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マネージャー讃歌

保護犬が里親の元に引き取られ、
徐々に心を開いていく…

人間への信頼が少しずつ回復し、
虚な目で牙を向いていた姿から、
「次はどんな楽しいことする?」と言いたげな瞳で
にっこりと口角を上げ、
微笑んで(いるようにしか見えない表情で)里親を見上げる。

ゔー、ゔー……と部屋の隅で身を震わせていた姿とは、
別の生き物のようだ。

そんなドキュメンタリーを見ると、
保護犬と「芸能マネージャー不審に陥っていた自分」を重ね、
(他人事ならぬ)犬事とは思えなくなる。

わかる!わかるよ!!…と
画面の向こうの犬と手を取り合い、
サバイブしてきたお互いを称え合いたい。

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芸能事務所のマネージャーに、
これまで何度も傷付けられてきた。

私は19歳〜23歳までで2社、
25歳〜29歳まで1社、
芸能事務所に所属してきた。
(ちなみに、芸名は4回変わっている。)

そして32歳から、
俳優としての演技トレーニングを再開した。

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今はフリーランスの俳優なので
どこの事務所とも所属契約は結んでいないのだけど、
とある俳優事務所が運営しているスクールで
週1〜2回トレーニングを重ねている。

クラスはレベル分けされていて、
さまざまな演技講師がレッスンに来てくれる。

そのスクールに入ったのが、2年4ヶ月前。

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最初にスクールを運営しているHマネージャーと面談した時は、
私は、「もう芸能事務所には騙されない」感満載の、
トラウマを抱えた保護犬状態だった。

それが、たまたま前の週に行った映画館で観た
すばらしい作品に出ていた俳優さんがその事務所に所属しており、
私が入る予定のクラスはその方が講師を務める、と言う。
……これは、断る理由がない。

俳優として仕事をした経験があるのだから、
お金払ってトレーニングを受ける必要はないんじゃない?
という声もあったけれど、
追い風と縁を感じて飛び込んだ。

演技に対する的確な助言と、
真正面から本音で話してくださるHマネージャーに、
「しおりさん、最初怖かったもんなぁ。警戒心、むき出しだった。」
と笑われたのは、いつのことだっけ…

いつしか、Hマネージャーの前では
悔しかったり辛かったり悲しかったりで
(それこそ犬じゃないけれど)わんわん、泣くようになった。

大人になってから、
悔しくて(わんわん)泣けてくるようなことがあって、
自分は本当に幸せだと思った。

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今日は、3ヶ月に1度のHマネージャーとの面談日。

自分の中の、
"多分、こうなんだと思う…"と考えていたこと。
先に口火を切ってくれたのは、Hマネージャーだった。

口火を切ってくれただけじゃなく、
もったいないくらいの、ご褒美みたいな言葉を添えて、
背中を押してくれた。

次のステージに向かえる時だと思う、と。
俳優として表に出ていくべき、と。

毎週、毎週、私の演技を見守って、
厳しいことも(お互いに)言いながら
真剣に対話を重ねてきたマネージャーからの言葉は、
心の底から信頼できた。

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視界も心も開けた状態で歩いていると、
同じレッスンを受けている俳優仲間たちに遭遇。

「しおりーん!セリフ合わせやってたよ。一緒にやろう!」
と、みんなで課題のシーンのセリフ合わせ。

魅力的な皆と笑い合いながらお芝居をするのは、
本当に幸せな時間。みんな。いつも、ありがとう!

台詞合わせ中の私。




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帰りは、腹ペコで22:00に富士そばに寄って帰宅。
発券機で食券を間違って購入した私に、
「海老天2個のもあるよ!」と教えてくれた店員さん。
「2個がいいです!」と、即答の私。


レッスン前には、
職場で優しくしていただいている先生の
お手製の柚子ジャムで、エネルギーチャージ。


ああ、今日も、みんなに支えられて生きました。
感謝、感謝です。

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註: 2023年12月10日にInstagramに投稿した文章です。

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