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軽やかに

最寄駅の近くに、大学があります。
だから仕事終わりに駅を出ると、ぞろぞろと授業終わりの大学生が駅前の坂の下から歩いてきます。

私は職場の一番早上がりができるフレックスを使っているので、
最寄り駅に着く頃には、大学でいう四限が終わる時間。
私とそこまで年の差はありません。
それでも怖いもの知らずな感じというか、
時間の制約が少なくどこにでも行ける彼らの自由さと活力がある感じが
羨ましくもあり、素敵だなとも思います。

ある日の帰り、別に珍しくもない光景がなぜだか今でも目に焼き付いています。

その日は晴れていて、五月らしく緑の匂いが濃い風が心地よく吹いていました。
駅前の坂は商店街なので、よく流行りの曲が流れます。
その時はaikoの歌が流れていました。これは私が高校生のときから感じていることですが、aikoの歌声は晴れて白い雲が少し浮かんでいる日に聞きたくなります。柔らかく、透明感のある声。学生の頃に比較的聞いていた方だと思います。
だから音楽を聴きながら「あ、今日の空にぴったり」なんて思って坂を下っていました。

すると向かいから、白のパーカーを着た大学生らしい人が走ってきました。
荷物も少なく、軽やかに走って、駅の方に向かっていきます。
パキっとした白のパーカーを着た姿と、薄いブルーの空。
それにaikoの歌声が重なって、
その光景がとても印象的でした。

なんてことない光景。でも私は「青春だな」ってそう思いました。

髪の毛も、特に周りの目を気にさずに自分の好きな髪型、髪色に染められるあの無防備さ。
考えすぎずに、動いて、前に進める感じ。

過去に戻りたいとか、そういうことではなくて、
彼らの、気持ちがいいくらいの身軽さに対して、
素直に「いいね!」と思ったのです。

年を重ねていくたびに、自分が凝り固まった考え方や生き方に身を委ねてしまうことは嫌だと感じます。
だから学生たちのように、もっと柔軟に、軽やかに、しなやかに生きていたいです。

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