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新卒1年目の配属が人事だった話

日が長くなってきた、と思った 春が近づいている

春は大好きだ けど、昔は苦手だった 春の時期が一番忙しい仕事をしてた頃の話

新卒で入社した前職、配属先は入社1年目にしていきなり人事だった それも新卒採用をメインにする部署

1年目で人事配属、世間では意外とあり得ることらしい 知らなかった 人事は、営業とか色々経験した人がなる部署だと勝手に思っていた
入社式で配属を知って身震いした わたしが人事?

小学生の頃から、教室のなかで手を挙げて発言をするのが苦手だった 絶対に自分からは手を挙げない子だった 人前で喋るのも苦手で、ハキハキと喋れる子をみてはいつも凄いなぁと思っていた 自分には到底真似できない
それでもなんとかやってこれた 特に目立つタイプでもなく、地道にコツコツと生きてきたつもりだった

入社して1ヶ月も経たないうちに、
来週の新卒説明会、〇〇さんに一人で喋ってもらうから と言われた

へ?

人事配属と聞いて覚悟はしていたが、この私が、人前で話すことを最も苦手としているこの私が、ひとりで説明会…?混乱した

とにかく、少ししかない準備期間で事前にできることはすべてやった 先輩の説明会に同席させてもらって、先輩の動きをしっかり観察した iPhoneで先輩が喋ってる内容全て録音した メモをとった 家に帰って録音した音源を何度も聞き返しながら必死で文字起こしして、台本を作った きっちり話すことを覚えようとした

そして迎えた説明会当日、なんとか乗り切った いまとなってはあまり記憶がない とにかく乗り切った

案の定、先輩からたくさんダメ出しをされた 

まず、会社のことを知らないと駄目だと思った 入社してたったの1ヶ月、まだなにもしらない状況で、ただただ先輩の喋る内容を真似して話すことしかできなかった私のする説明会なんて、どれほど薄っぺらかっただろうか、今になって思う

その後は、時間はかかりながらも自分なりの言葉で話せるようになってきた

先輩からよく言われていたのは、学生の前ではとにかくキラキラしてほしい ということ

職場の休憩室では、いつも同期に顔が死んでると言われていた 自席でもきっと顔は死んでいた

でも、説明会の場に立ったり、学生と面談したり、面接するときには、とびっきりのキラキラを演じていた

ほぼ毎日学生と顔を合わす予定があったため、お化粧もばっちりして、服装にも気を遣った 上下スーツでカチッとするのではなく、オフィスカジュアルっぽく、より親しみがられるような服装を心がけた 髪の毛もふわっと巻いて、柔らかくして、とにかく、この会社で働くの楽しいよ!おいでよ!のオーラを頑張って出そうと必死だった

〇〇さんがいたから、〇〇さんの説明会に参加して、〇〇さんのような人と一緒に働きたくて、〇〇さんのおかげで…

それで、この会社で働きたいと思いました

そう言ってくれる後輩が何人かいて、素直に嬉しかった

ほとんど年齢の変わらない学生が、目を輝かせていろんな質問をしてくれる たいした経験もないわたしが、偉そうに答える、話す、動機づけする

きっとわたしは浮かれていた 

数年前まで、皆さんと同じようにわたしも就活してました!誰よりも皆さんの気持ちに寄り添えると思います そんなことを武器にしてたけど、1年目で人事だからって、なにも偉くないし、無能すぎたと今では思う

必死で、死に物狂いで、数字のプレッシャーに追いかけられながら日々を乗り越えている同期からみると、わたしなんてどんな風に思われてたんだろうとか、たまに思った

でも、あの仕事をしてて良かったと、今では思えることもたくさんある

あんなに人前で話すのが苦手だった私なのに、いつの間にか、全社員数百人が集うホテルでの懇親会の司会を任されるようになっていた

お偉いさんもみんないる、だだっ広い会場の片隅で、必死になって司会をしていた

せっかくの立派なホテルの立食ビュッフェがまったく食べられないことは毎回不満だったし、久しぶりに会う全国の同期ともあまり話す機会がないのも不満だった 懇親会が終わった瞬間、安堵なのか、気持ちが緩んだのか、全部の歯の神経が驚くほど痛くなるくらいにはプレッシャーも感じていたみたいだけど、そんなに緊張することなく、数時間の司会をこなせるほどに人前で話すことが苦手じゃなくなっていた

自分にとって、これは本当に大きな経験だった 自分の中で、一番苦手でいちばんの欠点だと思っていたことを克服できたことに、何よりも喜びと安堵を感じていた

春は忙しかった

説明会や面接、インターンシップ、合同説明会、入社式、新入社員研修の準備、新卒のフォロー

春は忙しい

採用だけではなく、会社を中から変えていく人事制度の改革とか、色んな仕事もさせてもらってたけど、色々あって、結局、会社を辞めた

いまは淡々とPCを叩く仕事をしている

人前に出ることなんて一切ないから、身なりにそこまで気合が入らないことが多い

たまに、あの頃のキラキラした女性を必死で演じていた20代前半の自分が懐かしくなる

人は色んな経験をして、日々成長していく

今のわたしは、成長 できてるのか わからないな

けど、昔より心が安定して、ストレスが減ったのでわたしの選択は間違ってなかったとおもう

世は三連休だね、わたしは明日も仕事だし、月曜日も働きます、いま少し忙しい時期なので がんばろう


とくに意味はない、ふと思い出したのでただの備忘録として。