不動産業の酷すぎる税金事情について

去年の12月、初めて税務調査が入りました。その時に大事件が発生しました。具体的に言うと、「消費税が800万還付されるはずが、それがすべてなくなり、逆に追徴課税100万円を請求される」というもの。

どういうことか。消費税は「もらった消費税」-「払った消費税」=「納税消費税」となります。納める消費税が少なくなるには、「もらう消費税を少なくする」か「払った消費税を多くする」が必要になります。

さて、弊社は一昨年老人ホームを新築しました。建築費用がおよそ8000万円ですから消費税を800万近く支払いました。「払った消費税」が800万あるが、その他の事業での支払い消費税は0円に近い。つまり、800万円の消費税還付がされるはずでした。

しかし、税務調査が入った結果、消費税還付は受けられないことになりました。なぜか、それは「居住用の建物の仕入れは消費税課税仕入れに含めることができない」からです。簡単に言うと「アパートなどの居住用の建物を建築したり買ったりした場合に消費税を払っても、消費税を納付するときの「支払い消費税」に含めることはできませんよ!」ということ。支払い消費税が多ければ多いほど、納付する消費税は少なくなりますから、非常にキツイ決まり事なわけなんですね。

さて、これ「居住用の建物」ですから、普通はアパートとかを想定します。しかし、「居住の用に供することが明らか」な建物すべてということで、なんと「住民票を移すタイプの入居型老人ホーム」も「居住の用に供することが明らか」なので、消費税課税仕入れの対象外なんですね!

そんなこんなで税務調査でそれを指摘され、受け取れるはずだった800万超の消費税は泡と消え、600万円ぐらい追加で消費税を払うのに加え、「国税の過小申告加算税」である15%(約100万円)を納付することに…。しかし、これは完全に税理士側のミスだったので、この加算税は税理士さんのほうで負担していただけることになりました。


本当に腹立たしいのが、この「居住の用に供することが明らか」というものに「老人ホーム」などを含むことが周知の事実になっていないことです。そもそもなぜ「居住用建物が課税仕入れにいれられない」というルールができたかというと、これを利用して節税スキームを組む不動産投資家が多すぎたからなんですね。

なので、令和2年10月に全く事前周知なしでこのルールは国税主導で始まりました。周知徹底が全くされていない状態で始まったのにも関わらず、老人ホームなどの特殊事例の場合の説明もほとんどない。「勝手にルールを変えて、知らないお前が悪い、早く金を払え」という態度なわけです。


それにしても、本当に不動産業というのは「二重課税」「消費税の累積課税の無視」など、税金がキツすぎます。マジで儲かりません。

不動産取得税と登録免許税を合わせて弊社は毎年300万くらいを支払っています。また、固定資産税もそれと同額程度の支払いがあります。つまり600万ぐらい不動産関連の税金の支払いがある。

本来、税の二重課税はしない、というのが原理原則なわけですが、これらを経費で支払っても余裕で黒字なわけで、この黒字部分にも法人税がかかってくる。本来であれば、二重課税回避で、経費としてではなく、税額控除にすべきなのです。弊社の法人税等支払いがおおよそ400万円くらい、更に私の所得税や法人・個人あわせた支払い消費税もあわせれば、私の納税金額は毎年計1500万円程に上ります。


それに見合った見返りがあればいいんですが、日本では高額納税者というのは「後ろ指」をさされる存在です。誰にも尊敬されず、ただ国に搾取され、国税は平気で人を騙すようなことをやってくる。利益を上げれば上げただけ、おおよそ稼いだ金額の55%を国に取られる。本当にやってられない…。

能力のない人は「こんな低賃金では暮らせない!やってられない!」という。能力がある人は「これだけ税金を搾り取られたらやる気なんて出ない!これ以上成長しようなんて気は起きない!」という。どこに楽園はあるのでしょうか。

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