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エステはたった一人のお客様に向けた演奏なのだ。

何でもそうだと思うけれど
「音楽」は「聴く側」と「演る側」では全然違う、と思う。

例えばショパンだったら、聴くのも素晴らしく良いけれど、やっぱり弾く人が一番幸福なんじゃないかなあ、と思うわけです。それはショパン自身がピアノを愛した人だからかも知れないけれど。ショパンを弾いていて、ビビビッ、ゾゾゾッってくる箇所と、聴いている時にビビビッ、ゾゾゾッ、とくる箇所は違うし、感覚も違う・・・。

平たく言うとそんな感じです。

とはいえ、大学を卒業してからほとんど弾いていないので、弾いている時のビビビッ、ゾゾゾッは正直よく覚えていないけれど。(先生ごめんなさい)

振り返るともう30年前(・・・え?書いてびっくり。30年前の自分ってもう他人)になるけれど、大学時代に1曲を仕上げる経験をたくさんさせてもらえたことは、少なからず今の糧になっているんじゃないかな、と思ったりする。

私は公立の普通科で高校2年の時に音楽大学を目指すと決めたので、幼少期から専門的な教育を受けてきた人と違って音楽大学に入ってから割と苦労した方。聴音も苦手だったし、譜読みも遅かったし、初見も苦手だし、暗譜も苦手だった。1つの曲を聴いて、譜読みをして、とりあえず一通り弾けるようになるまで、かなり時間がかかったし、実際に曲を仕上げていくのは、そこから!なので、幼少期のある時期にしっかりとした音楽教育を受けてきた人との差をヒシヒシ感じたものだ。

それにピアノ練習は1日さぼると、3日後退する、と言われていたので、毎日の練習は欠かせない。華やかな大学時代どころか、狭いレッスン室にこもって、ひとりで練習する時間、ずっと拘束されているように感じていたし、ワンフレーズを何十回も繰り返し片手練習していると、この訓練に何の意味があるのだろう?と思うこともあった。

音楽を活かす仕事にもつかなかったし、離れてしまうと弾けなくなるのがピアノなので、あの時間は何だったんだろう?と思う時期もあったけれど、今になってピアノと向き合った4年間は、本当にすごくすごく恵まれた有難い時間だったんだなあ、と思う。

で、今日の本題。

音楽を活かす仕事にはつかなかったけれど、エステの仕事をしているけれど、施術は演奏に似ているところがある、と思う。

特にマッサージは1曲を弾きあげるように、途切れずに心そらさずに集中する必要がある。間違えないように譜面(マニュアル)通りに弾くだけなら、誰にでも出来るけれど、聴く人の心に残るように弾く(施術する)には、数分の曲でも何百倍もの練習時間が必要だ。そして練習しなければ、身についた技術や感覚はどんどん後退していく。

また、全身全霊で弾く(施術する)のはいいけれど、のめり込みすぎてもいけない。どんなに熱くなっても、強弱やテンポ、リズムに関しては冷静である必要がある。作曲者の意図(お客様の状態)を考えない自己満足な演奏(施術)はこっ恥ずかしい。気持ちをのせたくても、指の力やテクニックが足りていないと結局何も表現できない。

フレーズ(フリクション)一つ一つを歌い上げるように心をこめる。ハーモニーの中でどのフレーズを際立たせるのか、始まりと終わりはどこに繋がっているのか、考える。ここでピアニッシモにするからクレシェンドからフォルテにかけて盛り上がるとか。

そしてその時の演奏は二度と再現できないのも似ている。施術はいつもライブ。

だから、潮風ミューズサロンのセラピストのみなさん、これからもいい演奏をして、お客様を感動させましょう。たったひとりの目の前のお客様のために♡

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