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ラブレター #01

最近「食堂かたつむり」の作者である小川 糸さんに夢中だ。
きっかけは先月号の雑誌「天然生活」に掲載された小川さんのエッセイ。
ベルリンでの生活がみずみずしく美しく描かれていて、思わず印刷された文字を指でなぞってしまった。わたしは恋に落ちてしまったのだ。

もっともっと小川さんの文章が読みたいと思って、図書館でエッセイを借りてきた。「たそがれビール」「卵を買いに」そして今は「ペンギンの台所」を読んでいる。ずーっとずっと読んでいたい、心地いい言葉たち。

わたしは昔からその人がつくる文章だったり言葉の選び方に惹かれるところがある。話す言葉より、つづる言葉が気になる。書き言葉フェチなのだ。
実は夫もそうだった。スマートフォンでのやりとりだけれど、彼の言葉は最初からすきだなと思った。詩的な言い回しをするとか、ウィットに富んだ返信をするとか、そういうことではないのだ。自分のなかにある言葉たちのなかから、伝えたいことを表現するのに最もふさわしいものをていねいに選びとっている”誠意”みたいなものが感じられる、そういう文章を書く人がすきなんだと思う。

小川さんはプロの作家さんなのだから、わたしが文章をほめるなんてとってもおこがましいのだけれど、小川さんの紡ぐ言葉は本当にいい。たぶん、小川さんのなかにしまわれている言葉たちは、みんなきらきらしているんだろうな。
特に言葉のきらきらが際立つのは、食事について書いてあるとき。ご自身のことを時々「食いしん坊」と書いているけれど、食べることに対する姿勢は心から共感できる。人間は食べることに”生命維持”を超えた意味を見出すことができる。これってすごく幸せなことなんじゃないだろうか。
疲れた時に飲むビール、好きな人と食べるラーメン、お風呂上がりのアイスクリーム、寒い日に飲むココア
幸せのとなりには、いつも”何かを食べること”がある気がする。

小川さんはドイツのベルリンという都市をとても愛している。今まで全く関心のなかった場所だけれど、小川さんのエッセイを読んでいたらいつの間にかすごく魅力を覚えてしまい、気づいたら夫にも行きたい!と宣言していた。よく考えたら、夫が興味を持っているナチスドイツの歴史が色濃く刻まれている場所でもあるので、夫婦で行くのによい旅先かもしれない。

エッセイからたくさんの、ここに書ききれないくらいの刺激をいただいていて本当に感謝だ。新年早々、素晴らしい出会い。2020年はすごくいい年になりそうだ。ちなみに、今の所エッセイばかり読んでいるけれど、小説もきちんと読ませていただきます。

noteで好きな人にむけて勝手にラブレターを書くのも楽しいなと思って、とりあえずタイトルに#01とつけてみました。いずれきちんと便箋に書いて本人へ向けて送ってみる、というのをことしの目標に加えよう。

2020.3.5 shiori


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