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【欧州戦術トレンド】 現代ビルドアップはこれが出来なきゃ始まらない?

最近、ヨーロッパの試合を観戦していると、新ルールとなったゴールキックからも含め、ゾーン1(自陣ゴール前)においてのビルドアップでよく見かける形がある。
ビルドアップとは攻撃の形を意図的に作ること。つまり自陣ゴール前でのボール保持において前線に50%のボールを蹴って奪い合うような選択をするのではなく、より良い状況を前線に作り出すために、そのリスクの高い後方の位置でパスをつなぎながら優位を作り、その優位を前線に届けるようにして相手ゴールに迫って行く、ということ。
そのビルドアップの形や仕組みが似ているチームが多いのだ。
それがこの形。

レビュー-120

GKを1とした[1-2-4]を自チームの後方に作る形。
この形でのビルドアップを以下「124ビルド」と呼ぶことにする。

ゾーン1でのビルドアップはプレス回避とも言い換えられる。
この位置で行われるプレスを躱せないと、前線に良い形を作るどころか相手にチャンスを与えることになってしまう。
プレスが来なければそのまま進めばいいので、ゾーン2からのビルドアップとなる。
なのでゾーン1でのビルドアップ=プレス回避と言える。
この位置では相手のプレスをいかに躱していくかが重要なポイントだ。

とはいえ年々進化をしているプレスに対して、プレス回避の形がこれひとつで行けるものなのだろうか?
…どうやら行けそうだ、ということでその対応方法を探っていく。


■各プレスへの対応

プレスの形や仕組みはチームによって様々だが、中盤より前に奪いに出て行く人数という面ではそんなに種類があるものではない。
DFラインにスペースを作ることはリスクが高いので、待ち伏せているFWがいなかったとしても、後方のスペースをカバーするために最低2人はDFラインに留まるだろう。
ということは、奪いに出て行く人数はMAXでも8人。
とはいえ守備の基本としては、待ち伏せている相手の人数に対して、DFラインは最低でも同数、出来ればカバーとして1人余れるように+1人が基本だと思うし、例えば攻撃側が1トップしか前線に置いてなかったとしても、その1トップがサイドに流れたりサイドアタッカーがオーバーラップしてくる危険に備えて、3人は後方に残すことが多いと思う。
なので、奪いに出て行けても7人と言える。

さらに、これは攻撃側が相手の奪いに出て行ける人数、つまり後方に残す人数をコントロールできるという捉え方も出来る。
124ビルドは前線に4人配置されることになるので、守備側は最低でも4人、攻撃側4人を+1人で対応するとしたら5人を後方に残す必要があるため、守備側が奪いに出て行ける人数は6人〜5人ということになる。

ではその攻撃側の124ビルドに対して、守備側は6人で中盤より前に奪いに出て行く、という想定で、どのようにプレスを躱して行くかを見て行こう。

おそらく多くのチームが該当するプレスが、[3-3]で奪いにくる形。
[1-4-3-3]型のチームはもちろん、[1-4-4-2(1-4-2-3-1含む)]型の形から中盤4のSHを前に出してきてこの形になったり。
まずこの[3-3]に対して相性が良いのが124ビルド。

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プレスは下図のように回避して行く。

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