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イベントを中止や延期にするしかなかった話。

正直、これを書くにはまだ心の整理がちゃんとできていない段階かもしれない。でもそろそろ何かを吐き出さなければ!っと、やっと思えるようになったのでここに書き残します。

私の仕事をなんと形容したらいいのでしょうか?

イベンター?デザイナー?ヒストリカルコスチューム研究家?

そのどれもが職業であり、同じことをしている方を世界でも見たことがないので自分の仕事を定義づけることが難しいのだけれど、今現在メインでしている仕事といえば、18〜19世紀の欧州のドレスをデザイン、制作して、そのドレスの歴史背景を紐解きながら実際にゲストが着て、当時のダンスを踊ったり、写真を撮って楽しんだりする場を設けながら、より歴史を知ってもらうための活動といえばいいだろうか。とにかく、定期的に人を集めてイベントを開催することをメインの仕事としている。昨年から、緊急事態宣言中はイベントを自粛して延期にしたり、イベントを本来の形式と変えて、密にならないように2回に分けたり、ゲスト同士が触れ合わないように工夫したり、消毒、撮影時以外のマスク着用はもちろんだけど、とにかく神経を使いながら細々と活動を続けてきました。

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昨年から一進一退する感染拡大状況に随時対応して、イベントの延期と中止を繰り返し、その度にゲストの皆様、スタッフには申し訳ないと思いながらも決断を度々せねばならず、準備したことも、企画したことも、抑えた会場も全部無に返って、大きな虚無感とキャンセルの後処理に追われる1年半を過ごしました。

会社員をしていたら想像がつきにくいかもしれない。私も去年までは会社員だったのでこれを他の方から聞かされても、想像が難しかったと思う。

「明日から通勤しないでください。感染が拡大しているので。もちろんその間の給料はありません。感染拡大が落ち着いたら安心して通勤を再開してください。ただし元通りの仕事があるとは限りません」

そう毎回言われている感覚。これを言われた会社員の方々は「この仕事を選んだ私が悪いから仕方ない」などと簡単に思えるだろうか?「命を守るためだから自分の経済活動は諦めて収入がなくなってもしょうがない」って簡単に割り切れるだろうか?自分の仕事が突如目の前から消える感覚になれることはない。でも、これをこの1年半で20回くらい味わい続けてきた。

まず、キャンセル処理が大変。代替え案を考えるのも大変。それを考えても実現できない可能性の方が高い未来。よくもここまで心が折れなかったな?っと思う。途中何度か折れかけたけど、その度にバネのようにビヨーンっと復活して「より、どうすれば安全に何かができるか」と向き合ってきた。頑張ったと思う。我ながら。

どうしても、感染対策を疎かにすることはできない。

私は去年、7年半勤めていた会社を退職したのだけれど大きな原因は感染が拡大している中満員電車で通勤することが耐えられなかったのと、社内の感染対策の甘さがどうにも無理でメンタルがおかしくなってしまった(緊急事態宣言下に毎日遅くまで残業だったしね)神経質すぎることもないとは思うが、この辺りは個々によって尺度が違うので「自分ができる範囲で最大限気をつけている」と言ったところ。

自分が行うイベントで、どうやったらゲストが安全に楽しむことができるか

そればかり考えていた。

イベントの中止や延期は、もちろん経済的な損失も伴う。キャンセル料が発生する場合もあるし、私の収入は中止や延期の分だけ無くなる。そのなくなった収入をどう埋めるか、どう損失を補填するか、これもとても大変。

そんなことやめればいいじゃないか

誰もがそう思うと思う。

でも、私がやめたら全てが終わってしまう。この唯一無二の空間を全て失ってしまう。それはそれでいいのかもしれないが、まだ頑張れるかもしれない。

その心の葛藤がここまで何度となくあって、何度も押しつぶされそうになった。

そんな時、ゲストの皆様がTwitterのアイコンをイベントで撮影した写真にしてくださっているのを見たり、メッセージをくださったり、「また遊びに行きたい」と言ってくださるのを見て、何度も何度も心が救われた。

待っていてくれる人がいる

これほど大きな支えはない。
そんなふうに期待をしてもらえる人生なんて幸せじゃないか!

自分の存在価値と、自分のしていることの意義をとにかく探して、探して、たくさん足掻いてきた。本来であればこんな悩み方はしなくていいのだろうな?っというところまで、深く深く考えて、悩んできた。幸いなことに時間はたくさんあったので。

そんな状況でも、なんとかこの1年でイベントをいくつも開催できているのは、感染対策にお力そえくださったゲストの皆様、頑張ってくれたスタッフたちのおかげです。ほんと、それが全てだと思う。

助成金などの援助に関しては、色々な方に相談させていただいたのだけれども私の仕事がどの業種にも当てはまらず前例がなく、適応の対象になる助成金がなかった。私の個人的な感想として、日本は調べてちゃんと手続きすればかなり手厚い援助が受けられると思う。しかし、私はその対象ではなかった

今まで誰もやってなかったことをするってこういうことか!

っと妙に納得してしまった。私は日本政府は割とよくやっている方だと思う派なので一概に政府を責めることはしない。この件に関しての政治批判なんぞそれこそ無意味だし、何も解決しない。無援助で窮地に立たされまくりの私ですらそう思う。

さて、

この記事で何が言いたかったかというと、実はここまで精一杯自分を奮い立たせながら戦ってきた私の心がついに折れてしまった話をしたい。

1月に開催予定のイベントが緊急事態宣言発令で5月になり、5月に延期なったイベントが更なる緊急事態宣言で延期になった。その時々の感染状況を考えれば当然の決断だったと思う。その都度処理や手続きは大変だったし、延期を待ってくださるゲストの方々にも申し訳ないが募りすぎて、どうしたもんか…と思っていた
 5月のイベントは8月末に延期になった。この8月の日程を決めた段階では、ワクチン接種が進み初め、先々にかなり希望的な見方になっていた。7月末頃にイベントは緊急事態宣言下であっても、広い会場を少人数で借りて行うので感染対策を十分に行って開催することを決定する。

迷いはあったけど、今までの緊急事態宣言の時に比べたら「どのようにすれば感染予防できるか」がだいぶマニュアル化されていたし、劇場なども通常営業し、みんな普通に街に出て毎日会社に行っているのに、私は何のために自粛しているのかわからなくなっていた。その状況でも「自粛するのが当たり前だろ」とおっしゃる方は、ご自身がどのように自粛生活をしているのか全てお話しして聞かせていただきたい。1歩も外に出ず、仕事にも買い物にもいかず、全ての社会との接触を断ち切っているのであれば、なるほど!っと納得できる。

みんな自分の尺度で勝手に行動しているように見えた

会社行くのはよくて遊びに行くのはダメというのも全く理解できなかった。職場内クラスターが増えていた時期、会社に行って働くことが一番リスキーなのに、1回目の緊急事態宣言の時のようなことができないのは何故なのかわからなかった。あれはだめ、これはだめの基準が人によって違いすぎて、気が狂いそうだった。それは今もだけれど。

そのイベントまでの2週間、私はほぼ外出をせずに過ごし、同居家族との接触すらも最低限にして過ごした。極力感染リスクを減らすためだった。イベント2週間前に、住んでいるところは別で何ヶ月も会っていない親族が陽性となった。無症状の陽性。ホテル療養となった。

私自身は7月中に2回のワクチン接種も完了したいたので、「これは私も無症状の陽性者になりかねない」と危機感を持ったからだ。

しかし、どんなに気をつけていても何かしらの事態は起こる

スタッフのうちの1名が濃厚接触者となり、当日のイベント参加が不可能となる。イベント1週間前の事だった。今のところ無症状であることにほっとしつつも、代替え案を考え、作戦を練る。ある程度想定内の事だった。そして当日、今度はスタッフ1名に発熱症状が出る。これもある程度は想定内のことではあった。スタッフ同士の接触は当日までなかったことと、ちゃんと異変を報告してくれたスタッフに感謝した。何事もないことを祈ることしかできない(後日陰性と判明)

この時勢にイベントを開催する以上、想定はしていた。

おりしも、全国で爆発的な感染者数が毎日更新され続けていた時。もう止めることができないイベントに対して、どう対処するかはめいいっぱい想定しながら準備はしていた。

想定内のことだった。確かに。

そして当日、無事皆様にイベントをお楽しみいただき2週間経っても感染者は出ずホッとしている。本当によかった。

ゲストとスタッフが無事で本当に、本当によかった。
そう思うのと同時に、イベントを主催した責任で私がブッ潰れてしまった。

自業自得なのだろう

どんなに悩んで、考えたとしても、結論を出した自分の責任なのだから。

私は大罪を犯してしまったような罪悪感を抱え、あのような状況下でイベント参加に少なからず不安だったゲストの皆様、スタッフたちを巻き込んでしまったことに対してどうしたらいいのかわからなくなってしまった。

どうしたもこうしたもないのだけれど

イベントはすでに終了していて、それは皆の尽力で安全に成功させることができたのだから。素晴らしい会場で、素晴らしいイベントを安全に成功できたことはむしろ誇ってもいいことなのかもしれないのだが

この罪のような意識。これは今までも味わったことがなかった。

今もそれと戦っている。

9月の仕事は全てキャンセルにした。また収入は無くなるけども、そんなことよりもこの後、自分が立ち向かえるように心を立て直すことが必要だ。イベントが終わってから、怖くて怖くて外に1歩でも出ることができなくなってしまった自分を、どうやったら元に戻せるのか、そこと戦わなくてはならない。割と壮絶。でも、諦める気もないので、考えて、考えて、自分を鍛え上げるしかない。

9月いっぱいはとにかく引きこもって家の中でできる仕事を黙々とこなしつつ、自分を見つめ、10月は9月にキャンセルした分も全部詰め詰めになった仕事をガシガシこなさなければならない。外に出なくてはならない。

もし私が、事業が、ダメになってしまったら、それはそれでしょうがない。
ただ、しょうがないって思えるまでは足掻きたい。

葛藤は続く!

『己の思考の積み重ねの上にしか、解決はない。』

どんな助言よりも、何よりも、自分で考えたことでしか解決なんてできないので、とにかく考える。

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