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要約 『先生、どうか皆の前でほめないで下さいいい子症候群の若者たち』 著者 金間大介

●ベストフレーズ

大人のあなたがやるべきだ。まずはあなたが挑戦するべきだ。あなたが挑戦し、失敗し、そして復活するところを堂々と見せるべきだ。そのとき、もしそばに若者がいるなら、こう言ってみてほしい。これが現時点で筆者が考える、若者の心を動かす最強のフレーズだ。「自分はもう一度これをやりたい。今度は絶対成功させたい。だから手伝ってもらえないか」 226ページより

●はじめに

現代の若者の特徴「いい子症候群」とは?

本日の一冊は、物理学博士で経営学者の金間大介氏による『先生、どうか皆の前でほめないで下さいーいい子症候群の若者たちー』です。

30才以上の社会人やマネジャー経験のある層へ向けて、最近の若者たち(大学生から20代半ば)の複雑な心理を解説しています。世間で言われていることだけではなく、著者が若者と実際に関わり合って感じることをベースに考察されている部分も多く、説得力のある内容です。

●本文要約

1.「いい子症候群」の若者たち

最近の若者たちは真面目で素直、自分の意思を感じない、何を考えているか分からない、とよく言われます。職場では若者と意思疎通がうまくできないことで取り返しの付かない状況を生むこともあります。「分からない」「理解できない」と感じる若者たちの思考や行動を生み出す心理とは一体のようなものなのでしょうか?

目立ちたくない、決められない、横並びがいい、挑戦しない、などいい子症候群の特徴はすべて、自分に自信がなく自己肯定感が低いために起こっています。そして何より、若者たちの育った日本社会やまわりの大人たちが、挑戦が成長に結びつかないことやチャレンジしても得られるものがないと見せつけてきたからでしょう。自分ができないことを若者に期待するのは違います。まずは大人が変わるべきなのです。

本書では、「イノベーションのためのモチベーション」研究、教育や人材育成に力を入れており、金沢大学で教授をしている筆者が、日々生活を共にしている学生たちの行動・言動を、愛をもって分析しています。筆者の研究分野であるモチベーション・イノベーションの考え方や統計やデータが用いられ、科学的証拠に基づいた学術的な内容ですが非常に分かりやすく読みやすい文章になっています。筆者のゼミに入ったことがきっかけでいい子症候群を卒業する学生が毎年いるなど、若者が自分の感覚を自然と変えられるような風土づくりにも精通している筆者です。大人目線だけで若者のダメなところを数える内容ではなく、学生の立場も尊重していることでより深い考察になっています。

2.「若者の考えていることが分からない」理由

最近の若者は、目立つことを恐れ、横並びであることを大切にし、自分では何も決められず提案や意見もできず、人間関係の範囲が狭くその中で浮かないようにと常に気を配っており、場を乱さないための演技も上手です。一見、素直で真面目な風ですが、具体例がなければ何もできませんし、自分から動くことはまずありません。

就職活動となると今の大学生は皆同じリクルートスーツを選び、志望動機や自己アピールさえ自分で考えずネットの情報を参考にします。人気の職業はダントツで「安定」している地方公務員で、やりがいのある仕事を求める学生は少なく、やりがいは安定の対局にあると学生たちは考えています。

いい子症候群の特徴は全て「自分に自信がないこと」が原因です。日本の若者たちは世界でも「自信がない」「自己肯定感が低い」という特徴があります。自信がないために評価を怖がっており、優劣の付く競争を嫌います。評価されず批判もされないうえ、承認欲求を満たすことができる「社会貢献(誰かに頼まれて行うもの)」をしたいと言う若者は増えています。

いい子症候群はマニュアル化された業務をこなすことしかできません。基本的に指示待ちしかできず、自分で創意工夫をしたり価値を生み出すことはできないのです。リモート化が進み指示待ち人材の価値はなくなりました。この先多くの指示待ち人材を抱えることになる日本企業の競争力が心配です。

いい子症候群が自分の意思を持たず、挑戦を嫌がり、安定を大切にする守りの姿勢なのは、日本社会がそうだからです。そして周りの大人たちがそう見せてきたからです。若者は社会情勢をきちんと理解して自分の行動を決めたりはしません。周りの空気感が全てです。まずは大人が、挑戦し失敗し復活する姿を若者たちに見せるべきです。

自分がいい子症候群だと思ったら、周りの目を気にしてしまうネガティブな気持ちを変えるためにまずは行動を変えてみましょう。勉強する理由を考えたり、授業中のメモの取り方を変えるなどのちょっとした行動が自分の成長につながり、強い自分になっていけるでしょう。

3.「いい子症候群」とは何か

世間ではよく、今の若者のことを「素直でいい子」「まじめでいい子」と評する。と、同時に「何を考えているのかよくわからない」「自らの意思を感じない」と言う。実はこれらは、別々の若者のことではなく、1人の若者を違う角度から見ただけのことだ。本書ではこのような若者を「いい子」と称し、一見不可解な彼らの気質と愛すべき特徴を、軽いトーンで描いていこうと思う。 24ページより

最近の若者(大学生から20代半ば)は、「素直で真面目ないい子だけれど、何を考えているのか良く分からない、自分の意思というものがない」と世間ではよく言われています。

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