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要約 『北欧の教育最前線市民社会をつくる子育てと学び』 著者 北欧教育研究会

●ベストフレーズ

ひとつのクラスにはたくさんの人がいる。互いに影響を与え合う。これはとても重要なことだと思っている。それについて議論して考えることが大事だ。 77ページより

●はじめに

本日の一冊は、北欧教育研究会による『北欧の教育最前線』です。

本書は教育先進国として知られる北欧の教育の実情について、北欧の教育の良い面だけに注目するのではなく、課題や葛藤にもフォーカスして現地の日本人が見た情報をリアルに紹介しています。

また、北欧の取り組みを無条件に受け入れるのではなく、日本で実践するためにはどのような工夫が必要か、教育学の専門家だけでなく、子供を持つ親など、教育に関係する多くの人にとって有用な情報が含まれています。

●本文要約

1.北欧の教育モデルのリアル

かつて、教育はローカルな文化に強い影響を受けるもので、グローバル化していませんでした。ですが、現代では教育の分野でもグローバル化が進み、国際的な情報交換が盛んになっています。そして、国際的なテストによる学習到達度の比較や、リーマンショック後の北欧社会の国際競争力の強さによって、北欧の教育に注目が集まりました。

北欧では、新しいデジタル技術の導入や、近年の社会的課題に対応した最先端の教育が実践されています。ただ、北欧のシステムはグローバル化に合わせて、ただ先進的なことを目標にしたものではありません。

まず、北欧の教育システムの特徴は教室で行われる授業だけではなく、地域コミュニティや社会全体で行われていることです。給食や行事、登下校などに幅広い工夫が取り入れられており、コミュニティで教育する文化があります。社会全体で教育を支える文化の背景には、権威主義を嫌い、自ら考え実行していくことを大事にする北欧的な価値観があり、日本人の感覚では簡単に真似できないと思える事もあります。

一方で、移民も多いため、様々な文化的背景や家庭の事情への対応が課題となっています。また、教師の知識やスキルを高める教育課程の改革や、学校運営の効率化など、北欧の高い教育水準を維持するための挑戦は日々続いています。

2.学校の価値にはデジタル化が難しいものもある

困難な地域にある学校の校長によれば、問題を抱えている家庭の生徒たちにとって、学校は避難所でもある。これまでは、学校で生徒の様子を見て支援できていたのが、閉鎖期間中は、生徒自身が学習への責任をもたなくてはならない状況になる。生徒のオンラインでの学習履歴や参加状況を見ると、不参加で、家庭とも連絡が取れない生徒がクラスに一人か二人はいたという。 33ページより

デンマークでも新型コロナウイルス感染症の影響によって、デジタル技術を活用した教育が急速に普及しました。自治体が1人1台のタブレットを貸与した他、行政のリーダーシップで教材のデジタル化も進められてきたこともあって、自宅でも多くの教育資源にアクセスできる環境が整っています。
しかし、リモート教育の急速な普及はそれらの技術の良い側面だけでなく、学校が持つ避難所としての機能も明らかにしました。デジタル化が進めば、そこから取り残される家庭、子どもが必ず出てきます。日本でも教育のデジタル化を進める動きは強まっていますが、機材やソフトを整備するだけでなく、置いてきぼりにならないようにサポートするシステムと人材の確保が必要です。

3.「選ばせる」ことで自分で考える人を育てる

日本では、「良いものをすべての子どもに」という考えが強く、良い経験や良い食事をみんなに平等に与えることが重視されている。一方で、スウェーデンの教育は別の論理で組み立てられている。教育の第一目標は、民主主義を民主的な方法で学び、社会に参加させることだ。その素地を作るひとつとして、「選ばせる」教育が行われている。 52ページより

スウェーデンでは、たとえ1歳児であっても自ら選択するということを重視する教育が行われています。例えば、おやつやランチのメニューからアクティビティへの参加にあたって自分で意志を表現し行動することです。
ここには民主主義の主体である市民として、自ら考え、自ら行動する人間を育てたいというスウェーデンの教育目標が反映されています。

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