さなぎでいれない私たち −−− 十一月③ −−−

 「賀屋くんって、どこの大学に行くの?確か、推薦でしょ?」

 私がそう訊くと、彼は「なになに?いきなり」といつものようにへらへらと笑った。

「まぁ、一応指定校推薦で徳島のほうに行くことになってるけど」

 徳島……。もはや西日本なのか、と思った。

「徳島か……遠いね。賀屋くんならそんな地方に行かなくても成績足りるでしょ?」

 すると賀屋くんは照れたように、「まぁそうなんだけどさ、ぶっちゃけ。何を学びたいかって考えたとき、そこが一番でさ」と首を掻いた。

 そういえば、賀屋くんは将来起業したいと言っていた。みんなそうやって、明確な目標をもって大学を選んでる。そうなると、ただなあなあに勉強して大学に行こうとしていることが恥ずかしく思えてくる。

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