さなぎでいれない私たち −−− 九月⑤ −−−
「第一位------緑団」
「よぉぉぉぉしっ!!」
賀屋くんが飛び上がる。その後に賞状とトロフィーをもらいに朝礼台のもとへ走る権田くんと、すれ違いざまにハイタッチをした。
権田くんがトロフィーを受け取り、高らかにそれを掲げると、周りからはまばらな拍手が起こった。体育科の先生が、「早く戻って」と口パクする。それでも権田くんは、しばらくの間トロフィーを掲げたままでいた。
「えー、続いて、最優秀選手賞の発表をいたします」
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