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アダム・スミス『国富論』8(2024年6月29日)

国全体のことを考えれば、生産的な労働者を増やすのは重要だろう。ここでアダム・スミスがいう生産的な労働者とは、農業や製造業、商業のような品物や財産を残してくれる産業に従事している労働者である。芸術家とか、政治家とか、広い意味でのサービス業に従事する者は不生産的な労働者である。前者をアダム・スミスは重視する。そうであるからこそ国は富むと考えている。確かに前者によって後者は維持されているのだから、もっともな意見である。最近の日本はサービス業の労働者が多いという状況にある。これは皮肉だろうか。というより過去の著作なのだから、偉大な予言であったのかもしれない。広い意味でのサービス業も年々年収が上がっているようにも思える。これも大きな視座で見ると破綻的なのだろう。「資本ストック」とは要するにそういう生産的な労働者がくれた蓄えである。感謝だけでは足りないものがある。

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