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なぜ自分は可愛がってもらえるのか?

医師になってからこれまで、多くの人達に可愛がってもらってきた。先輩医師だけでなく、ベテラン看護師からも可愛がってもらえることが多かった。パートナーからは半分冗談交じりに、「なぜあなたが、そんなに可愛がってもらえるのか分からない。」と言われた。確かに自分でも、その理由がよく分からず、先日10年弱可愛がって来てもらったある先輩医師と食事をした際に、思い切って聞いてみた。

「何か問題が起こった時に、その問題を自分に関係があることだと思い、問題から逃げないからだよ。そういういう後輩は可愛んだよ。」と言われた。
多くの人は、周りで何か問題が起こった時に、自分とは関係ないなと思うらしい。多くの人は、自分と関係ある問題でも、逃げる方法を考えるらしい。その一方で、あまり自分とは関係がなさそうな問題でも、「これは俺に関係する問題だ。きっと俺が取り組まなければならない!」と自分から問題に首を突っ込んでいくらしい。問題を引き受けたはいいものの、うまく解決できなかったり、さらに問題を複雑にすることもあるが、問題を引き受け、考え、悩み、時には苦しむことからしか、医師としても人としても自分の殻を破り成長することはできないと思うと、その先輩医師は言った。

全く自覚がなかったが、私も問題から逃げない部類の人間らしい。「自分の事は案外分からないものだよ。」とも言われたが、振り返ってみると、以前勤めていた病院で消化器内科の医師がいなくなるから、消化器内科医になろうと思ったのはその一番いい例かもしれない。たかだか4年目の医師であった自分が、「俺がやるしかない!」と、若干の勘違いもありながら消化器内科になることを決め、何とかその病院、その地域の消化器内科診療を守ると意気込み、苦しみながら必死に過ごした日々を思い出した。きっとそういう姿を、必ず見ていてくれている人がいて、応援してくれるのだろう。

医師としても、人としても、歳をとってくると、どうしても自分の殻の中で過ごしたくなってくる。その方が、安心であり、心地いい。もちろん、安心や心地よさも大切ではあるが、これからも問題から逃げずに、日々を過ごしたいと思う。そして、同じように問題から逃げずに格闘している後輩がいたら、自分がしてもらったように可愛がりたいと思う。

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