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要約 『Learn Better 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』 著者 アーリック・ボーザー

学習の方法を学ぶことは、専門家がいうところの「究極のサバイバルツール」、つまり、現代において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキルである。なぜなら学習の方法さえ覚えれば、ほとんど何でも学ぶことができるからだ。 24ページより

●はじめに

本書は、幼少期に学習障害と診断され、勉強嫌いだった著者による、科学的な「学習方法を学ぶ」本です。

著者の個人的な成功体験をもとにせず、著者自身が教育専門家として、新しい学習法の検証を含め、教育心理学者への取材や数々の研究データに基づいて、有効な学び方には筋道だったプロセスがあることを紹介しています。

勉強が苦手、子どもに勉強の方法自体を教えたい、これからスキルを磨きたいと願う全ての人のための本です。

●本文要約

1.「なぜ学び方を知る必要があるのか?」:学習戦略が21世紀のメタスキルである理由

世の中の多くの人がスキルや知識の向上を目指す一方で、エビデンスが定かではない学習法を続けています。たとえば、資料を繰り返し読む、蛍光ペンでマーカーを引くといった手法の有効性は限られていて、実際はスキルの振り返りや進捗度を確認する方が効果が高いことがわかっています。
アメリカで行われたダーツの実験では、的の中心を狙い、高得点を出すことだけを目的にしたチームと、投げ方は自由でただベストを尽くすことを目的としたチームと、「投げる技術の学習」に集中したチームの3つに分けて実験したところ、3つ目の「投げる技術の学習」チームが群を抜いて良い成績を出しました。この実験結果からも、学習の方法とプロセスに力を注げば、習得の度合いが大きいことが分かります。

ダーツに限らず、どんな分野においても、学習すること自体、単純でも簡単でもないということは、容量オーバーになりやすい人間の脳の本質から明らかです。

コンピューターデバイスから情報を自在に引き出せるデジタル時代において、情報自体の価値は著しく低下しました。情報や知識をいかに有用に使うか、そして新しい知識を生み出せるかは、学習の成功が鍵を握っています。学び方を学ぶことは、いかに思考の質を上げられるかという作法であり、私たちの誰にでも共通する21世紀の課題と言えるでしょう。

2.「どうして学びたいのか?」動機、やる気の作り方


人は人生に、利益以上に価値を求めており、「高い意義を感じている」と言う人の方が不安が少なく、健康で人生の満足度が高いことが分かっています。何かを学ぶことは楽なことばかりではないので、まず学ぶ意義、つまり動機を明確にする必要があります。教育心理学ではスキルや知識に対して、Relevance(自分との関連性、自分なりの価値)を見出すことが重要であると分かっています。その方法がラーン・クラフティング、つまり学習に意味や動機を探す作業です。具体的には、自分に次のような問いかけをします。

「この学ぶ対象は私にとってどう価値があるのか?」
「どうすればもっと自分に関連性があるようにできるか?」
「この知識を自分の生活にどう利用できるか?」

この答えをノートの1ページ目や壁に貼っておきましょう。適宜、初心を振り返ったり、ビジョンを修正して動機を磨きましょう。そうすることで、学習意欲は高まることが分かっています。また、この動機作りは、次の項目である目標や計画づくりにも関わってきます。
教科によって基礎や学習の順序には決められた体系があるとしても、目標や動機によって、到達目標は変わってくるからです。
また、目標や動機が違えば、学習者によって学ぶ道筋が異なります。学ぶ道筋、つまり学習方法には自己決定権を与える方が動機づけには重要である、と裏付ける研究はたくさんあります。学びたいスキルと知識に対する自分自身との関連は学習効果に大きく影響する重要な点なのです。

3.「何がしたいのか?どこまでしたいのか?」:目標と計画の立て方

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