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【よくある質問】バイオリン購入方法、バイオリン製作の手順、バイオリンとヴァイオリンの違い

今回はよく聞かれるバイオリンに関する質問をまとめてみました。

ドイツでのバイオリン購入方法、バイオリン製作の手順、バイオリンとヴァイオリンの違いについてお話したいと思います。


簡単に自己紹介


私はドイツのハンブルク公立音楽学校に週5日勤め、週25時間バイオリンのレッスンをしています。
またコンサートを自主開催したり、プライベートでもバイオリンを教えています。

私の詳しいプロフィールはこちら↓


まず最初は、バイオリンの購入方法についてです。
最近生徒さんから、「バイオリンの購入の際、どのような情報を、バイオリン工房の方にお伝えすれば良いのか」と相談されたので、バイオリン工房のシュライヤーマッハーさんに直接お話を聞きに行ってみました。

シュライヤーマッハーさんの
バイオリン工房エントランス

バイオリン購入の流れ

1. 工房に電話をかける

まず、直接電話を工房の方に事前にかけ、購入予算を伝えます。

工房の方は購入者の訪問日に合わせて、予算内のバイオリンを4台用意します。
例えば、予算が5,000ユーロ(現在のレートで約777,500円)であれば、5,000ユーロの楽器はもちろん、3,500ユーロなど、少し下回っているものも用意します。

2. 予約日に工房に行く

当日工房に訪れ、4台の楽器が入ったケースを取りに行きます。

3. バイオリンレッスンにその4台のバイオリンを持っていく

バイオリンレッスンに、その4台の楽器が入ったケースを持って行きます。
レッスンの場で、生徒さんと先生が直接楽器に触れ、お互いに良いと思えるバイオリンを、その中から2台選びます。

4. バイオリンを入れ替える

1〜2週間後に、4台の楽器が入ったケースを工房に持って行き、良くないと判断した2台を返却します。
その後、新たに予算内に合わせた他の2台のバイオリンを用意してもらいます。

5. これだと思うバイオリンを決める

3-4の流れを納得するまで続けます。

なかには生徒さんに秘密で、予算を上回る楽器を混ぜるよう、工房の方に伝える先生もいるそうですが、シュライヤーマッハーさんは、お客様と工房との信頼関係をとても大事にしており、予算を超えた楽器はケースに入れないと話されていました。

生徒さんは「自分だけの楽器、一生弾いていく思い出のある品物」を求めて、楽器購入という、高価な買い物を行います。

シュライヤーマッハーさんが行っている上記のルーティーンからは、お客様のそういった繊細な気持ちを大事にしている様子が伺えます。

シャライヤーマッハーさんの
工房内の様子


シュライヤーマッハーさん以外の工房で、楽器購入の流れについて、質問したことがないので、この4台の中から選んでいく方法が通常の流れかどうか、わかりませんが、ハンブルク公立音楽学校の生徒さんが、4台入ったケースを持ってきたことがあったので、他の工房でもそうなのかなと思っています。

私が現在使っているバイオリンとの出会い


私の場合は、日本で最後に師事していた先生が、当時日本の音大での受験を控えていた私に合わせて、イタリアの工房で特別に3台楽器を直接取り寄せ、日本へ持ってきてくださいました。

私が使用しているバイオリン


私の場合、持ち帰ることはせず、その場で決めました。

当時私が決めた方法は、とてもシンプルでした。
まず3台弾き、もしあと一度しか弾けないならどのバイオリンを選びたいか(それほど印象的な音を発していたのはどれか)で選びました。

バイオリン一つとっても、大事なことは、その楽器のことをよく知り、年数をかけて弾きこんで、楽器そのものの鳴らし方、扱い方を個々に習得することです。

私自身も現在の楽器を弾いて、18年目になりますが、初めて触れたときの音と今触れているときの音は、全く違うように感じます。

文章だけではなかなか伝わりづらいと思いますが、初めて触れた時は、表面的な音が全面に出ていただけで、現在はより表情豊かな面が出て、楽器そのものが、自分が技術的・表現的にできている部分、もっと改善すべき部分を、音を通してはっきり教えてくれます

今年1月開催された
現代オペラでの演奏写真。
これからもたくさん弾き
もっとこの楽器のことを
深くしりたい探究心は
とどまることを知りません🎻


バイオリンの製作過程

ではバイオリンはどのように作られるのでしょうか?

バイオリンは伝統的な楽器であり、専門的な技術と経験を必要とする複雑な製作プロセスがあります。

今回は特別に実際のものを並べてもらい、写真撮影させていただくことができましたので、順番に説明したいと思います。(内部等、一部紹介は省いています)

  1. バイオリンの型をした土台に、小さい四角の木を載せ、金属の型に合わせて、両端の形を作ります。

小さい木(右)にのせた様子
金属の型にのせた状態


2. 側面を作り、「バイオリンの基礎」が完成します。

側面をつくる工具。
熱くなる金属部分に木をあてて
つくります。
バイオリンの基礎
1と2の制作過程ダイジェスト


3. 裏面と表面を作ります。

裏面(左)と面面(右)の木材


裏面は、2で完成した「バイオリンの基礎」に合わせて、切り落とします。


4. 表面は、2つの木を合わせ、削っていき、ニカワで繋げます。


5.  工具で両面を削って仕上げ、端に、木材でできた素材をはめこみます。

裏面と、はめこむ木材
木材の断面
バイオリンの基礎(左)に裏面(真ん中)を合わせ
側面をつけたら、右のようにバイオリンの基礎を外します。


6. ネックも写真のように、金属型に合わせて、切り落とし作っていきます。

左から
木材・金属型・切り落とし・完成したネック


7. ペグ、指板、駒、サドル等、付属品をつけていきます。


8. ニスで仕上げていきます。

一つのバイオリンが完成されるには、500ほどの作業プロセスがあり、基本的には3ヶ月、特にとても良い楽器の場合は、それ以上かかります。

参考リンク:https://de.wikipedia.org/wiki/Geigenbauer


バイオリン?それともヴァイオリン?

最後にバイオリンとヴァイオリンの違いについてお話したいと思います。

基本的に同じ楽器を指しますが、バイオリンとヴァイオリンの違いは、発音の捉え方からきている、と考えています。

英語で「Violin」と記載され、外国語ではViの発音を「ヴィ」と読むことが多いですが、日本語では「ヴ」を意識しないで、発音しやすい言葉として「バイオリン」が普及しているのではないかと思います。

またドイツ語ではバイオリンを意味する言葉が2つあります。
Violine(ヴィオリーネ) とGeige (ガイゲ)という、同じく「バイオリン」を意味する言葉があるのですが、多くの方がGeigeの言葉の方を使います。


例えば、
「Spielst du Geige? (あなた、バイオリン弾いているの?)」
と道端で話しかけられたり、

「Wo findet der Geigenunterricht statt? (バイオリンレッスンは、どこで行われますか?)」
と生徒さんから連絡をもらいます。

このように、日本でいう「バイオリン」は、ドイツでは「Geige」という存在なのだなと感じます。

グリュックシュタット音楽学校の
黒板にあった面白い質問
『なぜバイオリンを弾くの?』(右上)
Geigeの言葉を探してみよう!


今回はよくきかれるバイオリンに関する質問をまとめてみました。
他にも分からないことなどありましたら、是非コメント欄で教えてください😊

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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