見出し画像

【山雅大丈夫?】1億1,300万円の赤字について考えます

2023年4月26日、株式会社松本山雅 第13回定時株主総会が開催されました。

2010年に株式会社松本山雅が発足して以来、初の赤字となったわけです。

先に個人的な感想を述べると、「ついに赤字になったけど今はさほど問題ではないかな」といったところです。自分の周囲でも全然危機的な状況ではないという感じでした。
ネットでもいろんな意見が出ていましたが、ひとつだけ気になっていたことがあります。

みなさん、公表されている損益計算表(P/L)と貸借対照表(B/S)の見方わかりますか?

いやいやバカにするなと。こんなの社会人として見られるのは当たり前だろと思う方もいる一方で、実はえ、こんなの義務教育で教わってないし、別に見方がわかったところで何の役にも立たないんじゃないの?と思う方も、P/L、B/Sって何?昔の高校野球と衛星放送?という方もいるかもしれません。

なので今回は、松本山雅の決算公告から、損益計算表(P/L)と貸借対照表(B/S)を学んでみようと思います。

損益計算書(P/L)って?

損益計算書とはProfit and Loss Statementを略して(P/L)と表し、一定期間における会社の経営成績を示したものです。
今回の場合は2022年2月1日から2023年1月31日までの1年間の株式会社松本山雅の収益と費用となり、その純損失(黒字の場合は純利益)が△113,086,000となりますよ、ということです。
これって家計簿と似ていて、収入より支出が多ければ赤字になるのと同じ理屈です。
つまり2022年2月1日からの1年間で、株式会社松本山雅は収益より費用の方が多くなってしまったということです。
むしろ、第13期にして初めて赤字ということは、これまでよくずっと黒字でやってこられたなという感じです。
どちらかというとみなさんが気にしているのは約1億1,300万円の赤字という損益計算書のほうで、実は次の貸借対照表についてはほとんどの人が触れていないので、こちらも簡単ではありますが見てみたいと思います。

貸借対照表(B/S)って?

貸借対照表とはBalance Sheetを略して(B/S)と表し、一定時点での会社の財政状態を表しているものです。
先ほどの損益計算書が経営成績ならば、貸借対照表が財政状態となります。どちらかと言ったら会社の状況をみるとしたらこちらのほうが重要視されるんですよね。

今回の場合を見てみると、2023年1月31日時点での株式会社松本山雅の資産、負債、資本を表しています。
見方によってどう評価されるかはわかれるところではありますが、これから支払わなくてはならない負債が3.3億円に対して現金という資産が6.9億円あれば、会社としては全然危機的な状況ではないといえると思います。

この動画を見ながら貸借対照表(バランスシート)を見てみるとわかりやすいかなと。

こちらは昨年の様子です。

昨年と比較すると現金が約1.8億くらい減っているんですが、ただ会社で現金を抱えていても何も生みませんから、設備や人への投資だったりといろんな形で使い道はあるかと思います。
店単体としての利益はわかりませんが、飯田に喫茶山雅を作ったところで今のところ会社の財務には影響がなかったということでしょうね。

個人的には損益計算書が家計簿貸借対照表が健康診断の結果だと思っていて、どんなに家計をうまくやりくりしても肝心の自身の体がボロボロだったら意味ないわけで、これは会社も一緒で、どんなに黒字経営でも会社の財務がボロボロだったら簡単に経営難になってしまうし、その逆で赤字経営だけど財務基盤がしっかりしていれば健全な経営をしているということも、この貸借対照表を見ればわかるのです。
そうなると、ネットでのコメントを見ていればそういう見方や考え方もあるのかというのもあるし、それは明らかに的外れだよね笑というのも一発でわかるわけです。

そもそも毎年日本の企業の6割近くは赤字経営になっているわけで、1年間赤字出しただけで経営陣が責任取っていたら毎年その6割の企業は成り立たなくなってしまうし、もし1年たりとも赤字経営が許せないと本気で信じているようでしたら、まずはご自身がお勤めされている会社の社長さまを辞めさせればよいのではと思います。
人を辞めさせるって簡単だけど実はいちばん無能な策ではないのかなと思っている今日この頃です。

話がそれました。

赤字が続くと?

とはいえ、赤字でも大丈夫なのは1~2年だけで、そうは上手くいかないのがJリーグの難しさです。

すでにご存じの方も多いように、3期連続で赤字だとクラブライセンスがはく奪されてしまう可能性があります。
コロナ禍の特例もなくなりますので、通常の制度に戻りますといったところでしょうか。

で、山雅は赤字でも財務面では問題なかったのですが、これから影響が出てくるのが、3期連続で赤字だとクラブライセンスがはく奪されてしまう可能性があるため、赤字にならない経営にシフトすることもありえると思ってます。

損益計算書は家計簿に例えられるといいましたが、もしみなさんが家計簿をつけていて赤字になってしまったとき、次の2つを考えるのではないでしょうか。

収入(収益)を増やす
or
支出(費用)を抑える

で、一般的な会社員が収入を増やすといっても転職か副業くらいしか可能性はないわけで、となるといちばん現実的なのは支出を抑えることだと思うのです。
物価が上がっているから食費や外食の頻度を見直したりとか、電気・ガス・水道代、スマホの料金を見直すといったことがあるでしょうか。
私はスマホ代を実質月2,500円以下に抑えていますよキリッ

これはクラブ経営でも言えると思っていて、なかなかスポンサー様やファン・サポーターが増えなくて収入が増えないとなると、支出を見直すしか方法が無いわけです。
もし支出を見直すとしたら、おそらく手が付けられるのが人件費と固定費になるのかなと思ってます。
人件費は簡単に言えば選手・スタッフへお支払いするお給料ですね。
Jリーグ60クラブあるなかで山雅を選択して来てくれる選手全員素晴らしいし、一緒に闘ってくれるのはありがたい限りです。
ただ、現実を言えばやはり技術を持った選手や山雅より待遇の良いところがあればそちらのクラブに行ってしまうので、人件費の削減はなかなか痛いところです。
そして固定費の削減なんですが、いちばんピンときやすいのがホームゲームの運営費の削減だと思うんですよね。
たとえば、これまで無料だったシャトルバスが有料になってしまうとか、チケット代へさらに上乗せされてその結果入場料収入に影響してしまうとか、これまでできていたスタジアムでのファンサービスが限られてしまうとか、警備等の人員が配置できなくてスタンド内の治安が悪化してしまうとか。。
これらはあくまで想像ですが、ただ来期も赤字だとその翌年の3期目にはなにがなんでも黒字にしないといけないので、人件費や固定費などに手を付けざるを得ず、こういった方向に振り切るといった可能性はあると思います。

解決策は?

そういったなかで、解決策はあるかというと特にこれといった方法が無いんですよね。
おそらくみなさんはJ2に昇格すれば解決するという答えを期待していたと思うんですが、仮にJ2に昇格してもそんなに変わらないんじゃないかなと思ってます。それに今期J2に昇格できていても赤字だったことは変わらなかったでしょう。
自分はここ最近天気と試合結果はコントロールできないと言い続けていて、どんなにピッチで頑張っても試合に勝てなければJ2に行けないわけです。
一方で、いわば収益や費用でありお金の流れとなるこの損益計算書と貸借対照表って実はいくらでもコントロールできるわけです。
帳簿を書き換えて不正できるということではないですよ笑

余談ですが私は昨年簿記を学んでいまして、そのきっかけがJリーグ・Bリーグから公表されているクラブ経営情報なんですね。

これを自分でも見られるようになって勝手な分析ができればなんか面白くなるのでは?と思ったからです。
で、調子に乗って簿記3級も受けたのですが昨年はボロ負けだったので、もう一度勉強しなおして今年中に3級の試験受けてこようと思います。

話がまたそれてしまいました。

要はカテゴリー関係なく、より多くのスポンサー様、ファン・サポーターのみなさまに応援してもらえるクラブにならないといけないですね。と改めて感じたのでした。


このnoteをいいねと思ってくれた方は
♡をポチっとお願いします。
応援していただける方は「気に入ったらサポート」から
応援していただけるとありがたいです。
今後もnoteを書く励みになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?