M-1グランプリ2020を予想する

いよいよ迫ってきたM-1グランプリ2020。その魅力については過去記事を参照してほしい。改めて出場者をおさらいしていこう

1.優勝への必要条件

とにかく爆発が必要だ。コンビ歴15年以内となり中堅どころも目立つが、フレッシュさと、4分間でどれだけインパクトを与えられるかが肝となるだろう。

2.連続出場組

連続出場は安定感の象徴だ、しかしそれは目新しさの欠如とも取れる。目新しさはインパクト・爆発力に直結する故に、どれだけオリジナリティを残しつつ成長した姿をアピールできるかが鍵になってくる。

ニューヨーク(2010結成) 2年連続2回目

オズワルド(2014年結成) 2年連続2回目

見取り図(2007年結成) 3年連続3回目

ニューヨークはこの3組の中では一番勝機があると思っている。ネタのバリエーションが多く、最終決戦に残った場合でも別の角度から切り込める力があるからだ。昨年はトップバッターで最下位に沈んだものの、順番次第ではもっと上位に食い込めたと感じる。レジェンド松本人志に「ツッコミ好きじゃない」(ざっくり)と否定されたリベンジの準備は整っている。

見取り図は名実共に安定感で言えばNo. 1であろう。しかしスタイルが完全にばれている分、相当なビハインドを負っているのは間違いない。因みに2015年以降3年連続出場しているのはかまいたち、スーパーマラドーナ、和牛の3組。いずれも戴冠には至らなかった。歴代で見ても優勝したのはフットボールアワーと笑い飯のみだ。偉大な2組に並ぶことができるか。

オズワルドは東京漫才の結晶とも言える独特のテンポがたまらない。そして今年はM-1に焦点を当て随分とカスタマイズしたように見て取れる。審査員に代わり映えしないとは言わせないという意気込みが大いに感じるが、本来のカラーが薄まって見えないかが心配だ。ナイツ塙の著書にあるように、関東芸人が勝ちきれない歴史に風穴を開けてほしい。※因みに私が2019の準決勝でミルクボーイの優勝を確信した一方で、一番爆笑したのはオズワルドだった。

結果がどうなるにせよ、彼らが今後の漫才界を牽引することは疑いようのない事実だ。

3.返り咲き組

こちらは逆に、(決勝に残るという水準で見れば)ハマれば強いが安定感に欠ける。とも言える。返り咲きコンビの優勝は前例が無く、実績だけで言えば一番厳しい戦いになる可能性が高い。※チュートリアルは一応返り咲いた実績があるが、連続出場からの優勝。

マヂカルラブリー(2007年結成) 3年ぶり2回目

アキナ(2012年結成) 4年ぶり2回目

マヂカルラブリーには準決勝で一番笑わせてもらった。会場のウケも半端ではなく、落とすわけにはいかないと言った雰囲気もあったのではないか。ただし決勝の舞台で漫才としてどのような評価が下されるのかは未知数だ。R-1、M-1、KOC全て決勝に進出しているのは彼らだけだ。今日が真の賞レースキングとなる日となるか。とにかくはやくもう一度あの漫才が見たい。

アキナは個人的には決勝進出が一番意外だと感じた。単純に好みが出てしまうが、マイルドすぎてもう少し尖ったことして欲しいと。しかし知人の中では軒並み評価が高く万人受けで言えば堅いところか。正直爆発するイメージはないが、予想を覆す活躍を見せてほしい。

4.初出場組

上述の通り、インパクトで言えば断然有利な枠になる。世間的に見ればダークホース/無名となるのだろうが、実力だって折り紙付きだ。実績的にも、この中から優勝するコンビが出てくる可能性が1番高い。

おいでやすこが(2019年結成)

東京ホテイソン(2015年結成)

ウエストランド(2008年結成)

錦鯉(2012年結成)

ユニットコンビのおいでやすこが。ついにユニットが決勝の舞台に立つ。完全に固定観念で、決勝に上がることはないと思っていた自分が恥ずかしい。だがそう思っていた方も少なくはないだろう。安心して欲しい、準決勝は会場を一番沸かせたと言ってもいい程のウケ方だった。そもそもおいでやす小田のツッコミは生身のボケにぶち当てる方が明らかに映えるのだ。モンスターエンジン西森とコンビだったこともあるようで、どのような経緯でピンを選んだのかは知らないが。来年のR-1のレギュレーション変更で行き場を無くしたピン芸人二人。新たなるステージで輝くことができるか。(優勝したら正式にコンビになるのか?)

毎年毎年有力視されていた東京ホテイソン。初めて独特なツッコミを見た時は大笑いしたのを覚えている。そして彼らの一番凄いところは、フォーマットがありながら常にバージョンアップし、しかも格段に面白くなっているところだ。個人的には優勝が近いと考えている。もし今年がダメでも同じフォーマットで来年以降も戦える地肩がある。ボケのショーゴは会見で「霜降り明星さんのパクリだと言われても腐らずにやってきたことが形になって良かった」と語っていたが、似て非なるわけでもなく、全く異なるのは明白だ。どんなにわかがどんな理由で言っているのか聞いてみたい。彼らの素晴らしさはまたいずれ個別の記事にしようと思う。

二つの意味でウエストランドも念願の初出場だ。なぜならタイタンから初の決勝進出となる。個人的には例年と変わらないのになぜ今年は準決勝を突破できたのか、少し疑問である。爆笑問題を彷彿とさせる強烈な毒舌漫才で、昨今の傷つけない笑いに抗って頂こうではないか。完全な主観であるが私はタイタンの大ファンであるため、ウエストランドにはしっかりと爪痕を残してもらいたい。

錦鯉もSMAから初の決勝進出コンビだ。一部お笑いマニアからは以前から人気が高く、後押しもある雰囲気ではあったものの、知名度的には今回のダークホースと言っていい。レギュレーションがコンビ歴15年に延長され、各コンビのネタも随分と洗練されてきた昨今で、完全なバカ漫才が脚光を浴びる可能性は極めて高い。ボケの長谷川は49歳、M-1ラストイヤーには56歳というのだからそれだけでも面白い。ツッコミのNSC東京5期(大阪22期)の黄金世代と同期である。バカを操るキレのあるツッコミにも注目してほしい。超遅咲きコンビが満開の花を咲かせるか。枯れ死ぬか。大注目したい。

5.敗者復活勝者

直前に一番受けたコンビが決勝の舞台に上がって来るのだから、勢いに関してはこの枠が一番であることは間違いない。実際毎年好成績を残していることから、優勝も期待せずにはいられない。しかも今年の準決勝は前回記事の通り、誰が決勝に行ってもおかしくないほどにハイレベルで、勝ち上がりを予想するのは困難だ。

あえていうならば視聴者投票のアドバンテージででぺこぱが上がってくる可能性が高めであることか。この理由と、私が視聴者投票に反対であることはこちらの記事を参照して欲しい。

噂ではゆにばーすが準決勝で使わなかったネタがかなり強いらしく、楽しみにしている。今年のABC覇者のコウテイも唯一無二のパワフルなネタで押してくることが予想される。唯一ラストイヤーの学天即も、並々ならぬ情熱で会場を沸かせるはずだ。個人的に激推ししているキュウや滝音が勝ち上がってくれることを祈っているが、当然面白かった3組に投票することは揺らがない。

6.まとめ

突出した正統派コンビが不在の今大会、私は東京ホテイソンが好成績を残すのではないかと期待している。フォーマット+αの力、掛け合いの漫才らしさ、インパクトのある目新しさ言葉遊びの受け入れやすさと、さまざまな角度で見ても穴がなさそうなのだが、審査員がどういったジャッジを下すのかが楽しみだ。

ニューヨークにも注目したい。演技力と話術のバランスが絶妙で、見た事のあるネタを見ても飽きが来ない。練習のしすぎで凝り固まった漫才をするコンビも見受けられる中で、ニューヨークは一際肩の力を抜いてお互いが楽しんでいるように感じる。懸念はネタそのもののチョイスくらいか。

くどいようだが敗者復活含め誰が優勝してもおかしくない、歴代最高の大会となりうることが嬉しくてたまらない。

また新しいスターが誕生することが、楽しみで眠れない。

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