見出し画像

「アインシュテルング効果」と「エイジ・ダイバーシティ」【DE&I#9】

こんにちは。中小企業診断士のさとうたろうです。
ダイバーシティに関するトピックを紹介しています。

アインシュテルング効果とは?

今回は「アインシュテルング効果」についてご紹介します。
経営層や管理職の方にはぜひ覚えておいていただきたい言葉です。

「アインシュテルング」とは「心構え」を意味するドイツ語。
「慣れ親しんだ考え方や見方に固執してしまい、他の考え方や見方に気づかない」というアンコンシャスバイアスの一つです。
「年齢や経験を重ねると思考が柔軟ではなくなる」というのはこの効果によるものです。

「アインシュテルング効果」を打破するためには、
・自分の先入観を疑うこと
・反対意見を受け容れること
・組織やチームの多様化を図ることが重要です。
まさにダイバーシティやインクルージョンが解決策となります。

新人CEOのほうが業績が良い理由

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー21年3月号に「新人CEOのほうが業績が良い理由」という研究レポートがありました。

エグゼクティブサーチとリーダーシップコンサルティングのスペンサースチュアートが実施した最新の調査では、(中略)
20年間にS&P500のCEOに就任した855人を対象に調査したところ、CEOの経験者は新人のCEOよりも中長期的に一貫してパフォーマンスが劣っていたのだ。
新人CEOが率いた会社の方が株価の変動が少なく、市場調整後のTSR(株主総利回り)が高かった。また、連続して2社のトップに就任したCEOのうち、70%は1社目の業績のほうがよく、60%以上が2社目は株式市場で後れを取った。
「新人CEOは長期志向で、利益率と売上成長をどちらもバランスよく重視していることが、業績に反映されている」と研究者らは指摘している。
「課題のある会社であっても、新人CEOは成長とROI(投資利益率)の向上を両立させて導こうとする」

それでは経験値は無駄なのか、というとそういうことではありません。
「エイジダイバーシティ」の有用性が見えてきます。
(私も決して若者ではないので一安心です 笑)

「経験豊富なCEOは、株主や金融市場に価値を提供する方法、次にやりたいことへの資金供給のために経営資源を解放する方法、素早く成果を上げる方法を知っている
コスト削減と、金融市場を喜ばせる迅速な成果達成に長けた短期的なリーダーが会社にとって最も有益なら、経験豊富なCEOの方がいいかもしれない。しかし、収益の成長と長期志向を重視するなら、初めてCEOに就任する人の方が適任かもしれない

更にこのような記述もありました。

最初と2度目の両方で成功を収めたCEOに、研究チームがインタビューしたところ、彼らは2度目の在職中に自分が何でも知っていると思い込まないように注意していた。そして同じことを繰り返すのではなく、質問をなげかけ、新しい会社の状況の違いを探った。

まさに自分の経験に基づく先入観を疑い、「アインシュテルング効果」に捉われないこと。これが成功の秘訣のようです。

【参考・引用】
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー21年3月号 [雑誌]
ASIN ‏ : ‎ B08W4SFSCL
出版社 ‏ : ‎ ダイヤモンド社
発売日 ‏ : ‎ 2021/2/10

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?