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夜は永い。しかしやさしくない。そして私たちには時間がない。

君のせいだよ


私は夜が好きだ。

なんでだろう。

醜さも汚さも全てが夜の闇に溶けて
今日という日と共に流されていくように感じるからかな。

そして私は冬が嫌いだ。
でも一個だけ好きなところがあるんだよね。

寒い〜って言いながらさりげなく
好きな君と距離を縮められるところ。

そんな女子、あざとくて近くにおきたくないが

いざ私が好きな君を目の前にすると、
そんな手を使ってでも君との距離を縮めたいと、
知らぬまに私の嫌いな女子になってしまうんだ。

君のせいだよ。

夜は永い。しかしやさしくない。

冬は日没が早いからか、夜が長く感じるね。

君と会う予定を立てる時は必ず
次の日も休みか、確認するんだ。

一分一秒君と長くいたいから。

でも仕事が忙しい君は、
よく”リスケ”っていう言葉を使うんだ。
初めて”リスケ”っていう言葉の意味を学んだよ。

reschedule。嫌な言葉だね。

だから期待をすることをやめたんだ。
そしたら期待した心を傷つけられなくて済むからね

会えたらラッキー、そのくらいのテンションで。

その日のために買ったお気に入りの服と、
いつもと違う色のアイシャドウのメイクして
私の香りでマーキングするように、
いつもの香水を纏わせて

会えたらラッキー、
そのくらいのテンションを装って。

無事に君と会えたら、
溶けるように時間は過ぎていくね。

言わずもがな、
流れるように進んでいく次のステップ。

慣れたもんだよね。
なのに私はいつまでも慣れなくてドキドキするのは悔しいんだよな。

あの時間は
たぶん私にとっての生きがいなんだと思う。
大袈裟な言い方だね。

君の指が触れた瞬間思い出すんだよね。

あー、これこれ。求めていたものって。
君はここが弱かったよねって。愛おしいよなって。

これが幸せってことなのかな。

これが本当の愛じゃなくても
その瞬間愛し合ってたら、それが事実だよね。
そういうことにしとくよ。

夜は永いから、
焦らないで、ずっと繋がっていて欲しい。

そう、夜は永いから。

そして私たちには時間がない。

「冬は布団と人肌だけでいい」

誰かが上手く言ったもんだ。
その人とは仲良くなれそうだ。

それくらいに君の体温だけで
私は芯からあったまる。

そのぬくもりを一瞬にして冷ますような
朝。

そうだ、もう一つ私は嫌いなものがあるんだった。

朝だ。

時間は残酷だ。

私と君との関係はなんだろう。
友達?先輩?恋人?セフレ?

いや、こういうのは曖昧でいいんだよな。
そうだよな。

曖昧なものは曖昧に消えていく

ああ、私たちには時間がない。

次はいつ会えるのかな。
もう会えないのかもしれない。

そんなことを思いながら、
通勤ラッシュに逆走して君と別れるんだ。


「またね」

って。



夜は永い。しかしやさしくない。

そして私たちには時間がない。









 この物語はフィクションを元にした妄想です。





おわり





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