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【読書感想】事故物件7日間監視リポート/岩城裕明


怪談が好きだ。
定期的に「怖いもの」が好きな波が来る。昔はホラーものは本当に苦手で、夏のホラー特集などは見れなかった。代わりにUFOやUMAなどは好きだったが、抱き合わせで放送されているものが多く、録画はホラー部分を飛ばして見ていた。

それが大学時代には就活のストレスの影響かホラー映画にハマり出し、怖さよりも面白さが勝った次第だ。今では、逆にUFO系の方が怖い。(なんでだ?)
で、今無職なので、そのストレスなのかもしれない。お先真っ暗ゆえ……。

今ハマり中のホラーは「怪談」である。

別記事で書いたが、「事故物件住みます芸人」の松原タニシさんの「松原タニシのおちゅーんLIVE!」というチャンネルでやっていた「OKOWA」にはまっていた。合計40時間以上は見たと思う。多分。
「OKOWA」は怪談に限らず、ヒトコワ、UFO、怖い話ならなんでもありで、誰が一番怖い話をするのかというのを決める催しだ。

40時間見続けて思ったのが、そこで思ったのが「人が話す怖い話っておもしれ〜」ということだ。
伝聞であるがゆえ、不可解さを残す不気味さが背筋をゾクゾクさせる。語りにも、構成がいるのだなあ、と語り手の技巧で思い知らされた。
小学生の頃たまに開かれる朗読会が好きだったなあ、ということをなんとなく思い出した。

怪談というものは、もともと結構好きだった気がする。肝試しは絶対に嫌だったが、百物語ならやってみたいな、という気持ちはあった。親戚にねだり、怖い話はないかと尋ねたこともある。
暇になったので、心が幼児に戻ったのかもしれない(もしくはストレスで)。

怪談を聞き続けると、小説も「ホラー読みてえな」になってくるのである。カフェインみたいだな、ホラーの刺激って。
ということで、ホラー小説を買った。

岩城裕明「事故物件7日間監視リポート」である。

あらすじ
リサーチ会社を個人経営する穂柄はあるマンションの一室の住み込み調査を依頼される。そこは「事故物件」だった。住み込み期限は1週間。穂柄は何も知らない、バイトの優馬を住まわせ、定点カメラで監視をすることになる。

章が「一日目」「二日目」…となっており、これがまた「レポート」的臨場感があっていい。
怪談というよりは、映像的である。というのは、これは人称と視界の問題であるが、「怪談」の語りの視野と、一人称視点の語りの視野は異なるというのがある。持論でしかないが。
私の読む前のイメージは白石監督が撮るようなモキュメンタリーだった。
実際読んでみて、モキュメンタリーよりはドラマだなと思った。体感だが。

「事故物件7日間監視レポート」は、パラノーマル・アクティビティみたいなものだろうか?(見た事はない)(怖いから)
七日間監視をする中で部屋で起きる異常現象、それから調査を進めていく中で、繋がっていくその因果。
そんなところで因果が……みたいな繋がりかたをしていって、まじか、となっていた。肝心の読書感想文が語彙がなくなってしまうのはもう、ネタバレになってしまうので話せないというところがでかい。了承くだせえ。

ホラーは、結構ミステリーとも近しい箇所に位置していると思う。澤村伊知「ぼぎわんが、来る」で感じたし、映画「残穢」でも感じた(原作未読)。
そういう因果とか理由とか、トリックが繋がっていくのに、私は痺れるのかもしれない。

理由がわかったようでわからん、超常現象を残したままのそのモヤモヤ感がやっぱりたまらない。最高でした。200ページないので、結構読みやすいと思う。
ネタバレになりそうなので、多くは語れない。

現在Kindle Unlimitedで読めるようなので、ぜひホラーが好きな方は読んでみてほしい。

……あとは、「本ならではの演出」があるというところが最高だな! と感じた。なので、できれば紙書籍で買って欲しいな、という気持ちだ。電子だとどうなっているかな……?
映画の演出、漫画の演出、語りの演出、文字の演出。こういうのに触れると、「カア〜〜〜〜〜ッ」とおっさんのように膝を打ちたくなるのだが、こういうところを人と語れることがあまりないし、いざ語ろうとなると、結構思い出せなかったりする。悲しい。

「リポート」という形で、間接的に恐怖を味わうこの感じ、少し怪談とも近しいかな、と思った次第である。

以上、読書感想文。秋と冬の境目にホラーを読もう!

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