粉飾決算のパターン

最近、大口倒産も増えてきましたが、よく見かけるのは粉飾です。
粉飾とは、企業が決算をよく見せようと意図的に操作することを言います。代表的なパターンと銀行員が見ているポイントを説明します。

1.売上の水増し
だいたいこれから始まって、他もごちゃごちゃいじって、自分でもよくわからなくなってっていうパターンが多い印象です。架空の売上を立てて利益が多く出ているように見せる。決算書をよく見せようとすると、まずこれに手をつけそうですね。そして後で説明する現預金や売掛金も反対勘定として計上します。
あと、循環取引というのもあります。2社以上で実態のない取引に対し、売上を立てる取引です。結局利益が出るわけじゃないので、どこかの資金繰りが破綻すると崩壊します。
売上の戻しも実質的には粉飾です。期末に一旦売上をあげて、翌月以降に販売先から買い戻す取引です。翌期はマイナススタートになるので、本当その場しのぎでしかないです。

2.現預金の水増し
これは一番シンプルかつ銀行にバレづらい。メインバンクなど預金が多く滞留していれば見破れますが、そうでないと、残高証明書や入出金明細をもらわないと銀行も意外とわからない。
決算書の現預金勘定のうち現金が多いと怪しいなと思います。スーパーマーケットとか一定程度現金持ってないといけないビジネスモデル以外は、そこまで現金いらないですよね。
現預金と借入金の両建を異常にしているケースも怪しいです。月商の3ヶ月程度現預金があると結構潤沢だなと感じますが、それ以上持っていると、借りれるうちに借りようという気持ちもわかりますが、なんで借入してまで現預金持つの?となります。
怪しまれなくないという企業は、決算書に残高証明書を添付するなども銀行対策になると思います。

3.売掛金
売上の反対勘定として計上するのですが、実態のない取引なので、当然回収できない。でも一見売掛金が不良かどうかはわからないです。
銀行目線では、①売掛金が月商の何ヶ月分あるか、②取引先毎の回収条件はどうか、③月次売上推移はどうか、を見ればだいたいわかります。

他にも在庫、貸付金、雑資産、簿外負債でも粉飾して自己資本をプラスに見せかけたりします。帳簿を見れば、すぐバレますけどね。
粉飾してしまうと、信頼関係が失われて、今後の取引はかなり厳しくなるでしょう。悪質だと訴訟にもなるケースがあります。
業績が悪い時は素直に伝えて、要因分析と対策をした方がいいです。銀行にもよりますが、オープンにしてくれた方が支援の幅も広がります。
財務担当に任せっぱなしにしていて、細かい数字はわからないというような経営者は要注意です。財務担当は、来期は取り返せるからと粉飾に手をつけてしまいますが、結局中毒になっていき、手がつけれない状況になってしまいます。チェック体制もあるかもしれませんが、上司に怒られたくない、よく見せたい、相談しづらいっていう組織風土みたいなことが根本的な問題かも知れませんね。

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