見出し画像

ブルターニュを目指した画家たち

この前、彼と上野に行き、「憧憬の地 ブルターニュ」展に行きました。
フランスの最果て、ブルターニュ。
今回の展覧ではモネ、ゴーガン、シニャック、黒田清輝等の絵を見ることができます。

わたしはモネの絵が大好きなのですが、モネ以外の絵にも、心惹かれる絵がいくつもあります。
画家たちの絵を見ていると、ブルターニュという地は色彩豊かで、
水や空気、光の小さな粒が、ここかしこに散らばっているのかもしれないと、
そんな風に感じました。

例えばモネやシニャックの絵を見ていると、海の色が、青や緑系統の色だけではなくて、よく見ると、黄色も少し混じっていたりします。
モネとシニャックの描き方は、点を集めたような描き方ですが、
それがとても、ブルターニュという地を描くのに、合っていたのではないかと思います。

水面の上で揺らめく光、緑や水の匂い、風に身を任せる葉や、波の音。
そのどれもが、絵から伝わってくるようでした。

そして、ブルターニュという地に住む人々にも画家たちは魅了されていたことが感じられます。
ゴーガンの「海辺に立つブルターニュの少女たち」は有名ですが、
今回初めて見ると、こちらを怪訝そうに見ている女の子の表情に、つい頬を緩めてしまいます。
「誰なの、この人」もしくは「モデルなんて疲れたよ」と言いたげな、警戒心を含んだ瞳。

風習なのか、女性は頭に布のようなものを纏っている絵がいくつもありました。
その土地に流れる空気というのは、自然だけではなくて、住む人々によっても作られるもの。
画家たちは、ブルターニュの自然だけではなく、人々にも魅かれたのだろうと思います。

そして黒田清輝といった、日本人もブルターニュに行き、絵を描きました。
美術館には日本の画家たちが当時使用したというトランクも展示されています。
海を渡って見た、聞いた、異国の地の光、水、人、緑、音。
どれもがきっと新鮮で、どれも忘れ難いものだったのかもしれません。

自分の筆で、ブルターニュという地を描きたい。
描く対象は、自分を迎え入れてくれるような穏やかな景色だったり、
独特な文化を持つ人々、
時には自分を飲み込んでしまうような壮大な、厳しい自然の表情。

ブルターニュは、画家に「描きたい」という衝動を与えるのだと思います。
私もいつか行って、画家達が感じたもの、見たものを、確かめに行きたい。
彼らの絵を見終わった後、そんな風に思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?