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本当に成長したいなら、「型通り」やることの重要性を知った方がいい

はじめに

こんにちは、Repro(株)取締役の中澤です。すごーく久しぶりにNOTEを書きました。(フォローして下さってる皆様、中々更新できず、すいません)

みなさんは、「守破離(しゅ・は・り)」という言葉を知ってますでしょうか?守破離とは、茶道や剣道などの芸道・武道の修行の過程を示す概念でで、成長していくための重要なステップを3つのフェーズに分けて示しています。

  • 守:師や流派の教え・型・技を忠実に守り、身に付ける段階

  • 破:他の師や流派の教えも研究し、良いものを取り入れ、型・技を発展させる段階

  • 離:身に付けた型・流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階

成長意欲が高い人ほど陥りやすい罠

成長意欲の高い人ほど陥りやすい罠が、様々な情報ややり方を沢山吸収して、その中で「自分なりのやり方」で成果を出していく、創意工夫していく方が、成長実感・自己承認欲求が得られやすく、「型」を身につける前に、「自己流」に行き着いてしまうという傾向です。

世の中の達人たちも言っていますし、実際に中澤も多くの部下を見てきて思うのが、このような形で成長を目指したメンバーほど、「最初の成長は目覚ましいが、頭打ちも速く、その後、成長が止まる」傾向にあります。

武道の達人も、大谷選手やイチロー選手もそうですが、「一流」と呼ばれる人たちは「急がば回れ」の精神を非常に重要します。そして、まさに「守破離(しゅ・は・り)」のステップを大事にし、まず、徹底的に「守=型」を身につけることに最大の努力を払います。

守破離は「凡人」にこそ有効な成長方法

守破離が適さない例外的な人材がいます。いわゆる「天才」と呼ばれる人たちです。「秀才」では無いことに注意が必要です。「天才」は天才の名の通り天から才能を与えられた者であり、よってこの世界に「型」の前提となる「師匠」が存在しません。(必要としません)

よって天才にとっては「守破離」の思想はむしろ弊害となり、まさに「独自性の追求」こそが成長への最短ルートとなります。

守破離は「凡人」にこそ有効な「成長の方程式」であり、一定の期間を有するものの、努力することで誰にでも習得が可能であることが、最大の魅力です。

この守破離の中で、最も再現性と汎用性が高く、誰でも実践が容易なのが「守=型」の習得です。そしてそれ以降のステップは「型」が習得できてこそ、初めて有効性を発揮しますが、それを会得するための方法論は、個人ごとに独自性の高いものとなるため、一般化が難しい領域でもあります。

型とは何か?

型とは、先人達も含めた組織やみんなの「集合知」です。そして、それを誰もが汎用的に使いやすく洗練させてモノと言えます。汎用的であるからこそ、100点(完全にバッチリ、しっくりくる」のを目指さず、誰でも「70点くらいは取れるよ!」を目指したモノになります。

ですので、完全にシックリこない(腹落ちしない)モノや時があるのは当然だと思っていてください。

型を会得するための実践方法

型を「正しく」インプットする

型の取得において最も大事な最初のステップが、いかに「型を正確に理解するか」です。

型には、それがそのような型になった「使うべき場面」「背景と目的」「なぜその型なのかの理由」が必ずあります。これらを正しく把握・理解しなければ、正確にインプットすることはできません。

因みに、この時点で「腹落ち」できる必要はありません。型とはそれの実践を通して「体で腹落ち」させていくものだからです。

ここで気をつけたいのが「わかったような気になる」ことを如何にして避けるかです。型の本質やロジックについて、表面的に理解するのではなく、正確に理解することに「努力する」事が大変重要になります。

具体的な事例を挙げてみましょう。

戦略フレームワークの中で大変有名なモノに「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」があります。
企業が複数の事業を行う場合に、各事業に対する経営資源の配分が最も効果的となるよう、事業ごとの現在のポジショニングを把握し、将来のポジショニングを企画するための分析フレームワークです。

さて、皆さんはPPMをどこまで正しく理解してるでしょうか?浅く理解している方がまず最初に間違ってしまうのが「マーケットシェア」の部分です。

正しく理解いていない解説記事等においては、この部分を「市場シェア」と記載しています。

市場シェア = 絶対的市場シェア

自社製品・サービスの売上(または販売個数)の対象市場における割合をあらわし、どれくらいのシェアを獲得できているかの指標になります。それぞれの企業がどれくらい市場全体に対する影響力を持っているかを測る指標となります。

想定的市場シェア

相対的市場占有率は自社製品・サービスの絶対的市場占有率が、他社製品・サービスの絶対的市場占有率の何%を占めているかを測る指標です。競合との比較によって自分たちがどれくらい市場内での影響力を持っているかの判断材料となる指標になります。

なぜ「金のなる木」のゾーンでは「利益」が出るのか?

みなさんは、PMMにおける「金のなる木」のゾーンにある事業が、なぜ「利益を最大化」できるのかを正確に説明できますか?
正しく理解いていない解説記事等においては、この理由を「規模の経済の発揮により原価を抑えられるから」と記載しています。

たしかにその側面もあるのですが、これは「買い手の交渉力」を強く発揮できる市場という前提条件が付きます。例えばホットな話題であれば、現在の生成AIブームにおいて、最もNVIDIAのサーバを買っているのは、マイクロソフト(OpenAI含む)や、Metaだったりしますが、NVIDIAという「売り手の交渉力」が強すぎるために、規模の経済が発揮されにくい状況です。

また、サービス業(例えばホテルなど)の領域においては、規模の経済が発揮しにくいです。なぜなら最大コストは「人件費」であり、規模が大きいからといって、競合他社に対して「安く人を雇える」わけではありません。

経験曲線効果

経験曲線効果(エクスペリエンス・カーブ:経験曲線、経験効果)とは、1960年代にボストン・コンサルティング・グループが発見した法則で、同一製品において「累積生産量が増加するにつれて、単位当たり生産コストが一定の割合で低下していく」というものです。

一般的に、累積生産量が2倍に増えると、単位当たり生産コストは20~30%低下すると言われています。別の言い方をすれば、累積生産量が2倍になると、単位当たり生産コストが80~70%になります。

これはサービス業等においても言えます。相対的市場シェアが大きい企業ほど、多くのオペレーション経験値を蓄積しており、組織的経験値=ノウハウによって「人的生産性」を最大化しやすくなります。(AI /DX等の破壊的イノベーションによってこの法則が当てはまらないケースも増えてきてますが)

PMMにおける金の木が儲かるロジック

PMMがボストン・コンサルティンググループによって提唱されたのは、1970年代という結構昔です。よって、現在と異なり、AIやデジタル化による破壊的イノベーションは考慮されておらず、「相対的市場シェアが大きい企業ほと、競合他社に対し経験曲線効果が働きやすく、結果的に利益を最大化しえる」というのが、正確な背景ロジックになっています。

あらためて「正しく型を理解すること」の重要性

PMMの背景にあるロジックを正しく理解しなければ、適した場面に対して、正しい分析を行えません。
これは他の型(フレームワーク)にも言えることで、「型=武器」も、その特性を正しく理解していなければ、正しく使えないということです。
ですので、「へ〜」と何となく浅く理解するのではなく、可能な限り正確に型を理解する努力が求められます。


型を「正しく」使ってみる

せっかく覚えた「型」も、実践の場で使ってみなければ、は当然ながら何の役にも立ちませんし、自己成長につながる事はありません。まさに「宝の持ち腐れ」です。

ここで重要なのが「とにかく型通りにやる」という事です。つい「ここをこう変えて・・」など、自分のオリジナリティや個性を反映させたくなりますが、それは次の段階の「破」で行うべき事です。

型を「徹底的に」反復する

究極的には「息をするように」、各場面において適切な型を、型通りに行えるようになるまで、繰り返し使用して身体に覚え込ませます。

このレベルに達すると、例えば何かのMTGの際に、話を聞きながら間髪入れずにホワイトボードにマトリクスを書き、話の論旨をまとめていく、といったような芸当が可能になります。

型の「バラエティ」を増やす


使える型の数、種類を増やしていきます。

これにより、より様々な場面(ケース)で型を利用できるようになるだけでなく、場面(ケース)と型のマッチング精度、つまりは、よりその場面に適した型を使用する事ができるようになり、型の効果を上げる事が可能になります。

型を「組み合わせて」使う

数多くの型を身につけることにより、ある場面において「複数の型を組み合わせて使う」事が可能になります。言い換えれば、型通りでありながらも、応用を効かせる事が可能になるという事です。


最後に

中澤は有難いことに、ある団体で「講座」を持たせて頂いており、「【中澤式】本当に成長したいマーケターの教科書」というお話をさせて頂いております。
いつの間にか講座コマ数が増えてしまい、現在、「90分✖️4コマ」まで増えてしまったのですが、そこでは主に「型=ベーススキル/フレームワーク」の話を中心に講義を行うのですが、メディア等ではこういった内容は受けが悪く、講演等の依頼がある場合には、やはり「市場トレンド」や「テクニック」面によった内容が多いです。

ただ、本当に「長期に渡って継続的な自己成長」をしたいのであれば、基本=型こそ最も重要だと思っています。

短期的な目先の成果ではなく、「急がば回れ」の精神で、ぜひ「型」の習得を皆さんも真剣に取り組んでみては如何でしょうか?


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