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【詩】夕暮れどき

大塚行きの電車が
夢見心地にドアの向こうを走り過ぎる
そんな夕暮れどきに
君はガード下の中華料理店で
タンメンを啜る

頭上を行き来する赤や青の電車
そのとき
吊り革に手が届かずに
あなたの髪をつかんだ子どもたち
西日は無情に胸元を照らしてきた
声を殺して悲鳴を上げる

タンメンは水っぽく
少し塩っぽく
透きとおっていて
皺くちゃな野菜と肉が浮いていた
とてもありきたりだが
溺れてしまいそうな
味と匂い
そのとき急に陽が傾いた

ホームで小豆色の電車を待っていた高校生
スマホで顔を隠したまま
黄色い線を超えてしまった
パーンと警笛が鳴る
君はタンメンを啜っていた
頭の上では
みんなが金切り声を上げていた

街にひんやりとした風がただよう
裏路地では風鈴が鳴ったりしている
君はお腹をいっぱいにして
散歩をする
ここいらは少し高台になっていて
街を見渡すことができる

太陽が沈もうとしていた
巨大な太陽が
地球最後の日の赤色巨星となって
街を飲み込もうとしている
今ではもう
誰も悲鳴を上げようとはしない
全てを受け入れて
心を安らかにしている

やがて朝の来ない夜が訪れ
最終電車は君の眼の中を走り過ぎていく


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