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Thelonious Monk / Genius of Modern Music: Volume 1

ジャズの1枚目は、BLUE NOTEから選ぶことは決めていましたが、どれにするかが非常に悩ましい。

1500番台と4000番台で、500枚くらいのアルバムがある(もちろん全部聴いたわけではありません)わけだから、そりゃ、1枚選ぶのは至難の業。

その中から選んだのは、Monkの「1510」です。

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きっかけ

ジャズを真剣に聴くようになったのは2000年からです。それまでは、友人に「Milesの『Bitches Brew』、スゲーから聴いてみ!」と言われたら、それを聴いてみる、という程度で、特別な興味はありませんでした。

きっかけは、Radioheadの『Kid A』でした。あの作品を聴いて、「もう、ギター・ロックは終わったのかなぁ~」と思い、ロック以外の音楽を聴きたいという衝動に駆られました。そして、向かったのがジャズでした。なぜジャズだったのか、その理由はまったく覚えていません。

それから数年間は、ジャズ以外の音楽をほとんど聴かなかったので、例えばThe Strokesの『Is This It』やThe White Stripesの『White Blood Cells』は、かなり後追いで聴く羽目になりました。今にして思えば、ちょっと後悔。

最初は「これ、何?」

当時、ジャズのことはほとんど知りませんでしたが、「ブルーノートは名盤が多い」という話を聞いたことがあったので、とりあえずジャズの入門書みたいなのを読み、そして興味をもったのが、この「風変わりな」ピアニストの2枚のアルバム(Volume 1とVolume 2)でした。

Volume 1のCDを購入し、1回目聴いた時の感想は、正直「これ、何?」でした。

冒頭の「’Round Midnight」は、当時イメージしていたジャズにまだ近かったものの、次の「Off Minor」で迷路の中に迷い込み、良く分からないまま、最後の「Humph」が終わってしまいました。

曲も理解不能なうえに、演奏も上手いのか下手なのか、良く分からない。「大丈夫かなぁ~」と、ちょっと不安になった記憶があります。

良く分からないからこそ、の名曲たち

「ジャズってこんなんだっけ?」と思いながらも、何度か聴くうちに、少しずつ曲の面白さが分かるようになりました。

そして、その後「名盤」と呼ばれる作品を聴いていくと、数々のMonkナンバーが取り上げられていることに驚きました。その代表格は、やっぱりMiles Davisの「’Round Midnight」でしょう。

個人的には、Sonny Rollinsの「Misterioso」を推したいですね。

今にして思えば、「良く分からない」あの不協和音や独特のリズムがあるからこその名曲たちであり、時代を超えて、演奏され続けているのであろうと思います。分かりやすい曲って、演奏してて、すぐ飽きちゃいますもんね。

一番好きなのは「Ruby」

このアルバムで私が一番好きな曲は「Ruby My Dear」です。美しいバラードなのですが、Rubyって誰のことなんでしょうね?

「1510」ではトリオでの演奏ですが、1965年のピアノソロも捨てがたい。独特の「間」が最高です。

この曲、Blue Noteでの録音は1947年10月24日なので、実に73年も前ということになります。「時代遅れ」とか、そういう次元の話ではないですね。

ちなみに「1511」、つまりVolume 2も、「良く分からない名曲」が多数収録されています。1曲選ぶとなると「Straight No Chaser」でしょうか。

あまり「最初に聴く1枚」としておすすめの作品ではないですが、他の誰とも違う唯一無二のジャズなので、ぜひ一度はMonkの作品を聴いてみることをおすすめします。


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