初心にかえる【太鼓の達人20周年に寄せて】
このリザルトは、今月末で店じまいするとあるゲームセンターで昨日撮ったものです。
そのゲームセンターは☆10をはじめてフルコンボした場所———つまりこの曲をはじめてフルコンボした思い出の場所です。
そんな裏話のあるこの1枚ですが……実はもう一つ、裏話が隠れています。
今回はそれについてお話ししていきます。
まずは前置きから…
その日はめちゃくちゃ調子が悪く、いい結果が出ないまま持ち金も時間も尽きようとしていました。
帰ろうと思ったとき、ふと「そういえばイトーヨーカドーのゲーセン2月末で閉店だったなぁ」と思い出し、それをその日最後の1回にしようと、そのゲーセンに足を運びました。
並んで順番を待っていると、後ろには1歳~2歳くらいの子を連れたお母さんとおばあさんが。
前の人がドンドコやっているのを見て「おぉ~」という感じの反応をしていました。
僕の番がやってきました。後ろの子どもがやろうとしましたが、
「順番まだだよ、お兄ちゃんの上手なの見てからにしようね」
———これは期待されている!?
自意識過剰かもしれませんが、なんとなくそんな気がして、
「今日は記録を狙わずに、この子のために太鼓をやろう」
と決めたのでした。
1曲目を選ぶ途中、めったに開くことのない「キッズ」フォルダを開き、
「アンパンマンとかあるよ~」
などの反応を背中に受けつつ、
「これくらいのちっちゃな子にうける曲ってなんだ…?」
と考えていると、ふとその曲が目につきました。
「さんぽ」
コレだ!!!!間違いない!!!!
僕はまったくためらうことなく、「おに」のところを裏返しにして、スタート。
おおよそ子どもにプレイさせる気のない譜面構成ですが、やはり選曲がよかったようで、驚きながらもみなさんのってくれました。おばあさんは特に譜面と僕のプレイにびっくりされていましたね。
残念ながらフルコンボとはなりませんでしたが、「すご~い!」との反応をいただき、なんだかとてもうれしくなりました。
この調子で何をやってやろうか……と「キッズ」フォルダを物色していると、
「もりのくまさん」
キタ!!これだ!!!!
またしても「おに」を裏返してスタート。
だんだんと音符の流れるスピードが上がっていく、ドンだーでは有名な譜面ですが、これも見てみなさんめっちゃびっくりされていました。
終盤は目が追い付かず、動体視力でなんとかつなぎました。
演奏が終わったあとにこちらに来て、
「わざわざありがとうございます…」
いえいえ、とんでもない…。
そして最終3曲目、ここは思い出の曲をやろうということで、最初に出した
これをやりました。
いつもは「キツイなぁ……」と思いながらたたいていましたたが、なぜかこの日はとっても楽しかったです。
物量の多い譜面だったので、みなさん終始驚きっぱなしのようでした。
しまいにはお父さんまで台の近くにやって来て、全部片付いたあとに「ありがとう」と言われました。
そうして、僕はすがすがしい気持ちでゲーセンを去ったのでした。
結局何を言いたいんだい
よくよく思い返してみたら、最近はフルコンボ狙いだとか、記録をつくるとか、そういうことばかり考えていました。
僕は、本心からこの「太鼓の達人」というゲームを「楽しめていた」のでしょうか。
その問いに、YESと答えられる自信はありません。
でも、この1回は、そんな「楽しい」という僕にとっての「太鼓の達人」における原点の感情を思い出させてくれた、そんな気がします。
後ろで順番を待っていたまだ小さなあの子の瞳に、あの時間がどう映っていたのかはわかりません。
ですが、あの10分足らずのプレイが、誰かを楽しませ、「楽しい」という感情をあの場に生みだしたのはたしかだと思います。
その「楽しい」という気持ち、そして向けられていたらうれしい「憧れ」が、いつかあの子が成長してドンだーになったとき、また別の誰かに受け継がれていく、そんなことがあったら素敵だと僕は思うのです。
また、ドンだーがきっと持っている「ドン魂」は、そうしてこれから先もつながっていくのでしょう。
「太鼓の達人」は、ただの音楽ゲームではない。
人と人をつなぐ。感情を、魂を受け継ぐ。
これからも、そういう存在であってほしいものです。
僕もそうありつづける手伝いができたらいいな、と思います。
太鼓の達人 20周年 おめでドーン!!
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