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見送るということ #5

葬儀は病院と火葬場の都合に左右された。納骨もやはり日程調整であたふたした。
寺と石材屋の都合を聞かねばならぬらしい。
一応、寺の空いている日程を聞き、それを元に石材屋と交渉する。
寺はいくつかの日を提示してくれた。それらを踏まえて家族会議、そして会議の結果を寺にフィードバックして、最終日程を石材屋へ連絡。兎角この世からあの世への道も面倒である。

納骨の日程も決まり、やれやれという日が続いた。しかし、「オヤジの戒名なんて読むんだ?」という疑問。
慌ただしい日々の中で戒名の読み方を確かめていなかった。不覚というのかね。ここでも、「そんな、読み方なんてほっとけ」と悲しみの欠落した僕は思っていた。理由はまた別に書こうと思う。

戒名の読み方すら分からぬまま納骨を迎えるその前日。念のため寺に明日の予定を電話で確認した。そこで驚きの一言。住職が言うには、「いやー、予定が重なっちゃってさ、悪いけど少し早めに来てるれる?」だって。
はあー?法事のダブルブッキング!?
聞いたことのない事態ではあるが、この程度はテーマパークのアトラクションくらいにしか考えていないのである。
「よし。明日は日の出とともに寺を急襲する!」(ホントは朝食の後)
そんなこんなで納骨の日を迎えた。

(つづく)

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