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百日紅について

子どもの頃、夏になれば校庭の花壇に咲く向日葵が好きでした。
日に向かって、素直に花を開かせる可愛い向日葵。
今も、もちろん目にすると、気持ちが明るくなります。

大人になって、少しずつ、花の名前に詳しくなって、
向日葵と同じように、
この花もいいなと、思うことが増えました。
特に、生活の中で見つける植物の中で。

その中で、毎年の夏、つい見入ってしまう花があります。
それはサルスベリ。
漢字で書けば百日紅。

白い百日紅もありますが、
私がよく見かけるのは、漢字の通り、紅色をしたもの。
小さな、でもその一つ一つの花の色が濃く、
夏の青空に足跡でも残すかのように映る花です。

先週、彼と近所を散歩していると、
近くの小学校に百日紅が植えられていました。
フェンスから飛び出るほどに、枝を伸ばし、紅色に近い、
濃い桃色の花びらたち。
既に地面に散っている花びらも、綺麗。
真夏の熱をぎゅっと閉じ込めたようなその色は、
暑さも忘れて、ついカメラに収めたくなります。

何度見ても飽きないその花を見かけるたびに、
わたしは「あ、百日紅だ」とつい声に出したくなり
(隣に気を許している人がいれば、もちろん声に出し)、
儚げでもあり、力強くも感じるその夏の花が、わたしは好きです。

人によっては暑苦しくも感じるかもしれない花なのかもしれませんが、
夏の暑さに負けずに咲き続ける花の色というのは、
励まされ、また、夕暮れ時に見かけると、
つい手を伸ばして、感傷に浸りたくもなります。

夜の中でも、百日紅の花はくっきりと見えます。
しんと静まり返った夜闇の中で月に照らされ、揺れる百日紅も、格別。

今、住んでいる町は、よく百日紅を見かけます。
見かけるたびに、つい心が緩み、
「夏だ」と実感するのです。

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