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要約 『限りある時間の使い方』 著者 オリバー・バークマン

●ベストフレーズ

あなたの4000週間は、不完全なまま、いつだってすでに尽きかけている。この不愉快な現実は、しかし、自由への一歩だ。幻想にしがみつくことをやめて、現実をしっかりと見つめたとき、そこに現れるのは無力さではなく、あふれんばかりの活力だ。 227ページより

●はじめに

本日の一冊はイギリスの著名ジャーナリスト、オリバー・バークマン氏の『限りある時間の使い方』です。

本書はタイムマネジメントをすればするほど、効率化をすればするほど忙しい気分になってしまう人に「本当に有益で豊かな時間の使い方」を教えてくれる本です。

●本文要約

1.なぜ効率化や生産性では「時間が無い」という問題が解決しないのか

どんなに大量の仕事をこなしても、どんなに成功しても、自分は本当にやるべきことをやっていないのではないか、という感覚はありませんか?もしかしたら不可能な量の、さらにそのほとんどが自分のやりたいことではないタスクばかりを効率よくこなそうとしていませんか?その膨大なタスクが片付いたら自分のやりたいことが出来ると思って頑張りすぎていたら、この本を読んで人生がどれだけ短いかに驚かされるだけでなく、今すぐ自分の生き方を見つめ直す必要があることに気付かされます。

著者はこの効率化しても「時間貧乏」の感覚から抜け出せない原因を、世の中にあふれるタイムマネジメント本のほとんどが、人生がものすごく短いという事実を認めずタイムマネジメントさえすれば何でもこなせるという幻想を振りまいているからと言います。そして、本当にすべきことは今を生きることです。

現代の忙しさをタイムマネジメントでいくら効率化しても根本的なことは解決しません。なぜなら一番大事なタスクを、来るはずのない完璧な未来に託し、永遠に手を付けないからです。すべてを完璧にやるには人生が短い事、そして人生は有限であることを恐れず受け止め、いつかどうにかなるという幻想を捨てる方法を指南します。

著者自身、元々は生産性オタクでした。あらゆるタイムマネジメントの本を読み、仕事を素早くこなせるようになりました。しかし効率を上げれば上げるほど、ますます忙しくなったのです。そしてこのままだと、そもそもタスクがゼロになる完璧な世界がやってこないことに気がつきました。来るはずのない未来に幻想を抱いていたことに気づいた時、自分には限界があると知ったのです。人はつい現実の限界から目を背けて希望を抱いてしまいます。しかし一番人生を充実したものにする方法は人生が短いことを受け入れ、限られた時間を自分で選んで使うことです。本書では様々な知識人の言葉と歴史からその現実をしっかりと理解することができます。

2.なぜいつも時間に追われるのか

どうして人は時間に追われているのでしょうか。もともと時間というのは、産業革命に合わせて、大人数で同時に仕事をこなすためのツールとして発明されました。時間はそこにあるもの、生活の舞台のようなものでしたが、近代になってからは「使えるモノ化」しました。時間を効率よく、上手に「使え」ば、より良い未来が待っていると考えるようになりました。そうやって子どもの頃から、あとで楽しむために我慢することを躾けられた現代人は、あることを忘れてしまいました。この使える時間に限りがあるということです。人生の時間は80歳まで生きられたとして4000週間です。古代ギリシャの哲学者ニーチェも「われわれに与えられたこの時間はあまりの速さで過ぎてゆくため、ようやく生きようかと思った頃には、人生が終わってしまうのが常である」と言っています。ならば、この限られた時間を最大限に活用するために、効率よくすべてをこなせばいいのではないかと考えた人類はテクノロジーを使い始めました。しかしテクノロジーを駆使してタスクを効率よく速くこなせるようになると、「すべてのサイズ」が大きくなりました。フェイスブックから参加できない量のイベント情報を得られるようになり、実際にはデートできない数の魅力的かもしれない人とマッチングするアプリを手に入れ、その結果、永遠にすべてのタスクが片付くことはなくなりました。ツールを駆使するほど、やりたいことではなく「やるべきこと」の定義が膨らんでいったのです。


3.「時間がある」という前提を疑い、可能性を狭めると自由になれる

永遠に比べたら4000週間は短いけれど、永遠の人生は死ぬほど退屈です。スウェーデン出身の哲学者マーティン・へグルンドは「もしも人生が永遠に続くと考えるなら、自分の命が貴重だとは思わないだろうし、自分の時間を大切に使いたいという思いもなくなるはずだ」と言っています。家族や親族と年に一度集まって過ごす時間が特別なのは、それが永遠に続かないからです。時間は有限だからこそ、価値があります。そして、何に時間を使うのかを選ぶ必要があります。何かを選ぶということは、それ以外の選択肢を捨てるということです。捨てると聞くと、何か失ったような不安に駆られるかもしれませんが、捨てた選択肢があるからことを、選び取った一つに意味があるのです。実際に人は後戻りできない状況に置かれた方が、選択肢があるときよりも幸せになれるというデーターがあります。例えば結婚に意味があるのは、一人の相手を選び、うまくいかなくても逃げ出さないと約束することで、より深い関係を手に入れられることにあります。そのように、選択前は迷っていたことでも、思い切って他の選択肢を切り捨ててしまえば、不安はなくなり、「捨てる喜び」を感じられます。そうやって、他の適度に魅力的な項目は捨ててしまう方法があります。人生でやりたいことを25個リストアップしたら、上位の5つにだけ注目して、他の20個は思い切って捨てるのです。人生とはすなわち、あなたが注意を向けた物事の集まりです。その注意を間違った方向に使わずに、本当にやりたいことに集中させることができますし、元々すべてをやるのは不可能です。それに実は注意力は自分でコントロールする必要があります。SNSが盛んになった現代ではアテンション・エコノミーというものがあります。アテンション・エコノミーは注意や関心に値段がつけられ、それをSNSなどのコンテンツ提供者が奪い合い、利用者を興味のない事にひきつけ、「自分の欲しいものを欲しがる能力」を壊してしまいます。

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4.人生には「今」しか存在しない
5.失われた余暇を取り戻す
6.ちっぽけな自分を受け入れ-暗闇のなかで一歩を踏みだす

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