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しおの雑文庫

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つれづれよりもラフに、楽に。 雑な話をしていく。 iCaとかで適当にテーマ決めて書きます。
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2019年12月の記事一覧

筐の女

筐の女

 Aの部屋は五畳一間の年季が入ったものだ。上京して五年、住み慣れた狭さを彼も気に入っていた。
 気に入っていたが、いつも妙な違和感が片隅にあった。なるべく気づかないふりをしていたのは、家賃が安いからだ。
「襖は開けんでな」
 Aは泊めた友人に対し言った。彼の布団は、客用も含めて部屋の隅に置いてあった。雄大な川が広がるような水墨画が描かれている、立派な襖の奥は布団を置くためのものであろ

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