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要約 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』 著者 岡田尊司

●ベストフレーズ

自らの傷を癒すためにも、人を癒すことが必要なのだ。その過程を通じて、癒す側も癒される側も、愛着障害に打ち克っていけるのだ。なぜなら愛着障害とは、人が人をいたわり、世話をし、愛情をかけることにおける躓きだからだ。 257ページより

●はじめに

うつ病、不安障害、依存症、離婚、虐待、引きこもり、発達障害など、現代社会ではこれらのトラブルが増えています。しかし、それらの問題をきっかけに精神病院に行っても良くならない、という人も増えています。なぜでしょうか?本書は、それらの問題の根底にあるという「愛着障害」を紹介した本です。

問題となっている症状から原因を探ると、子ども時代に得られなかった「愛着」をもう一度作ることが回復の第一歩であるといいます。この本を読めば「人生の悲しみ」を「愛する喜び」に変える方法を知ることができます。

また、子育て中の親が読めば、子どもが大人になった時に、心身共に健康に生きていくために何をすればいいのか、子どもの「安全基地」を作る方法が書かれています。

●本文要約

1.愛着障害とは?

人の顔色が気になってしまい、気疲れしやすい。人と親しい関係になるのは嫌。結婚して縛られるのは嫌。現代の人の多くは対人関係で悩んでいます。その原因は「愛着」にあります。
愛着は人と人との絆を結ぶ能力です。安定した愛着を持つ人は、人間関係が上手くいきやすく幸福に生きられる確率が高いです。逆に愛着に障害を抱える人はうつ病や不安生涯、依存症、境界性パーソナリティー障害、過食症などのリスクが高まります。
発達障害と診断される人のなかにも「愛着障害」が根本にある人が多いです。

愛着障害とはどんなものか、その特徴や診断方法、克服方法について、本書で解説します。
愛着形成は生後6カ月~1歳の間に母親との間にできる絆から始まると言われています。この時期に母親との別れを体験すると愛着に傷を受けます。
傷を受けた子はしばらく泣き暮らし、そのうち絶望して諦めます。見た目には普通の生活に戻るので大人は安心しますが、生きるために「母親への愛着を捨てる」という決断をしています。
ほかに、虐待を受けた場合にも愛着に傷がつきます。
こうして受けた傷によって、人それぞれの愛着のスタイルが作られていきます。
愛着は発達にも重要に関わっています。親との愛着が安定していると好奇心旺盛に遊ぶことができます。これを「安全基地」と言います。大人になったときにストレスに強く、人に頼ることができるという研究結果があります。

2.子どもの愛着パターンは4つ

このように、人間は人それぞれの愛着のスタイルを作っていきます。この愛着のスタイルは心理学で4つのパターンを4つに分けることができます。
①安定型 愛着をうまく育めているタイプ
②回避型 人を信用せずに避ける、冷静なタイプ
③抵抗/両価型 愛着がうまく作れておらず、感情的になりやすいタイプ
④混乱型 回避型と抵抗/両価型が混ざったタイプ
②~④に該当する不安定な愛着状態にある子どもは3、4歳ころから大人をコントロールしようとすることがあります。暴力などで相手を思い通りに動かそうとしたり、相手に合わせて気に入るように振る舞い、相手の気分や愛情を自分のものにしようとします。
アメリカ元大統領バラク・オバマは、子どもの頃から誰にでも気に入られる「良い子」だったそうです。しかし実際は不安定な愛着を持っていました。自伝でドラックやアルコールに依存していたことを告白し、身近な人はとても驚いたそうです。
愛着に深い傷を負うと、誰にも愛着を求めなくなったり、逆に見境なく誰にでも愛着したりするようになります。
現在の日本では3分の1の人の愛着が不安定であると言われています。
カップルのどちらかが不安定型愛着である確率はなんと50%です。

3.愛着障害の原因は?

では、愛着障害になるのはなぜでしょうか?
その原因は、遺伝より環境によって起こる確立が高いことが分かっています。
特に、前述した「臨界期」である、生後6カ月~1歳半の期間に母親から離されると愛着障害が起こるリスクは高くなります。
児童養護施設などで育つと、担当職員の交代があります。よく変わってしまうと、愛着に傷を受けます。なるべく同じ人に世話をしてもえらえることが望ましいです。
小説家の夏目漱石は、実両親と養父母の間を何度もたらい回しにされた結果、ひどいいたずらや、ケンカをすることが多い子どもだったそうです。愛着障害の子どもによくある状態です。
複雑な家庭の事情がなくても不安定な愛着を持つ子どもがいます。それは親の愛着のパターンが子どもに影響するからです。
「回避型」の愛着パターンを示す子どもは親が子どもに対して無関心であまりかまってあげません。
「抵抗/両価型」の子どもは親が無条件に子どもを受け入れるのでなく、良い子であることを求める傾向が強いです。
また、親子関係だけでなく、夫婦や恋人同士でも愛着に変化が起こります。
安定型どうしが結ばれれば安泰、というわけではなく、逆に不安定型どうしが互いを補い合って幸福な結婚生活を送ることや、社会的に成功するということもあり、愛着障害が現実社会でどのように表れるかは複雑です。

続きは以下リンクからお読みいただけます。(残り8000文字)

4.愛着障害の苦悩と才能
5.自分の愛着スタイルを知ろう!
6.愛着障害の克服方法

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