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連鎖反応 [Chain Reaction]【動画】

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つながりのある曲を鎖のように連ねながら、その曲に対する思いをコメントしていきます。ほぼ毎日更新(予定)です。
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2022年7月の記事一覧

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573: The Kinks / You Really Got Me

70年代後半から80年代初頭にかけて、キンクスのアルバムセールスが好調だった原因は、自身の作品よりも、他のミュージシャンのカヴァーで再評価されたことによるものでした。 例えば、プリテンダーズは「ストップ・ユア・ソビン」「アイ・ゴー・トゥ・スリープ」、ザ・ジャムは「デヴィット・ワッツ」を、それぞれカヴァーしていました。 そして、もっとも影響があったと思われるのが、ヴァン・ヘイレンのデビューシングルとなった「ユー・リアリー・ガット・ミー」(US36位)でしょう。 この曲、オリジナルは1964年にリリースされており、バンド初のUKナンバー1を獲得しています。またUSでも7位を記録しています。 とにかく、この曲と言えば、ギターリフでしょう。いわゆる「パワーコード」のリフでこれ以上に有名なものはないと思いますし、以降のギター・ロック、特にハードロックに与えた影響は絶大でした。 ロック史における、偉大なる「発明」と言えるでしょう。

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572: The Kinks / (Wish I Could Fly Like) Superman

「スーパースター」と「スーパーマン」。 ま、どちらも似たようなもんですが、空を飛べるのは「スーパーマン」の方だけでしょう。 1979年にリリースされた、キンクスのアルバム『ロウ・バジェット』は、母国UKではチャートインすらしていませんが、USでは最高11位のヒットを記録しています。 「キンクスと言えば60年代」というイメージがありますが、実はUSでの最高位を記録したのはこのアルバムでした。 アルバムから最初にカットされたシングルのこの曲にしても、UKではチャートインしていませんが、USではトップ40まであと一歩の41位の小ヒットとなっています。 60年代のキンクスしか知らない人が聴いたら、「えっ、これ、ホントにキンクス?」と思うであろう、ディスコ調のサウンドは、ある意味、衝撃です。 一説によると、アリスタ・レコードのクライヴ・デイヴィスが「クラブ受けする曲を書け!」と要求したので、レイ・デイヴィスが「冗談のつもりで」書いたと言われています。 まあ、そういう時代だった、と言えば、それまでの話ですが...

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571: 少年ナイフ / SUPERSTAR

同じタイトルの曲が、少年ナイフにもあります。 彼女たちが1991年にリリースしたアルバム『712』。正式な読み方は知らないのですが、「ナイフ」のゴロ合わせであることは間違いありません。 インディ時代のラストとなったアルバムに収録されたこの曲、とにかく歌詞が笑えます。 主人公は駆け出しの俳優。1番では、初めての役を貰いますが、それは「変死体」。絶対に動いてはいけませんが、「事件のきっかけ」となる「大事な役」です。 2番になると、今度はヒロインを乗せる「タクシードライバー」の役を貰います。1つだけですがセリフもあって、そのセリフは「どちらまで?」。 そんな歌のタイトルが「スーパースター」という、どこまで真面目にやっているのか分からない感じが、最高でした。 ただ、そんな歌詞の面白さを理解できないはずの欧米のファンの間で高い人気を誇ったということは、このスカスカに聴こえるサウンドから、彼女たち自身が楽しんで演奏していることがストレートに伝わったからなのだろうと思います。 知名度ではカーペンターズの足元にも及びませんが、これもまた「名曲」だと思います。

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570: The Carpenters / Superstar

突然ですが、クイズです。 カーペンターズのUSナンバー1ヒットは、何曲あるでしょう? 答えは「3曲」。 「え、そんなに少ないの?」と思うのは、私だけではないと思います。 それもそのはず、2位止まりが5曲、3位止まりが2曲と、トップ3入りは10曲もあり、しかも、それらはすべて1970-74年の5年間に集中しています。 要するに、当時は「シングルを出せば、ほぼ売れる」無双状態だったわけです。 そして、この曲も「No.1シングルと言っても誰も疑わない」レベルの、USナンバー2ソング(UK18位)。 1969年にデラニー&ボニーがリリースしたヴァージョンがオリジナルですが、知名度はカーペンターズのカヴァーの方が圧倒的に高いでしょう。 この曲、多くのミュージシャンにカヴァーされていますが、個人的に好きなのは、カーペンターズ・トリビュート・アルバム『イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター』に収録されていた、ソニック・ユースのアヴァンギャルドなヴァージョン。 ご興味のある方は、ぜひご一聴を。

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569: The Carpenters / Yesterday Once More

ポピュラー・ミュージックの世界では、「ラジオにかじりついて、音楽を聴いていた」というシーンがしばしば登場します。 その中で最も有名なのがこの曲。 カーペンターズが1973年にリリースしたアルバム『ナウ・アンド・ゼン』(US2位/UK2位)のB面は、オールディーズ・ナンバーのカヴァー・メドレー形式で構成されていました。 この構成に意味を持たせるために、昔ラジオで聴いていたオールディーズを思い出すという内容のこの曲が、いわば「後付け」で制作されています。 アルバムからの2ndシングルとしてカットされ、US2位/UK2位のヒットとなっていますが、これだけの名曲が、1位になっていないというのが逆に驚きです。 ちなみに日本では、オリコン洋楽チャートで26週連続1位という、特大のヒットを記録しています。 それにしても、アルバム・シングルともに、US2位/UK2位というのも珍しい記録です。 どこかの政治家が「2位じゃダメなんでしょうか!」って言い出すかもしれません。(ちょっと古いネタですが...)

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568: Elvis Costello And The Attractions / Radio, Radio

初期コステロのシングルからもう1曲。 1978年10月にリリースされたこの曲(UK29位)は、コステロのヒストリーの中でも重要な意味をもつ曲。 小さい頃はラジオが大好きだったのに、今じゃすっかり商業主義になり下がりやがって!という強烈なメッセージの歌詞が話題となりました。 パンクの嵐が吹き荒れた後の、まさに「新しい波」が押し寄せてくるパワーを感じる演奏も見ものです。 そして、「この曲は演奏するな!」と言われていたにもかかわらず、サタデー・ナイト・ライヴの生放送で演奏し、これが原因で番組を10年ちょっと「出禁」になるという事件も起こっています。 まあ、さすがはリヴァプール育ちと言ったところでしょうか。

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567: Elvis Costello / Watching The Detectives

ジョン・レノンが見ていたのが「車輪」なら、エルヴィス・コステロが見ていたのは「刑事」でした。 1977年10月にリリースされたこの曲は、コステロにとって最初のヒット曲(UK15位)となりました。 レゲエ調のビートが軽快な曲ですが、歌われている歌詞はかなりシニカルな内容です。まあ、当時のコステロは、血気盛んな若者と言った感じで、どの曲もそうでした。 この曲がシングルリリースされる3か月前に、本国UKでは1stアルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー』(UK14位/US32位)がリリースされていたのですが、USではこの曲を追加収録して、11月にアルバムが発売されています。 ジャズマスターを手にしたコステロがポーズをとるジャケットは、70年代UKロックを代表するデザインの1つと言っていいでしょう。 ジャズマスター好きにはたまらないジャケットです。

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566: John Lennon / Watching The Wheels

「ホイール」つながりでこの曲を。 ジョン・レノンにとって、生前最後のアルバムとなった『ダブル・ファンタジー』(UK1位/US1位)。 アルバムからの3枚目のシングルとなったのがこの曲でした(UK30位/US10位)。 歌詞の内容は、5年間の「主夫」時代についてのもの。 「音楽をやめて、何をやっているんだ?」と言う人々に対して、「僕は車輪が回るのを眺めているだけ」「もうメリーゴーラウンドには乗らないよ」とクールに返しています。 個人的には、このアルバムで一番好きな曲なのですが、一般の知名度と言う点ではあまり高くはないかも知れません。 その理由は、多分、その前に出た2枚のシングル「スターティング・オーヴァー」「ウーマン」が強すぎるからだと思います。

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565: The Band / This Wheel's On Fire

『クリームの素晴らしき世界』の原題は『Wheels Of Fire』。これに似ているということで、この曲を選んでみました。 ザ・バンドは、以前にも数曲取りあげましたが、この1st『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』(US30位)は、いつ聴いても歴史的名盤と呼ぶにふさわしい風格を感じます。 このアルバムには、共作も含めると、3曲の「ディラン・ナンバー」が収録されていますが、そのうちの1つがリック・ダンコと共作したこの曲で、リード・ヴォーカルもリック・ダンコがとっています。 サビのところで、ヴォーカルに寄り添うように入るコーラスが、いかにもザ・バンドの演奏という印象を与えてくれます。 シングルヒット曲ではありませんが、ディランにとっても、ザ・バンドにとっても、数多くのライヴで演奏された重要なレパートリーでした。

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564: Cream / Sitting On Top Of The World

もう1つの「トップ・オブ・ザ・ワールド」がこの曲。 1930年に最初の録音がされた古いカントリー・ブルースですが、その後、様々なジャンルのミュージシャンによってカヴァーされています。 ロック・ファンにとってなじみがあるのは、クリームによるこのヴァージョンでしょう。 1968年にリリースされた『クリームの素晴らしき世界』(UK3位/US1位)に収録されたこのカヴァーは、非常にスローなテンポで演奏されています。ヴォーカルは、ジャック・ブルースです。 ちなみに、この前年、グレイトフル・デッドがデビューアルバムでこの曲をカヴァーしていますが、こちらはかなりのアップテンポで、曲名を見なければ、同じ曲とは分からないかも知れません。 こういった、ミュージシャンによる曲の解釈の違いも、音楽の楽しみ方の1つと言ってよいでしょう。

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563: 少年ナイフ / トップ・オブ・ザ・ワールド

少年ナイフが多くのミュージシャンに支持される理由の1つに、彼女たちの演奏から、好きなミュージシャンへのオマージュを強く感じる点があるような気がします。 これって、簡単なようでいて、なかなか難しいことだと思います。 多くのトリビュートアルバムに参加している少年ナイフですが、カーペンターズ・トリビュートのこの曲は、個人的にカヴァーの名作と思っています。 カーペンターズのオリジナル(US1位/UK5位)が、歌といい演奏といいアレンジといい、「完璧なポップス」だったので、なかなか手を加えにくい作品だと思うのですが、そんな難曲を、あっさりと極上のギター・ポップに生まれ変わらせたのは、見事と言うしかありません。 演奏が高いことや高度な音楽理論を理解していることは、優れた音楽を作るための強力な武器にはなるのかも知れません。 ただ、魅力的な音楽を作るために最も重要なことは、音楽への想いをどれだけストレートに表現できるか、ということを、彼女たちの演奏を聴いていると強く感じます。

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562: 少年ナイフ / ロケットにのって

ラモーンズを敬愛するバンドは、もちろん日本にも多数います。 その中でも、少年ナイフは2011年にカバーアルバム『大阪ラモーンズ』をリリースしているように、筋金入りのラモーンズ・フリークと言っていいでしょう。 日本より先に海外で評価が高まった彼女たちの、メジャー・デビューとなったのが1992年の『レッツ・ナイフ』でした。 インディ時代のポップな名曲の数々を、メジャーならではのクリアなサウンドで再レコーディングしたことで、ノイジーなギターもフワフワしたコーラスも、よりヴィヴィッドに伝わってきます。 アルバムのオープニングを飾ったのがこの曲。 サビの「水金地火木土天海冥」を初めて聴いた時は衝撃でした。 そういえば、この頃はまだ、冥王星は惑星だったよなぁ~、と、どうでもいいことを思ってしまいました。

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561: Ramones / Today Your Love, Tomorrow The World

「昨日~今日~明日」シリーズもキリがないので、今回までにしようと思います。 ラモーンズの1stアルバム『ラモーンズの激情』(US111位)は、パンクロックのみならず、以降のロック全体に影響を与えた、重要なアルバムと言えるでしょう。 正直、グリーン・デイが登場した時、「こんなの、10年以上前にラモーンズがやってたじゃない!」と思ったものです。 (まあ、その後グリーン・デイは、想像もしなかった「大化け」するのですが...) アルバムのB面ラストに収録されていたのがこの曲。 「今日は君の愛、明日は世界」という、何を言いたいのかさっぱり分からないタイトルですが、「1,2,3,4」で始まり、猛スピードで疾走して、2分ちょっとで終わる、典型的な「ラモーンズ・ナンバー」です。 オリジナルメンバーは4人とも亡くなってしまいましたが、きっと天国でも一緒にパンキッシュな演奏を披露していることと思います。

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560: Spiral Starecase / More Today Than Yesterday

昨日や今日がタイトルに入ると言えば、この曲を挙げておきたいところです。 カリフォルニア州サクラメントで結成されたスパイラル・ステアケースが、1969年にリリースした、唯一のヒット曲(US12位)がこの曲。 パット・アップトンの軽やかなハイトーン・ヴォーカルが心地良いポップ・ソングです。 見ての通り、タイトルに「昨日」も「今日」も含まれています。 しかも、サビの歌詞を見ると、それだけにとどまりません。 「I love you more today than yesterday」に続いて、「But not as much as tomorrow」と歌われています。 「昨日より今日の方が愛してる。でも、明日ほどじゃないよ」って、「どんだけ好きなんかい⁉」とツッコミの1つも入れたくなります。 彼らのトップ40ヒットはこの曲のみで、典型的な「一発屋」ではあるのですが、ソフトロックファンの間では、評価の高いバンドです。