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大都会の秘境路線

首都圏の超異色路線

こんばんは、しおさいです。

「ローカル線」と聞くと、みなさんはどんな路線を思い浮かべますか?

お客さんもあまり乗っていない、1~2両の小さな列車が、田園風景や山岳地帯をコトコトと走る姿を想像する方が多いのでは。

Wikipediaでの「ローカル線」の項を引用すると、

ローカル線(ローカルせん)とは、閑散線区などの輸送量の少ない鉄道路線及び道路・航路のことを指す。

とあります。おおむねみなさんの想像通りではないでしょうかね。

ですが、「閑散線区などの輸送量の少ない…」という記述にあてはめると、ローカル線の定義に入る路線は田舎を走っていることに限定されません。

いわゆる「大都会のローカル線」です。秘境路線は、僕らの住む街にも、ひっそりと隠れているのです。

今回はその一つ、「鶴見線」に触れてみたいと思います。

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↑オレンジが本線、黄緑が海芝浦支線、黄色か大川支線、緑が南武線(浜川崎支線) Yahoo地図から

神奈川県は横浜市、京浜東北線の鶴見を起点に、川崎市の扇町まで、7.0㎞の短い路線。加えて、浅野から海芝浦まで1.7㎞の海芝浦支線、そして武蔵白石から大川まで1.0㎞の大川支線。この3線区から構成されています。

地図をご覧いただくと、京浜工業地帯の埋め立て地を走っているのがお分かりになるかと思います。
このエリアは工場が多数あり、主な利用者は沿線にある工場への通勤客と、鶴見駅方面の通勤・通学客となっています。
平日の朝夕に利用客が集中するために、その時間帯は列車の本数が多いのに対し、利用客の少ない昼間や休日は列車の本数もガクンと減ります。
また、1971年に大幅な合理化がなされ、鶴見駅以外はすべて無人駅となっています。

これだけだと、鶴見線の異色っぷりを説明するには足りないので、実際に乗っていきます。

(2019年3月17日)

ねこの住み着く本線末端

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浜川崎駅にやってきました。
さっそく「?」という看板が初訪問の客を待ち構えます。

右は鶴見線ホームに続く階段ですが、見ての通り左はJFEスチール東日本製鉄所に続く通路となっています。当然ながら部外者は立ち入り禁止です。

扇町行きまでは微妙に時間があるので、ホームに降りてみます。

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ねこです(縦画面撮影ゆえのスペース占領すまぬ)

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浜川崎までは昼間でもそこそこ本数がありますが、終点の扇町までは2時間に1本。言っておきますがここは100万都市・川崎です。

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浜川崎を出発してすぐ、貨物駅が左手に見えてきます。かつてはセメント関連の貨物列車が発着していましたが、現在は枯れ草が線路を覆っていて、あまり使われていないようです。

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終点の扇町にはすぐに到着。ここにも隣には貨物用側線があり、今年春までは秩父に燃料用コークスを運んでいたそうです。

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ねこが住み着いています。

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何か特別なものがあるわけでもなく、線路は駅舎の直前でプツリと終わっています。

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なんとシンプルな駅舎。無駄なものをほとんど省いていますね。

乗ってきた電車で折り返し、次の目的地へ。

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沿線に住宅などは皆無に等しく、建物のほとんどは工場です。ちなみに左隣の高架橋はとっくに廃止されましたが、いまだに放置されています。

超閑散線区・大川支線

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浜川崎の次、武蔵白石で下車。右に急カーブして分かれていくのが大川支線です。

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電車移動派の僕が線路沿いを歩くことはめったにありませんが、今回はやむにやまれぬ事情で歩きます。

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武蔵白石から1.0㎞。大川支線の終点、大川に到着。かなりくたびれています。

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わざわざ歩いてきた理由は、この区間の列車の本数にあります。見ての通り、ここにやってくる列車は朝夕の数本。土休日は1日にわずか3本という少なさです。時間帯的に列車には乗れなかったので、歩いてここまできたわけです。

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ただでさえ寂しい鶴見線各駅の中でもここの寂しさは群を抜いています。

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早歩きで帰ってきました。なんとか次の電車には間に合いそうです。

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あらためて分岐点を見てみます。1996年まではここにホームがあり、名実ともにここが大川支線の起点でした。しかしそれは短い旧型車両が生き残っていたからこそできたこと。車両を本線系統と合わせる際、急カーブ過ぎてホームと列車が接触してしまう可能性があったため、ここのホームは撤去され、隣の安善が実質的な分岐駅となっています。

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やってきた電車に飛び乗り、2つ先の浅野で下車。ここは海芝浦支線の分岐駅で、写真左手にカーブしていくのがそれです。

鶴見線のほとんどの駅に共通することですが、駅前にはコンビニすらありません。本当に何もありません。
そんなわけで、海芝浦行きまで30分ほど何もせず待つことに。

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春爛漫、桜こそ咲いていませんが日差しが心地いいくらいの季節です。
ホームに寝転んでみようかと一瞬考えましたがそれはやめておきました。

海に近すぎる海芝浦支線

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30分待って海芝浦行きの電車に乗り、次の新芝浦へ。ホームのすぐ後ろは運河です。

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新芝浦を出ると明らかに工場の敷地内とわかるところを通り、

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着きました、海芝浦。

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噂には聞いていましたが、いざ目の前にすると…。

たしかに、この光景を初めて見たときは息をのむくらいですね。

さすが、「海に一番近い駅」と言われるだけのことはあります。

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よく知られた話ですが、海芝浦駅は完全に東芝の敷地内であり、よそ者は駅の外に一歩たりとも出ることができません。信じられないようですが、マジです。

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ホームから首都高湾岸線・鶴見つばさ橋を眺めます。夜間はライトアップされるとのこと。この駅からは「工場夜景」が見られるらしいので、夕方に訪れる機会があったらぜひ見てみたいものです。

異空間から現実へ

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折り返し電車で一気に鶴見へ。
左は東芝、右はすぐ運河と、ほかの路線では絶対に見られない光景。

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弁天橋を出ると、鶴見線の電車がいる鶴見線営業所が見えてきます。所属は南武線にある旧中原電車区(今年春に鎌倉車両センターに統合されたらしいですね、初めて知った)となっています。

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住宅地の中にある鶴見小野でたくさんのお客さんを乗せ、高架橋に上がって国道に到着。京浜国道こと国道15号の真上にあることからついた駅名で、レトロ感で人気になりました。

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その国道を出ると鶴見線は右にカーブして、東海道本線を跨ぎます。京浜東北線の電車が、鶴見線という都会の異空間にとらわれていた感覚を現実に引き戻します。

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起点の鶴見に到着。他路線とは完全に独立しており、京浜東北線から乗り換えてくるとこの時点で違和感バリバリです。

とまあ、なんともレトロ感ある、工場地帯の秘境路線、鶴見線の旅でした。

「都会の秘境路線」と言われる路線はこれ以外にもたくさん(青梅線や久留里線など)あります。現実から離れてみたかったら、ふらっと電車の旅に出てみてはいかがでしょうか。

それではまた!


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