さなぎでいれない私たち −−− 一月⑤ −−−
頬を撫でる空気は柔らかく、暖かかった。
「起きたのね」と、保健室の先生が言った。天井は、よく小説で表現されるほど白くはなかった。どちらかと言えば薄橙色っぽくて、ほくろみたいな黒いしみがぽつぽつとついていた。
頭が真っ白で、何を言えばいいのかもわからなかった。ただこの暖かさに包まれて、ぼぉ、っとしていたい気分だった。
「職員室の前で過呼吸で倒れたのよ、あなた」
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