シェア
塩野秋
2019年2月11日 21:40
冬眠できなかったくまは、話し相手に起きている動物を探しに出た。 まっしろで、まるで右も左もないような、さみしい景色を歩いていると、なんだか不安になってきた。くまは、シーンとした冷たい耳鳴りに耐えられず、大きく吠えた。 空気は振動し、どこまでも遠くに、その声は伝わった。木々が揺れ、雪がどさりと落ちる。 答える声も、動物の姿もなかった。 白い景色に、揺れる耳が見えた。「くまさん遊ぼう」