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ドイツの音大に留学するメリットとは?(日本との違いは?)

今回は、ドイツの音大留学を目指す高校生の皆さんに向けて、ドイツの音大に留学するメリットと、高校生のうちにやっておくべき5つのポイントを、私自身の経験を基にアドバイスしたいと思います😊

ドイツ音大留学に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。


ドイツの音大に留学するメリット


私自身の体験を基に結論から言うと、ドイツの音大に留学することには多くのメリットがあります。特に日本とは違う大きなメリットは次の3つだと思います。

・学費が日本の音大の約4分の1
・音楽のみに集中できるカリキュラム
・卒業後のキャリアチャンスの豊富さ



日本よりも物価が高いドイツでは、生活費はそこそこかかるものの、音大の学費は日本よりもかなり安いです。そのため、学生生活にかかる費用をトータルで考えれば、ドイツの音大へ留学した方がコストは低く抑えられるでしょう。

また、ドイツの音大では、一般教養の授業がないため、音楽に専念できる環境が整っています。音楽に集中したカリキュラムが組まれており、特にバイオリンなど専門分野の講義が充実しているため、効率的に音楽を学ぶことができます。


さらに、ドイツは地方分権が進んでおり、各州にバランスよく多くの音楽大学があります。そのため、卒業後に音楽学校で教えたり、ドイツ国内外のオーケストラ団員試験を受けるなど、音楽や楽器と関わり続けるキャリアパスが豊富です。


自主開催コンサートの様子。
フルート・バイオリン・トロンボーンのトリオ♪
自主開催も仕事のひとつ🎻



続いて、日本とドイツの音大の特徴について、簡単に違いをまとめていますので参考にしてみてください。

日本の音大の特徴


【講義科目】

バイオリンレッスン
副科ピアノ
室内楽
ソルフェージュ
ジャズ・和声講座
音楽史
作曲講座
外国語
指揮法
一般教養
アウトリーチ講座(小学校や老人ホームといった福祉施設にての演奏を年8回)

【学費・寮費】

・4年間の学費(入学金含む):700~800万円
・学生寮4年分:100~120万円

【キャンパスライフ】

・1~2年:9時~17時頃まで授業
・3~4年:9時∼12時頃まで授業(演奏科目が主)

【卒業後の進路】

・7割:一般企業へ就職(就職に伴いバイオリンをやめるケースが多い)
・2割:大学院やオーケストラアカデミーへの進学+音楽教室などの副業
・1割:海外音大留学

ドイツの音大の特徴


参加した現代音楽初演プロジェクトの様子


【講義科目】

バイオリンレッスン(バイオリン史、オーケストラ入団試験準備コース含む)
オーケストラレパートリー
現代音楽アンサンブル
古楽楽器(ただし専攻楽器によっては不可)
コレペティツィオン
演奏卒業試験に提出するプログラムノート作成
音楽理論
聴音
ソルフェージュ
作品分析
音楽学
1945年以降の音楽をテーマにしたセミナー講義
楽器学
即興
副科ピアノ
合唱
室内楽
オーケストラプロジェクト
指揮法
キャリア講義(基礎講義、メディア音楽、発声学、キャリアプランニング)、一般教育学
バイオリン理論
レッスン研修&公開レッスン(バイオリン理論の先生の前で)

【学費・寮費】

・4年制修士課程の学費:12000ユーロ(約200万円)
 ※こちらのページを参照

・学生寮:小さい都市の場合は月150~300ユーロ、大きい都市の場合は月200~700ユーロ
 ※こちらのページを参照

【キャンパスライフ】

・1~2年:9時~18時頃まで授業(長い日は夜になることも)
・3~4年:昼すぎ〜夕方まで授業(演奏科目、指導科目が主。授業がない曜日も出てくるので、私は音楽学校やプライベートレッスンなど、仕事も平行しました)

【卒業後の進路】

・卒業した学部に派生した仕事への就職。
(例: 演奏学部→オーケストラ入団、教育学部→音楽学校で専門楽器講師、教員養成学部→学校教員)


グリュックシュタットにある音楽学校🏫
1番長く勤務し、レッスンだけでなく
コンサートも8回行いました。


また一回限りのオーケストラ出演や、代行レッスン、プライベートレッスン、自主開催コンサートなど、さまざまな仕事を同時に行うスタイルもあります。

ドイツ音大生の一般的な生活費


先ほど挙げた住居費や学費を除いたドイツでの1ヶ月の生活費は、おおよそ以下の水準になると思います。

【一般的な生活費】
・食費:171-245ユーロ
・交通費:74-149ユーロ
・被服費:30-67ユーロ
・通信費:29ユーロ
・教材費:20-90ユーロ
・保険:0-220ユーロ
・娯楽費:48-91ユーロ
・予備費:109ユーロ

→ 合計:481~1000ユーロ(約8万円~16.5万円)/月


なお、音楽に専念するのであれば、娯楽費や予備費、交通費を抑えて、備品や楽譜代、マスタークラスやコンクール遠征費などに充てることになります。

ハンガリーで受けたレッスンの部屋。
卒業後も数年に一度
レッスンを受けにドイツ国外へ
出かけることも。

ドイツの音大留学を目指す高校生にアドバイス!今やっておくべきこと5選


ここからは、これからドイツの音大への留学を希望する高校生向けに、私自身の体験談を踏まえながら、「今やっておくべきこと5選」をアドバイスしたいと思います😊


  1. 入試で弾く曲の仕上げ

  2. ドイツ語の勉強

  3. 先生とのコネクション

  4. 住んでから必要なことへの準備

  5. 意識改革

ぜひ参考にしてみてください。

1. 入試で弾く曲の仕上げ


まず、入試に向けて弾く曲の仕上げを日本でしっかりと準備しておくことが大切です。ドイツに渡ってしまった後では、現地の言語や新しい環境に慣れるまでに時間がかかり、思わぬトラブルが発生することもあります。そのため、現地で十分な練習時間を確保するのは難しくなりがちです。


日本にいる今のうちに、できるだけ時間をかけて、入試用の曲を完成させておきましょう。例えば、日本のホールを定期的に借りて録音や録画を行い、自分の演奏を客観的に確認すると効果的です。

2019年自主開催のコンサートで
利用した音楽ホールの様子


また、このように録画した映像は、入試のオンライン申し込みや審査に役立てることもできます。

2. ドイツ語の勉強


二つ目はドイツ語の勉強についてです。ドイツの音楽大学では、授業は基本的にドイツ語で行われるため、講義をしっかり理解するためにも、現地の学生とのコミュニケーションを円滑にするためにも、ドイツ語が必要です。



ドイツ語ができるようになると、先生とのレッスンで質問やディスカッションができ、先生が伝える内容をより深く理解できるようになります。また、入試の際には外国人留学生にはドイツ語のスピーキングレベルを証明する語学証明書が求められることが多いので、早めにドイツ語を学んでおくと、入試準備もスムーズです。


また、生活面でもドイツ語は大切です。住居探しや電話・インターネットの契約など、日常のさまざまな手続きにもドイツ語が必要です。


日本では、東京にあるドイツ・ゲーテ・インスティテュートなどでドイツ語を学ぶ方法もありますが、費用がかかる場合もあります。たとえば、私が使っていたドイツ語教材での独学もおすすめです。

3. 先生とのコネクション


三つ目は、留学先の先生とのコネクション作りについてです。どんなに入試用の曲を完成させたり、語学証明書を準備しても、先生とのコネクションがなければ、入試で有利に進めるのは難しくなることがあります。

ドイツ全土で入試を受けまくってたため、
日にちが被り受験できなかった
ブレーメン音楽大学


多くの場合、入試前に希望する先生と直接コンタクトを取って演奏を聴いてもらう「フォアシュピール」という機会を利用して先生とのコネクションを作ります。その場で自分が学びたい先生のもとに学生枠があるか確認することができ、顔を覚えてもらうことで、合格の可能性が高まります。必須ではありませんが、コネクションを築くことが有利になる場合が多いです。



日本からでもコネクション作りは可能です。たとえば、ドイツの音大のウェブサイトを通じて、先生の連絡先にメールで連絡を取ることができます。ドイツ語が難しい場合は英語で問題ありません。返事がない場合は、国際電話で「メールをご確認いただけましたか?」と尋ねるのも良いでしょう。


ドイツでよく使われる連絡アプリのアイコン。
(左から Signal, Whatsapp, iMessage)



日本にいながらでも、オンラインでつながる方法はたくさんあります。積極的にインターネットを活用してコネクションを作る姿勢が、留学を実現するために大切です。

4. 住んでから必要なことへの準備


四つ目は、ドイツでの生活を始める際に必要な準備についてです。具体的には、住居探し、奨学金、海外保険の契約、ネット接続の確保、そして学生ビザ申請時に必要な書類の準備があります。


週末のレッスン場所へ
向かう道


まず、住居探しはドイツで非常に難しく、現地では2~3年前から探し始める人も少なくありません。日本にいる間に、ドイツの住居探し専用アプリをダウンロードして、住みたいエリアの家賃相場や生活費を調べてみましょう。


【ドイツの不動産物件をリサーチできるアプリ】

【ドイツの不動産物件をリサーチできるアプリ】
immowelt - Immobilien Suche
ImmoScout24 - Immobilien

事前にシミュレーションしておくことで、親のサポートだけで生活できるか、足りない場合はどれくらいの奨学金が必要かを具体的に検討できます。

また、安定したネット接続は、家族や先生との連絡を取るためにもとても重要です。


さらに、ビザ申請に必要な書類を事前に確認しておくと、日本で用意できるものを早めに準備しておけます。これによって、渡航後に手続きで慌てることを防ぎ、スムーズに留学生活をスタートできます。

ドイツで撮影した証明写真(20代半ばの私)
背景の色も日本と違うので
写真はドイツでの撮影が
おすすめ👍


5. 意識改革


五つ目は、意識を変えることの大切さです。
高校を卒業してすぐにドイツへ行くということは、少なくとも18年間慣れ親しんだ日本の生活から一変し、全く新しい環境に飛び込むことになります。ドイツと日本では「便利さ」の価値観がかなり違うため、慣れるまでに少し戸惑うかもしれません。

いつまでも街が明るい東京
深夜になっても明るいドイツの街を
見たことがないです


たとえば、日本では24時間営業のコンビニがどこにでもあり、すぐに必要なものが手に入りますが、ドイツではそのような環境は少ないです。


また、治安に関する意識も重要です。ドイツではスリが多いため、財布を分けて持ったり、バッグを前に抱えるなど、自分の持ち物を守る工夫が必要です。中には、エアタグを使って荷物の位置を確認できるようにしている人もいます。


音楽留学の場合は、さらにロストバゲージの対策も考える必要があります。日本よりも紛失のリスクが高いため、重要な楽譜や書類はデータ化しておくと安心です。こうすることで、万が一荷物が紛失しても、貴重な原本が失われることを防げますし、帰国時には重たい荷物を減らすことができます。


このように、海外では日本のように何でもすぐに手に入るわけではないことを理解し、「便利が当たり前ではない」という意識を持って準備を進めることが大切です。

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最後までご覧いただきありがとうございました!

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