

この動画を見て、私は「食用としての」ウニではなく「生き物としての」ウニに強く惹かれました。そこ口なんだ、よく食べるな、なんか……かわいいな……
そして、いつか自分もウニを飼ってみたい、と夢見るようになりました。

一般的に市場に流通しているウニといえばオレンジ色の可食部ですが、わずかながらペットとして販売されている生きたウニがいることが分かりました。海藻を食べる生態を活かして、水槽のコケ取り要因として重宝されるらしいと。

夢だと思っていたウニ飼育が実現できると分かり、計画を立て始めました。


下調べ

そもそも私は、海水はおろか淡水の水槽のお世話すらしたことがありません。幼少の頃、親が世話している金魚にたまに餌をやっていた程度です。
そんな水槽初心者なので、何が必要なのかも全くわかりません。初心者向けのサイトや他の水槽オーナーのブログなどを読みながら、海水水槽に必要なものをまとめました。

必要な設備をまとめたメモ。あまり細部が想像できていないことが伺える

まず、海水の生き物であるウニを飼うには海水がなくては始まりません。海水を作るためのカルキ抜き、人工海水の素、比重計、バケツが必要と分かりました。
次に重要なのが、水質を保つためのフィルター、空気を送るためのエアレーションシステムです。これら2つの機能を兼ねているものもありますが、この時点ではあまりイメージが湧いていませんでした。
最後に、ウニの住環境をより良くするための砂と岩、照明、水温計が必要と分かりました。

ウニお迎えまでの工程をまとめたメモ。こちらも細部がイメージできていない

あわせて、実際にウニをお迎えするまでの工程を調べました。
水槽を立ち上げてすぐに生き物をお迎えできるわけではなく、しばらく循環させ続ける必要があるようです。最初はその意味が分かっていませんでしたが、のちにこの工程はバクテリアを定着させるためとわかります。


買ったもの

水槽立ち上げに際して買ったグッズを紹介します。

1. 水槽

初心者向けのサイトを見ると、どのサイトも口を揃えて「水槽は大きい方がいい」と書いてありました。理由は、水量が少ないと温度変化や蒸発の影響を受けて水質が変わりやすいから、とのことです。
ですが、私が飼いたいのはウニ1匹。他に魚などを入れる予定もないので、30cmで十分だろうと判断しました。
結果、30cmを買ってよかったです。というのも、私は普段MacBookより重いものを持つことがなく、30cm水槽の重さでも取り扱いに苦労しています。これ以上大きな水槽を買っていれば自力でどうしようもなかったと思うので、30cmは自分にとって適切なサイズでした。
長くお世話を続けることを考えると、水槽だけでなくすべてのツールにおいて、自分にとって扱いやすいことは重要だと感じます。

なお、水槽本体にフタが付属していて、追加のフタは必要ありませんでした。フタは意外と汚れやすいので、予備として置いておくことにします。

2. 人工海水の素と周辺ツール

海水を作るときの使用順に並べています。

まずは海水を作るためのバケツと、水換え用のポンプです。
10Lで十分だろうと考えて、メンテナンスセットとしてまとまっている商品を選びました。
これも水槽と同じく、大きすぎると重いので10Lでちょうどよかったです。私が持ち運べる水の量は6Lが限界です。アクアリウムには腕力が要る。

カルキ抜き。即効性のあるタイプです。

人工海水の素。バケツサイズの大容量のものもありましたが、水槽が小さいためそこまで大量に使わないだろうと考え、小さめのものを選びました。長く保存すると固まってしまうこともあるようなので、適量を選ぶのがよさそうです。

比重計は安価なものでも十分使えるようだったので、プチメーターを購入しました。
使ってみてわかったのですが、けっこうブレます。同じ水を計ったはずなのに1回目と2回目で全く違う値になったり。水を念入りに混ぜて、何度か繰り返し計るのが良いようです。

作った水の水質を計る試験紙です。pH、亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩硬度、カルシウムの値を計れます。

3. エアレーション

初めてなので小さく始めたいと思い、フィルターとエアレーションを兼ねた設備を採用しました。

チューブの端4cmほどを切ってエアーポンプと逆流防止バルブを接続し、残りのチューブで逆流防止バルブとロカボーイを接続しました。以下のようなイメージです。

[エアーポンプ]==[バルブ]===============[ロカボーイ]

ただしこの設備、チューブがシリコン製なのでウニがかじってしまう懸念があります。
使えなかった場合に備えて、別のフィルターも用意しています。水中にチューブを垂らさなくて良いのがポイントです。

4. 住環境を豊かにするツール

生体として流通しているウニは20〜25度の水を好むものが多いです。特に今は夏場なので水槽が高温になる懸念があります。水槽用クーラーを導入すべきかどうかの判断材料として、水温計を投入しました。
小ぶりなサイズかつ、吸盤で水槽の内側につけられるので便利です。

水槽の底に敷く砂です。砂が舞うと砂に溜まったゴミも舞い上がって生き物に悪影響を与えるとのことだったので、舞いにくそうな大粒の砂にしました。

岩です。ウニの隠れ家になってくれることを期待しています。
おそらく本物のライブロックの方がよさそうなのですが、本物のライブロックにはゴカイなどさまざまな生き物が付着しているとのことで、初心者には扱いきれるか不安だったのでレプリカにしました。
中が空洞になっており、中に水が入ることで沈む構造になっているのですが、その部分は水流が停滞するので水質が悪化しないか少し心配です…。

生き物のバイオリズムを整えてあげるためには屋内の光では不十分とのことで、ライトを導入しました。
ライトを赤色にできると夜行性のウニの動きも観察できる、とフォロワーさんに教えていただき、色を変えられるものにしました。
赤色のライトの下で動く夜行性動物といえば、キウイを思い出しますね。(キウイの記事はこちら

なお、水草類はウニが食べてしまうとのことだったので、いったんは植えないことにしました。そのうち見栄えを追求し始めると植えるかもしれません。

5. おまけ

ガラス製の小さなウニです。体長1cm程度。
本物のウニをお迎えするまで水槽が寂しいので、それまでガラス製のウニを可愛がろうという狙いです。

いざ、水槽立ち上げ

やったことを簡潔に記録します。

  1. 水槽を水洗いする
    生き物に有害な成分が残らないよう洗剤は使わず水洗い。水槽に傷をつけないようスポンジを使わず手で洗う。

  2. 水槽を設置する
    それなりの重さになるので安定した場所に置く。

  3. カルキ抜きと海水の素で海水を作り、比重計で計って問題なければ水槽に注ぐ
    重いので6Lずつ、3回作って注いだ。合計18L。

  4. 砂を軽く水洗いして水槽に敷く
    バケツに砂と水を入れ、洗濯機の要領で撹拌させるように洗った。濁りが少なくなるまで4回ほど洗って排水してを繰り返した。
    水槽に敷く厚みは1.5cmほどにした。

  5. エアレーション設備を投入する
    エアーポンプが水面より低くならないように配置する。
    設備の詳細は前述の「買ったもの>エアレーション」にて。

  6. 岩、温度計、ライトを設置する

  7. ガラスウニを投入する

立ち上げ直後は砂が舞って白く濁っていましたが、翌朝になると沈殿してきれいに透き通っていました。

立ち上げ直後の水槽。砂が舞って白く濁っている
立ち上げ翌日の水槽。水が透き通っている

水槽の水質を計ると、極端な外れ値はないもののカルシウムがやや高めでした。特に害はなさそうなので良しとします。
また、部屋のクーラーを動かしていたので水温は常に24度前後を保っていました。

水槽立ち上げ後に起きた問題

騒音が気になる

水槽立ち上げから2日後、エアーポンプの振動音が気になって眠れないという問題が発生しました。これは人間にとっては死活問題です。
なるべく音が気にならない置き場所を探しました。

水槽のフタに置くとあまり音がしなかったので、最初の1週間はこれで過ごしました。しかし、よく考えると「これはウニの住処を振動させることになるのでは?」と気付き、ウニのストレスにならないよう別の置き場所を考えました。

最終的に、水槽のそばにある家具にぶら下げるという方法で事なきを得ました。エアーポンプに穴が空いていたため、そこにヘアゴムを通してフックにぶら下げています。
最初の設置時と同じく、エアーポンプが水面より低くならないよう気をつけました。

空中にぶら下がっているエアーポンプ

今ではすっかり音が気にならなくなり、毎日快眠です。

水が白く濁る

水槽立ち上げから3日後、水が白く濁っていました。

立ち上げ直後と比べると明らかに濁っている

調べたところ、水槽立ち上げ直後にはまだバクテリアが定着していないため、汚れが分解されず濁ることがある、とのことでした。

一般的にろ過バクテリアの定着には10〜14日かかると言われています。

なるほど、まだ立ち上げて3日だし、もう少し様子を見るか。そう考えてさらに2日ほど経ったとき、ふと気付きました。

「バクテリア、投入したっけ……?」

そう、私はバクテリアが発生するようなものを何も投入していませんでした。
慌てて購入したのが、ロカボーイ用のバクテリアフィルターです。

水換えとフィルター換えを同時に行い、1週間ほど様子を見ました。多少はきれいになったような、そうでもないような……

バクテリアフィルター導入後の水槽。あんまり変わってない……?

とはいえ、リアルな海水にも多少の濁りはあるはずなので、極端に濁っていなければ良しとします。

水槽周辺が塩まみれ(未解決)

水槽立ち上げから10日ほど経って、水槽周辺が塩まみれになっていることに気付きました。よく見ると、エアレーション設備から発生する泡が弾けて水が水槽の外に飛んでいるのが目視できました。
調べてみると、これは海水水槽あるあるのようです。解決策としてはぴったりのフタをオーダーメイドするか、DIYするしかなさそうです。
一時はラップでガードを試みましたが、水槽とラップの隙間を伝って水が垂れてくるので解決になりませんでした。

吸水性がありつつ通気性も良いガーゼなどで隙間をガードすると良いのでは…と考えていますがまだ試せていません。
地道にこまめに水槽周りをティッシュで拭く生活をしています。

良い方法をご存知の方がいればぜひ教えてください。

まとめ

水槽の立ち上げだけでも初めてのことばかりで、いろいろな試行錯誤がありました。難しいですが、自分だけの水槽を作っていく過程はとても楽しいです。

次回はウニお迎え編を書ければと思っています!

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