季節の境目
二月の終わりの、会社からの帰り道、
朝巻いていたマフラーや手袋を外していても寒くないことに気付きました。
最寄り駅から自宅まで、自転車に乗っていると、
過ぎ去っていく風に、若干の湿り気と、遠いところから運んできたような、
春の匂いが含まれているように感じられます。
一昨日、昨日とリモートワークで、
お昼の時間にポストを見に行くと、
空気に色が付いているように思えました。
目の前の家のお庭になっている白い梅や、
空さえも、冬と同じ水色の空だけれど、でもどこか柔らかい水色。
いつも目に入る光景さえも、春色に変わっているようです。
いつの間にか冬から春になり、
朝方はまだ寒いものの、昼間はあたたかくなりました。
冬と春の境目は、他の季節と季節の組み合わせよりも、はっきりしていると思います。
いつから冬とか、春とかはないけれど、
ふと夜に吹く風で、「あ、冬じゃない」とすぐに気付きます。
私はそれに気付く瞬間が好きで、
特にとてもいいことがあったわけではないけれど、
どこか私の知らない、もうすっかり春になった場所を旅してきた風に出会うのは、毎年のことであっても、嬉しくなるのです。
新しいことが始まりそうな高揚感や、
服装も軽くなり、どこか行き先を決めなくても、
外に歩きたくなるようなあの感じは、
冬から春に変わる今の時期だからこそ、感じられるもの。
橙、桃色、白、水色、黄色、
様々な色をかき混ぜて、住宅街の中を駆けていく春の風はとても気持ちのいいもので、
今日も駅まで歩いていく途中、「いい日だ」と深呼吸しました。
昨日は雛祭り。
雛祭りは冬から春に変わったことを意識させてくれる行事にも思えます。
去年は自分なりにちらし寿司を作ってみましたが、
今年は実家に帰って母と妹と一緒に母手づくりの料理と、
コージーコーナーのケーキを食べます。
今、母がちらし寿司を作ってくれています。
冷蔵庫を開けると、母が昼間に買ってくれたコージーコーナーの白いケーキボックスがありました。
季節の境目なんて、誰が決めたことではありませんが、
風が教えてくれたその境目のようなものを超えた気がして、
その春の、色づいた空気を今年も楽しみたいと思います。
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