さなぎでいれない私たち −−− 一〇月③ −−−
面談が終わり、昇降口でお母さんが迎えに来るのを待った。雨が降り出し、傘が一つしかない私たちはお母さんが先に車に乗り、迎えに来るということで合意した。
「あれ、瀬戸内さん。三面の帰り?」
そう、ストレッチをしながら美裏くんが話しかけてきた。どうやら、練習はひと段落着いたようだった。
「うん。------そういえば、尾張くんどうした?面談が私たちの前だったんだけど、そのころにはもう雨降り出してて」
美裏くんは長座の体勢になって、「背中押して」と言った。私はぐぅ、と背中を押し、その力に比例するように美裏くんは前に倒れた。
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