あなたは、どんな人生を歩んできましたか。物語を共有するということ。
インタビューは、人生の一部をのぞかせてもらうようなもの。
話をしているうちに「そういえば…」とずっと頭のすみに追いやられていた記憶をふと共有してくれたり、いつもなら抑え込んでいるような本音を打ち明けてくれたり、照れながら将来の夢の話をしてくれたりする。
「今のその人」を語る上で重要なエピソードを聞くと、いつだって心を打たれてしまう。
私は今年で三年目にライターだけど、お世辞にも初対面の人から話を引き出したりするのが得意とは言えない。本当に「聞く」ってむずかしい…。
だから、インタビューのときは上司が聞き役になってもらい、私は横で黙ってメモをとり記事を作成することが多い。
インタビューの最初のころは、みなさん緊張したり、固くなったりしている。「外向き」の顔で接して来るので、あまり面白い話を聞くことはできない。
話が面白くなってくるのは、終盤にかけて。
最初は「外向きの顔」で接してきていた人も、意外な角度からの質問をされると拍子抜けする。そして、戸惑う。
おずおずと「これは、言っていいのかわからないんですが…」とか「そのまま使わないでくださいよ?」と前置きしながら、話し始めてくれる。
こうして、一枚ずつ薄皮をはがすように、本音に近づいていける。この行程は本当に、見ていてドキドキする。「うわぁ、来た来た…!」と期待が高まる。
最初の方ではキリっとしていた人も、少しずつ表情が柔らかくなってくる。目がイキイキとして、どんどん姿勢が前のめりになる。いつの間にか、言葉遣いも少しラフになっていたりする。
きっかけになるのは、質問だ。
核心をついた質問は、まるで魔法のように空気をガラリと一変させてしまう。ワイワイと盛り上がり、本人も聞いている方も話に夢中になる。
一気にくつろいだムードになって、ずっと昔から知っていた人かのような親しみを覚える。
こうなると、その人も気づけていなかったような本心を探っていける。それまで言い淀んでいたことが嘘のように、スラスラと泉がわき出すように話し始める。
こうなると、インタビューはうまくいく。
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心を開いてくれている人の話を聞くのは、ものすごく面白い。きっと、会話は聞き手と一緒に作り出していくものだ。
これは、インタビューに限った話ではないと思う。居酒屋で飲んでいるとき、友人と久しぶりに会ったとき、仕事の相談に乗っているとき、会話はどれも自分と相手があって初めて成り立つ生物だ。
人の話を聞くのは、本当に面白い。誰ひとりとして、同じ物語を持っている人はいない。
「そのピースと、そのピースが今つながるの?」とか「えっ。この経験から、その教訓を得るの?」と驚いたりする。同じできごとであっても、人によって捉え方はまるでちがう。
ある人にとっては何てことなくてすぐに忘れてしまうような場面が、別の人の人生を大きく変えていたりする。
何年も付き合いのある人でも、まだ見ぬ顔を隠しもっていたりする。
聞いてみるまで予想もつかない。一度聞けたら、想像がつくような気もするが、あくまで「人生の一部をのぞかせてもらっている」だけなのだと思う。本当の意味で実感をすることはできない。ただ、共感をしたり、想像をしたりするだけだ。
別に劇的なエピソードでなくていい。エピソードそのものには意味がない。あなたにとって何が大切か。どんな感じ方をして、あなたの一部となっているのか。それが人となりをつくるのだと思う。
あなたは、どんな人生を歩んできましたか。
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