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供給制限の時代

今回はどうしても頭の中に引っかり続けた重要キーワードである「供給制限の時代」ということについて僕の視点からまとめてみます。

そもそもこのキーワードはnote記事を書き始めるきっかけとなった木下斉さんがvoicyの中で言っていた言葉です。(そういう意味でも日々木下さんのvoicyに刺激を受けています)

もともと私が関わっていたのが介護業界でした。その中で経営コンサルタントとして、売上利益を増やすための新規施設の開設や既存施設の活性化と合わせて行っていたのが、介護事業を営む上でのリソースである人的課題の解決のために採用支援や人材育成のためのマニュアル整備や人事考課制度の設計などを行っていました。

介護業界における急加速する人的供給不足

介護業界では以前から人手不足が叫ばれ、実際に採用難に直面し、その課題解決が大きな売りになるほど事業拡大・継続のためのキーファクターとなっていました。そのため採用の為にはいろいろな手段を試みていました。

現役世代の採用の為に、新卒採用のための仕組みづくりや中途採用のために紙(オフライン)とネット(オンライン)の両面での募集活動、外国人人材採用活用のための取り組み、高齢者の活用など本当にあらゆる面に取り組んでいました。

そのような背景と同時に、
・今後は介護人材が200万人~300万人必要になると言われ続けていたこと
・少子高齢化で労働力人口の減少が当たり前という印象
から、調べもせずに日本から働き手が減っているのだと思い込んでいました。

ところが(これもまた木下斉さんの放送で知り)調べて認識を新たにしたのが、一昨年まで就労人口は伸び続け、その恩恵を圧倒的一番に受けていたのが介護福祉業界といういうことでした。

もちろんそもそも量が不足しているというデータもあり、かつ新規開発がつづいていたことから個々の施設の不足感が嘘であることはありませんが、今後の不足感は次元を変えて訪れることは間違いないでしょう。さらには就労人口減少の影響だけではなく、熊本や札幌での半導体工場をはじめとする外資の高賃金の影響で、特に青年・壮年層に介護の仕事を選んでもらいづらくなる将来はすでに到来をしています。

実際に東北地方の主要都市のひとつの介護事業の経営者から聞こえてきたのは毎週2~3事業所(法人)から閉鎖の連絡や倒産、事業売却の話が舞い込んでくるということでした。

介護だけではない人的供給不足

さらに他産業の仲間や金融機関等から聞いても地方に行けば行くほど、人がいないがために供給ができずに事業をたたむケースを耳にします。これは業界に偏りはなく、すべての業界に言えることです。

以前、建設業界の新卒採用の支援にも若干携わっていたこともありましたがこちらも同様に厳しい状況でした。入札に入るための有資格者や工事を請け負うために必要な有資格者はいずれも超高齢化をしてしまっている。そのため動けなくても所属していてもらわなければいけない状況。
若い人を増やそうとしても、資格的に学部の制限があったり、その対象学部の人間は建設コンサルに行ってしまうなど、現場で働く方は集まらない状況です。

ある地方の建設会社では、これまでの歴史で蓄えた利益をDX化での働きやすいさ改善と新卒採用に全力投資をするという話を聞きました。地方の仕事が減るといっても道路やトンネル、公共施設のメンテナンスの仕事はなくなりません。その時に競争力となるのは人材ということで現在は投資の期間としているらしいです。かなり明確なビジョンの上での決断と実践だと思います。

この建設会社のように、人材供給をベースに考え、需要にこたえられる体制にしていくというのが今後の大きなトレンドになることは間違いありません。

供給制限のなかでどのように事業を作るか?

木下斉さんが言うように「どのように需要を作り出すか、という時代の終わり。」というのはまさにその通りだと思います。これまでは需要をつくるというテーマのもとにMBA等のビジネススクールでも考えられてきました。今後は違います。供給制限にどう向き合うかです。

供給制限に対応するためには
①人が少なくてもできる仕組み、ビジネスモデル
②働きたい人が集まる仕組み
③多様な人が働き続けられる仕組み
このあたりが注目を浴びることは必然ですね。

人気業種であれば②での対応も可能でしょうが、ほとんどの業界はそんなことはありません。③の高齢者等がいつまでも働けるような環境作りで事業を維持し続けるとなるのではないでしょうか。

そんななかで大切なのは、体力と同時に脳体力です。
認知機能が適切に働き続けられるように職場でフォローをし、落ちてきそうな気配の時には会社としてアプローチをするそんなことが当たり前になるかもしれません。以前はうつ病などのメンタル疾患に対しては根性論で無視されていた時代もありますが、今は会社として対応をしなければなりません。それと同じことで、実はすでにその準備を実証実験的に始めている会社も出てきています。

脳体力というキーワード、ぜひ今後は注目をしてみてください。

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